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scene.05 ミラと始まりの村

「くそう、ルヴェめどこ行きやがった……」
 ちょうど麻袋を担ぎ上げた時、彼女らの傍をひどくしかめっ面をした大柄な男性が通りすぎた。元々強面の顔の眉間にシワを寄せていることから怒っている様子が伺える。彼はミラたちに見向きもせずその場を後にした。
「あれ?村長?」
 噂をすればと言うが、彼こそ青い髭面と彫り深い顔が印象的なこの村の村長ドミヌスであった。
「そういえば、村長はなんだか朝から怒り狂ってたな」
「えー、そうなの?なんでかな」
「さあ……。もしかしてミラのこの間のイタズラがバレたんじゃないのか?」
 ロベルトはイタズラっぽくミラに笑いかけると、彼女はすぐに顔を青くして慌て始める。
「ええっ!?どうしよう、大変だ!村長さんのポストに大量の葉っぱ入れてたの、怒られる!?」
「……それぐらいで村長怒らないと思うけど、ミラは村長のポストにそんなことしたの?」
「うん」
 思った以上に本気の反応を見せたミラが面白いと思ったのも束の間、ミラの行なったイタズラの内容が想像以上にくだらなかったのでロベルトは思わず絶句しそうになる。確認のために一度尋ねたものの自信満々に頷かれてしまったので、彼もそうかと返す他なかった。
 そうこうしている内に、袋を背負ったミラは強がりでもなく軽い軽いと言いのけると、あっという間に入り口まで運んだ。
 
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