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『美女と野獣』

4
そして二人は、ついに寂れた古城の大広間に辿りつく。大広間の中央にぽつんと咲いた赤い花を見つめて少女は声を上げた。
「これが、真実の花……本当にあったんだ。私たち、ついに見つけたのよ!」
喜びにうわずった声を抑えようともせず、新しいおもちゃを与えられた子どものように男の腕を掴んでぴょんぴょんと跳ねる。そうだな、と相槌を打つ男の表情は舞い上がる少女とは反対に、嬉しいとも悲しいともつかない色を覗かせていた。男の微妙な面持ちに気づいた少女は声をかける。
「どうかしたの?」
「……なんでもない」
「あー!今目逸らした!今の嘘でしょ、絶対なんか隠してる!」
ねー、ねー、と問い詰める少女から目を逸らして尋ねられた男は口を噤んだ。
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