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01 温泉宿編

トビ「はは、お世辞でも嬉しいな!」
ブラン「……よし」
弓を的に向け構えると矢を放つ。矢は的の真ん中に刺さった

+

リオ「お世辞でもないんだけど。……ひゅう、すごいね」
ブランくんの命中を見て思わず口笛を吹く。
リオ「あの的結構小さいものなんだけどね。あれに当てるなんて、素晴らしい射的センスを持ってるみたいだね」

+

ブラン「わ、ありがとうございます……!」
照れくさそう
ブラン「でも、リオさんみたいに目隠しなんてできっこないと思いますし……リオさんは凄いです!」
トビは上体起こし始めた

+

リオ「できっこないと思うのなら……やってみる?」
ブランくんに布を手渡す

+

ブラン「えええ……自信ないなぁ」
布を受け取ってつけてると構える
ブラン「……えい!」
放った本の矢が数本に分裂して、綺麗に星型になって刺さった
ブラン「ど、どうですか…?」

+

リオ「うん、悪くはない……けど、どうやったのそれ?」
分裂した矢を見て驚いている

+

ブラン「あ、悪くはないですか…」
まだ目隠しつけてるので上手くいかなかったと思ってる
ブラン「えーっと、魔法で作った矢なんで自分で形変えれます……。色々作れるんですよ」
魔法で透明な黄緑色のナイフを作ると的に投げる。ど真ん中に当たった
ブラン「まぁ、まともに当たってないと思いますけど……」
しょげてる

+

リオ「なるほど、魔法か!いいもの持ってんな!」
銃の掃除を終える
リオ「君はもっと自信を持っていいと思うし、僕が伝えるよりその目で見た方がわかると思う。外してごらん?」

+

ブラン「ええ………そうですか?」
目隠し外す
ブラン「…………あれ?……リオさん、もしかして俺のために刺し直してくれました??」

+

リオ「その返しは予想外だな!?どうしてそうなる!?……いろいろ言いたいことはあるけど、ボクがそれをする意味がない。ボクは何もしてない、君の実力さ」

+

トビ「さっき、リオさんが数本刺し直してたよ!」
木刀振ってる
ブラン「ええ、やっぱり!!!嘘はよくないですよリオさん!」

+

リオ「待って!?それ言いがかり!?なんでそうなるんだよ!?ここから的までどんだけ距離あると思ってんだよ!ブランが投げた直後に走って刺し直して戻ってくるまで1分弱でできると思ってんのか!?無理だわ!!」
うるさい

+

トビ「あはは、冗談に決まってるじゃないか!リオさんもブランくんも真面目だね!」
ブラン「ええええ!?トビさぁん!!!!」

+

リオ「冗談じゃなかったら恐ろしいわ!!……トビちゃんって冗談言う人だったんだね、焦ったよ」

+

トビ「もちろん言うよ……私の言うことの9割は冗談でできてるから気をつけなよ!」
ブラン「ほとんど冗談じゃないですか!?」

+

リオ「おっけい……わかった、ほどほどに警戒しておこう……」
頭に指を当てて、眉間にしわが寄ってる
リオ「それで、トビちゃんの鍛錬の方は終わったのかい?」

+

トビ「……というのも冗談だよ、分かってると思うけど!」
ブラン「わー………」
疲れた人
トビ「うーん、そうだね……今から走ろうと思うんだ!一緒にどうだい?」

+

リオ「……だよねぇ、さすがにわかったよ」
呆れている
リオ「走り込みか。久しくやってないけど、やろうかな。女性からのお誘いだしね。ブランは?」

+

ブラン「じゃあ俺もやります!」
トビ「そうかい、大勢の方が楽しいしね!じゃあ……どこ走ろうか」

+

リオ「この中庭でいいんじゃないかな?結構広そうだし……」

+

トビ「いつもなら街とかはしるんだけどねー。廊下走るのもいけないし、そうしようか!」

+

リオ「そうだね」

一方の女子部屋。
ヴァニラ「……ふむ、一度目覚めてしまったからにはなかなか寝付けないものだな」

+

シラ「………ん……はっ……!」
目が覚めた。ヴァニラさんの手を包んでいた両手を引っ込めて全身を布団に埋める。

+

ヴァニラ「あっ……。シラ、起きたのか?」

+

返事がないようだ!

+

ヴァニラ「……機嫌を損ねてしまったのだろうか?うーむ、脅かせたのならすまない……おはようシラ」

+

シラ「……おはようございますですー………」
出てこない

+

ヴァニラ「何故出てこないんだ?……それはともかく、昨晩は寝れたかい?」

+

シラ「………はい……おかげさまで……」
顔だけ出す。めっちゃ赤い

+

ヴァニラ「ならよかった」
ヴァニラはゆっくり起き上がる
ヴァニラ「少し早いが、わたしは温泉に行こうかと考えてるのだが……どうだ?一緒に行くか?」

+

シラ「……ぜひ、ご一緒させてください……!」
もぞもぞ出てくる

+

ヴァニラ「うん、なら準備できたら行こうか。ゆっくりでいいぞ」
微笑む
ヴァニラ「持ち物、といっても着替えがあれば全て向こうが用意してくれるらしいからな。……温泉は気持ちいいらしいから、楽しみだ」

+

シラ「はい……ありがとうございます……!」
ちょこちょこ着替えてる
シラ「ここのシステムは凄いですね………温泉、楽しみです……!」

+

ヴァニラ「ふむ、そろそろ大丈夫か?」

+

シラ「は、はい!大丈夫でしゅ!」

+

ヴァニラ「なら、行こうか」
二人は部屋を出る

リオ「……だあ!きっつ!!10周はきっつい!」
走り込みが終わって、少し息を荒げているリオ

+

トビ「はは、まだまだだね!これくらいでバテてちゃダメだよ!」
へっちゃらそう
ブラン「………はぁ、トビさん……化け物じゃないですか?」
こちらしんどそう

+

リオ「……すごい、なんで平気そうなんだ……」
深呼吸して呼吸を整える

+

トビ「鎧着て走ってたら自然に鍛えられるかな!なんなら着てみるかい?」
ブランはその場に寝転んでる

+

リオ「い、いやあ!それは遠慮しておくよ!……騎士の人ってすごいな……」
その場に座り込む
リオ「あー……後で温泉入ろう……朝からこんなハードなの久々だ……」
でも喋る気力はあるんだね

+

トビ「そうだな、私も後で入ろうかな!混浴だといろんな話ができて面白いんだけどな!」

+

リオ「そ、それは……、ボクは遠慮しておくよ……」
おもむろに目線をそらした!

リディア「ねーリュウくん?髪の毛乾かしてあげようか?」
ルヴェ「テメェに性別っていう概念はねえのか?さも当然のようにここに入ってくんじゃねーよカス。あとリュウじゃなくてルヴェだよリーさん」
ルヴェは髪を乾かしていた!
しばらくしたら出てきます

+

トビ「女の子ばっかりと入ると話すことがなくてね!女の子らしい話ができないんだ!」
ブラン「………はぁ……」
立ち上がる

ブラン「じゃあお風呂行きますか………」
トビ「じゃあね!」
一人で先に走ってった

+

リオ「まだ走れんのかよ!?……うーんボクらはあとからゆっくり行こう……」

リディア「はい!乾いた!」
ルヴェ「……」
リディア「ねー暇だから後で遊びにきてよー」
ルヴェ「ぜってぇ行かねえ。つかなんでお団子にすんだよ」
リディア「浴衣にはお団子でしょ?」
ルヴェ「もう着替えるし後ではずそ」
リディア「うわーん!リュウくんひどーい!」
ここに浴衣美人がい(ry
リディアを無視して更衣室から出る

+

ブラン「そうですね………凄いなぁトビさんは……(俺も負けてられないな)」

トビ「えーっと、お風呂お風呂……ん?」
ちょうど出てきたルヴェさん発見
トビ「ここは男子風呂じゃないのかい?」

+

ルヴェ「……………………は?」
すごい怪訝そうにトビさんを睨む
手元に風の球が現れ……

+

トビ「あれ?……もしかして君はルヴェくんかい?綺麗に結んであるから分からなかったよ、ごめんごめん!」

+

ルヴェ「……」
問答無用で風球をトビさんに向けて放っ――
「ムーちゃん!」
『ムィ!』
――たが、トビさんは誰かに腕を引かれ、彼女の目の前に割って入った緑色のムーちゃんが風球を吸収した
ルヴェ「…………チッ」
舌打ちして、かんざしを解いた
ルヴェ「最悪だよ、リーさん」
リディア「うえーん、リュウくんごめんねー!トビちゃんもびっくりさせてごめんねー」
リディアはトビさんに後ろから抱きついていた!

+

トビ「………あれ、どちら様かな?とりあえず助けてくれてありがとう、羊くんも。ルヴェくん本当にごめんね!」

+

ルヴェ「……」
無言でかんざしを取ってその場に捨てる、そして何も言わずに帰っていった

リディア「はじめましてかしらね!あたしはあなたのことは知ってるけどねトビちゃん!あたしは地下世界よりいでし暗黒を切り裂く光の――」
『ムィムィ』
ムーちゃんに遮られた
リディア「(中略)リディアよ!よろしくね!んーーリュウくんってば自分が女顔なのがコンプレックスらしいのよー!シイタケみたいにかわいいのにね!だから女性に間違えられちゃうと激おこプンプンしちゃうのよー!マヌカハニーみたいにかわいいのにね!」

+

トビ「うんうんなるほど、リディアさんね!……そうだったのか、それは悪いことをしちゃったなぁ。後でちゃんと謝っておこうか」
かんざしを拾う
トビ「これ、リディアさんのかい?はい」
リディアさんにかんざしを渡す

+

リディア「多分、謝ったら喜んじゃうからどんどん謝ってみてー!ペコペコ大名行列ね!」
『ムィ……?』
リディア「そうそう、あたしのー!拾ってくれてありがとう!でもそれあたしも使わないから、トビちゃんにあげるね!」
かんざしを受け取らずに押し返す

リディア「きっと似合うわ!じゃああたしは定時でランランしてこないといけないから……リュウくんのこと任せたわー!じゃあね!」
リディアは去っていった
『ムィ……』
ムーちゃんはまた置いてかれた

+

トビ「私も使い道ないんだけどね、ありがたく貰っておくよ!……じゃあまた!あれ?……羊くんは置いてかれたのかい?」
ムーちゃん目線に屈む

+

『ムィ……、ムィムィ』

ヴァニラ「……滑らないように気をつけるんだ」
シラちゃんの手を引いてゆっくりお湯に身体をつける
※バスタオルを装着しています

+

トビ「そうだ、今から一緒にお風呂入らないかい?」

シラ「……わ………足がつかないです……」
身長足りない事故

+

『ムィ?ムィムィー……』
少し悩んでる様子
※水がかかったらきえます

ヴァニラ「大丈夫か?こっちに椅子になってる部分がある」
水中の段になってるところに案内する

+

トビ「もしかして、お湯が苦手かい?カルロくんみたいだね!でも、ここに一人は寂しいだろう?濡れないようにするから来なよ」

シラ「……ありがとう……ございます……」
背伸びしてる

+

『ムィー』
連行された

ヴァニラ「うーん……?もしかしてまだ少しギリギリか?」

+

シラ「………いいえ、大丈夫です……」
鼻から上だけ出てる

+

ヴァニラ「……。大丈夫じゃない時に大丈夫というのは、よくないぞ」
シラちゃんを水中で抱えると、自分の膝の上に載せる
ヴァニラ「これなら呼吸もできるだろう?」

+

シラ「……わわ、ごめんなさい………!ありがとうございます……」

+

ヴァニラ「構わない。……湯が気持ちいいな」

+

シラ「………はい……!初めてですけど、とても暖かくて気持ちいいです」

+

ヴァニラ「ああ……。この醜い肌色がくっきりと目に入ってくるのは好かんが、いいものだな」
ちょっとだけ黒い温泉の水を掬いあげる

+

トビ「やぁ、ヴァニラちゃんにシラちゃんじゃないかい。親子みたいだね!」
ムーちゃん脇に抱えて登場

+

シラ「あ、トビさん……!動物………」
ヴァニラさんチラ見

+

『ムィ』
ヴァニラ「ひっ……!?」
トビさん(の抱えるムーちゃん)の方を見て顔がひきつっている上に固まっている
ヴァニラ「や、ああトビ……コンニチハお久しぶり?あれおはようか?えっとそのまま、頼むからこっちに来ないでほしい!なるべく穏便に……あ、ダメだその羊は絶対離すな、頼む!」
めちゃくちゃ慌ててる

+

トビ「おはよう、久しぶり、だね……どうしたのさ…?」
シラ「あの、ヴァニラさんは……動物が苦手だそうで……」
トビ「なるほど、アレルギーか!近づけないようにするよ」
湯に足をつける
トビ「さて、羊くんが湯に浸からないようにするにはどうすればいいかな?」

+

『ムィムィー』
ヴァニラ「や、バカ、近づくなと……!こ、こっちを見るな毛むくじゃら!シラでもトビでもいいからこの毛むくじゃらに水をかけろ、そうすれば消えるから!ああ、でもわたし以外の感覚で行けば消したら可哀想なのか!?」
トビさんに向かって湯をかけるわけにも行かず一人でパニック

+

シラ「お、落ち着いてください……!そうですね、私たちからすれば可哀想ですね……」
トビ「まぁまぁ!……羊くんは軽いからこうしよう!」
ムーちゃん頭に乗せた

+

ヴァニラ「ああ!バカ!!手を離すな!?」
『ムィー!』
頭に乗せた時、ムーちゃんはトビさんから離れてヴァニラちゃんの元へと飛んでいく
ヴァニラ「うわあっ!??」
思わず温泉水をムーちゃんにぶっかけた
『ムィ…………』
ムーちゃんは消えた
ヴァニラ「……………………はっ!?す、すまない……つい……ごめん……」
罪悪感なう

+

トビ「あっ…」
シラ「あっ…」
唖然
トビ「あの羊くんは死んでしまったのかい?」
シラ「多分あの子は召喚獣なので、飼い主さんが呼べば出てきますよ……!」
トビ「ならよかった!そんなに苦手とは知らなくて…こちらこそすまなかったね」

+

ヴァニラ「……すまない、その、どうしても動物は苦手なんだ……」
まだ少し強張ってる
ヴァニラ「……わ、わたしは先に出ているな!取り乱してしまって申し訳ない」
シラちゃんをトビさんに預けて出ようとする

+

トビ「まぁまぁ、もう少しここにいてよ!二人だけになるとつまらないだろう?」
シラ「それに……入ってからあまり経ってないですし」

+

ヴァニラ「……」
申し訳なさそうにお湯に戻る
ヴァニラ「その、ダメなんだ……嫌いなわけではないんだ……うん」
そっとしておこう

+

トビ「あ、そうだ!さっきリディアさんっていう人にかんざしを譲り受けたからヴァニラちゃんにあげるよ!」

+

ヴァニラ「かんざし……?何故そんなものを……?まあ一応貰っておこう」
少し冷静になってきた
ヴァニラ「……ところでトビは先程早く部屋を出たようだが、もしかして鍛錬でもしてきたのか?」

+

トビ「よかった、私には使い道がないから助かるよ!……あ、もしかしてあの時起きていたのかい?そうだね、軽く運動してきたよ」
シラは湯の中で風魔法使って小さな渦作ってる。なんか楽しそう

+

ヴァニラ「やはりか。……ストイックなのだな。シラ楽しいか?」

更衣室から出てきたリオとブランくん
リオ「何回でも入れるって幸せだな……。ブランはこの後どうする?
ボクはちょうど食事処が開いたころだと思うから少し見てから部屋に戻ろうかなって思ってるよ」

+

シラ「はい……なんだかとっても不思議です……!」

ブラン「久しぶりにゆっくり入れた気がします……」
いつもゆっくり入れないのは妹のせいである。
ブラン「もうそんな時間なんですか?じゃあ俺もついて行きます!」

+

ヴァニラ「そうか、それはよかったよ」
ちょっと笑う

リオ「わかった、いこっか」
二人は部屋とは逆の方向に歩き出した
リオ「んーと、ブランって確か……シフォンちゃんのお兄ちゃん?」

+

ブラン「…はいそうです!ディルさんやリオさんと遊んでもらったって楽しそうに話していました。どうせ迷惑ばかりかけてるんでしょうけど…」

+

リオ「迷惑なんかじゃないさ、こっちも楽しませてもらったからな。……お兄ちゃんが好きで好きでたまらない様子だったよ、お兄ちゃん思いの優しい妹さんだと思うよ」

+

ブラン「そうですか……ならいいんですが。懐かれすぎて困ってますけど……はは」

+

リオ「……自慢のお兄ちゃんだってさ。嬉しそうに話してたよ。懐かれるのは幸せなことじゃないか?」

+

ブラン「そんなことまで……恥ずかしいなぁ……」
頭をかく
ブラン「確かに嬉しいですけど、もう少し自立して欲しいです」

+

リオ「自立ねえ……。なんだかお兄さんというより親みたいだなブランは」

+

ブラン「今だってお風呂も寝るのも一緒ですし……そのうち男子部屋やお風呂に乱入してきそうですよ」

+

リオ「……おう、乱入されたらカルロ辺りが発狂しそうだ」

+

ブラン「そうですね……しかもカルロさんにも結構懐いてるんで……」

+

リオ「それは……。同情はしておこう、ディルは羨ましがりそうだけど」

+

ブラン「ディルさん女性好きですもんね……カルロさんと足して2で割ればいい感じに……」

+

リオ「対極な二人だから……確かにちょうどよくはなりそうだな……」
そんなこんなで食事処にたどり着く二人。なにやらラビーたちが慌ただしい様子だが……?

+

ブラン「あれ……何かウサギが慌ただしいですね。どうかしたのかな?」

+

リオ「うーん……?何か厨房の方で何かあったんじゃないのか?……こればかりは首を突っ込んでもどうしようもないかな。まだオープンできなそうだし、部屋に戻ってようかな……」
そういうとリオは来た道を戻り始めた

+

ブラン「俺はちょっと見てきます……手伝えることがあれば手伝った方がいいですし」

+

リオが歩みを止める前にブランくんは行ってしまった
リオ「そう……わかったよ、なんかあれば呼んでくれよ?」

厨房。ラビーたちが慌てふためいている。

+

ブラン「(話通じるかなぁ)どうしたんだい?」

+

『!!』
身振り手振りで、奥の冷蔵庫を指差す

+

ブラン「……冷蔵庫?」
冷蔵庫の方へ向かう

+

冷蔵庫までたどり着くと、開け放たれたドアから冷気が漏れだしていた。遠目でもわかるが、巨大なそれの中は何も入っていなかった。
より一層ひんやりとしたその場の床に、見覚えのある赤毛の少女が横たわっていた。

+

ブラン「なんでここだけ空きっぱなし………ミラ!?しっかりして、ミラ!!」
横たわるミラちゃんの背中を支える

+

近づいてみると、ちょっと冷たくなっていたが、ミラは気持ちよさそうに寝息を立てていた。
ミラ「………………はあ、お腹いっぱい……」
間。

+

寝ているだけのようでホッとする。
ブラン「よかった………あれ?お腹いっぱい?……ん?」
冷蔵庫の中身見る

+

ミラ「むにゃむにゃ………………」
冷蔵庫の中には、やはり何もなかった!厨房の冷蔵庫に食料がない、これはよほど深刻なのでは……

+

ブラン「………………はっ!?」
ちょっとポカンとしてた
ブラン「食料がないって……やばいんじゃ…。ねぇねぇ、そこの君……食料はここの分しかないの?」
近くにいたラビーちゃんに声かける

+

『!』
あわあわしながらラビーは頷く
と、そんな時ゆっくりミラの目が開く

ミラ「……んむ?あーブラン?おはよう~」
ブランくんの腕の中で大きく伸びをする

+

ブラン「おいおい………。ミラ、おはようじゃないんだよ………これはどういうこと?」
空の冷蔵庫を指さす
ブラン「えーっと、この辺で買える場所もないの?」

+

ミラ「……?…………あー」
なんとなく状況を理解したミラは……すぐに逃げ出そうと飛び上がった

+

ブラン「………おいおいおいおい」
素早く首根っこ掴んで持ち上げる

+

ミラ「きゃー!離せー!ちかんー!へんたいー!おたんこなすー!ごめんなさーい!」
どこで覚えたんだそんな言葉。じたじたしてる

+

ブラン「まったく………」
呆れてる
ブラン「どうしよう……一旦部屋に戻ろうか」

+

ルヴェ「なーんか騒がしいと思ったら……何してんだお前ら?」
ミラ「あ、ルヴェー!助けてー」

+

ブラン「ルヴェさん!実は、ウサギに案内されてここに来たら……ミラが……」
空の冷蔵庫を指さす

+

ルヴェ「あーはいはい、状況は察した。またやらかしたんだねー」
ミラ「うう、だって……」
屈んでミラの目線に合わせる
ルヴェ「……ユウラとフェオ、どっちに引き渡されたい?」
ミラ「………………」

+

ブラン「(………冷蔵庫の全部食べるって……どんな胃袋してるんだよ)」

+

ミラ「……ゆ、ユウ兄のが……」
ルヴェ「おーけー、フェオに伝えておこう」
ミラ「えーー!なんで!?」
ブランくんからミラを預かる
ルヴェ「しょうがねえから晒し首な」
ミラ「晒し首って何?」
ルヴェ「そこにつっ立ってる木偶の坊に聞いてみな」
先に歩き出す

+

ブラン「晒し首って………えーっと、首斬ってその首を……うん。2、3日飾るんだよ、みんなの前に…………ってさすがにやらないですよね!?」
ついて行く

+

ミラ「え………………」
ミラはショックを受けている
ルヴェ「あーあーわざわざわかりやすぅい説明ありがとうございます」
ルヴェは笑っていた。わざわざ説明することもなかっただろうというニュアンスを含んでる

+

7ブラン「うわぁぁぁ!!!!ごめんよ!!!!絶対そんなことしないからさ!?!?ルヴェさんも俺に振らないでくださいよ!!!!」
必死である

+

ミラ「私、死ぬの……?」
ルヴェ「悪いことしたら罰を受けるもんだろ?」
ミラ「うう……」
ルヴェ「お前は知らなかったかもしれないが、ブランは名を馳せた死刑執行人なんだ。だから安心して逝けるぞ」
ミラ「……フェオのシチューが食べたかったな……」
ルヴェ「残念だったな」

+

ブラン「俺いつの間にそんな恐ろしい役職に就いてるんですか!?!?しかも名を馳せてるって……死ぬのに安心できる要素ないでしょ!!というか死なないから!!!」

+

ミラ「おやっさん、あっしの最期の言葉聞いてくれやせんかい?」
ルヴェ「許可しよう」
ミラ「……おふくろのみそスープは、まずかったな……」

―更衣室。
ヴァニラ「……気持ちよかったな」

+

ブラン「ツッコミ追いつかねぇ!!!!」
放棄した

トビ「そうだね!……さて、着替えたら朝ごはんだね!」
シラ「朝ごはんは何でしたっけ………?」

+

ヴァニラ「確か食べ放題だったか?……ああ、少し髪を押さえててはくれないか?せっかくかんざしがあるのだから、刺してもいいだろう」
髪を団子状にまとめてトビさんに押さえてもらっている。そこにかんざしを刺し入れる
ヴァニラ「……ふむ、もう一つくらいほしいものだな」

+

トビ「うーん、ヴァニラちゃんは髪が長いね、ひとつしか持ってないなぁ」
シラ「あ、これならどうですか?」
氷の魔法でかんざしを作る

+

ヴァニラ「あ……。すごいな、ありがたく使わせてもらうよ」
氷のかんざしを受け取り、髪に刺し入れる
ヴァニラ「うん、これでいいだろうか。二人ともありがとう」

+

シラ「……よく似合ってます……!」
トビ「おお、これでディルくんもデレデレになるよ!」

+

ヴァニラ「何故そこでディルなんだ……。あやつは女性に対してデレデレしすぎだ。さて、そろそろ皆も起きた頃だろうか?」

+

シラ「ディルというお方は常にデレデレされてるのですね……!」
トビ「まぁ、元気でいいと思うけどな!……そうだね、部屋に戻ろうか」

+

ヴァニラ「全く、だらしがないにも程がある……。そうだな戻ろうか」
更衣室を後にする

―男子部屋。
ディル「よし!カルロ、コンタ!飯食いに行こうぜ!」
自分の準備が整ったからって、二人の布団を引っぺがす。まだみんな寝てるっつの。
ユウラ「(元気だな……)」

+

剣太郎「すぴー……」
まだ寝てる
カルロ「……お前、朝っぱらから元気だな……」
既に服着替えてそのまま寝てた

+

ディル「朝こそ元気じゃねえとやってけねーぜ!ほら起きろコンターー!」
げしげし
ユウラ「……もっと優しく起こしてやれよ」
もそもそ起きてくる
ディル「ん?ユウさんおはよー!」
ユウラ「朝からうっせぇわお前」

+

剣太郎「いだっ!………やかましわタラタラシ!」
枕をディルさんの顔面に投げつける

+

ディル「ぶへっ」
枕は顔面にクリーンヒットした
ディル「……んのやろっ!何しやがん……」
ユウラ「……あ」
再び枕を構えたディルの背後から、音もなく水弾が横を通り抜けた
ディル「……!?」
水弾はまっすぐカルロ兄の方へ被弾した
フェオ「…………朝から何の騒ぎなの?うるさいんだけど、時間と場所をわきまえてくんない?というか人が寝てる横で暴れ回んなよアホが」
くっそ機嫌の悪いフェオが起きていた
ディル「いやいやお前こそ朝っぱらから魔法飛ばすってどういう神経してんだよ!?」
フェオ「は?」
ディル「……はーい、ごめんなさーい」
そんな最悪な中で急に入り口のドアが蹴飛ばされて飛んできた。

+

剣太郎「やかましんや!寝かせろや!」
また布団へ入ってった
カルロ「ぎゃああああ」
水弾から離れる
ツェザーリ「……朝から賑やかな奴らだ」
もう着替え始めてる
カルロ「え、ドア壊れた……?」

+

壊れたドアから入ってきたのは……
ルヴェ「よーしテメェら起きてるか?耳かっぽじってよおく聞きやがれ、残念なお知らせだぁ!」
これまた迷惑な大声でルヴェが言う。男子部屋に持ってきたミラをぽいちょする
リオ「扱い雑だね……」
その後ろからリオとブランくんが顔を覗かせる。途中で合流したらしい
ミラ「わあ」
ルヴェ「今日は全員朝ご飯抜きな!」
ユウラ「えっ、おいおい……どういうこった?」
ディル「えええーー!なんで!?」
フェオ「…………」
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