勇カズの与太話
【ちいさなむらとゆめのなか】
くるくると風見鶏が廻った。
くるくるとお医者様の白衣も翻った。
昨日転んだあの子の怪我も治った。
一昨日倒れたあの子の病気も治った。
お医者様に治せないものはない。
くるくるとわたしも回った。
どうして。
治ったはずのあの子たち。
今日もお医者様のところに行くの。
みんなしあわせそうに笑う。
あの子もお父さんもおばあちゃんも、隣のお兄さんも孤児院のおばば様も。
くるくるとお医者様の白衣が翻る。
お医者様におくすりもらってみんなが笑う。
笑ってないの、わたしだけ。
くるくるくるとみんなが踊る。
朝になっても。夜になっても。
わたしは踊るのやめちゃった。
笑ってないの、わたしだけ。
あるときお医者様に尋ねたの。
どうしてわたしだけ楽しくないの。
お医者様は答えた。
このおくすりを飲んだらしあわせになれると。
怪我もない、病気もない、こんなわたしはおくすり飲めないよ。
わたしはお医者様がこわくなった。
村から飛び出した。
でもお医者様はあとからやってきて言った。
君もこちら側においで。
小さな白いおくすりのまされた。
くらい しろい おそら てんし そこにはあたたかいひかり みんな みんな いた おどる わたし はしる みんなのところ だめ たのしい だめ みんなと だめ おどりたい
だめだよ
だれかよぶこえふりむいたせかいはくらくなってひびがはいってくずれてそらにおちる
わたし て のばす
目を覚ます。
わたしは胃の中が空っぽになるまで中身をぶちまけた。
気持ちが悪い。気持ちが悪い。
お医者様はどこにもいなかった。
あったのは、狂ったように笑う村のみんなの姿だけ。
わたしのことなんか見ないで、みんな踊ってた。
くるくると。
くるくると風見鶏は止まっていた。
月のない夜。
みんな狂ってしまった。
お医者様のおくすりで。
独り置き去られたわたしは、こわくて、こわくて、こわくて、さびしくて。
1人村から飛び出した。
くるくると風見鶏が廻った。
くるくるとお医者様の白衣も翻った。
昨日転んだあの子の怪我も治った。
一昨日倒れたあの子の病気も治った。
お医者様に治せないものはない。
くるくるとわたしも回った。
どうして。
治ったはずのあの子たち。
今日もお医者様のところに行くの。
みんなしあわせそうに笑う。
あの子もお父さんもおばあちゃんも、隣のお兄さんも孤児院のおばば様も。
くるくるとお医者様の白衣が翻る。
お医者様におくすりもらってみんなが笑う。
笑ってないの、わたしだけ。
くるくるくるとみんなが踊る。
朝になっても。夜になっても。
わたしは踊るのやめちゃった。
笑ってないの、わたしだけ。
あるときお医者様に尋ねたの。
どうしてわたしだけ楽しくないの。
お医者様は答えた。
このおくすりを飲んだらしあわせになれると。
怪我もない、病気もない、こんなわたしはおくすり飲めないよ。
わたしはお医者様がこわくなった。
村から飛び出した。
でもお医者様はあとからやってきて言った。
君もこちら側においで。
小さな白いおくすりのまされた。
くらい しろい おそら てんし そこにはあたたかいひかり みんな みんな いた おどる わたし はしる みんなのところ だめ たのしい だめ みんなと だめ おどりたい
だめだよ
だれかよぶこえふりむいたせかいはくらくなってひびがはいってくずれてそらにおちる
わたし て のばす
目を覚ます。
わたしは胃の中が空っぽになるまで中身をぶちまけた。
気持ちが悪い。気持ちが悪い。
お医者様はどこにもいなかった。
あったのは、狂ったように笑う村のみんなの姿だけ。
わたしのことなんか見ないで、みんな踊ってた。
くるくると。
くるくると風見鶏は止まっていた。
月のない夜。
みんな狂ってしまった。
お医者様のおくすりで。
独り置き去られたわたしは、こわくて、こわくて、こわくて、さびしくて。
1人村から飛び出した。