世界グランプリはビクトリーズの優勝で終わった。

帰国の準備をしていたユーリは一つだけ気がかりなことがある。
いつの頃からか彼のことを慕ってくれるようになった梓のことだ。
何故か今日に限って姿を見ない。

　「リョウ…。どうしたんだ？」
　「あいつは今日、ここにはこない…。」

彼の話では彼女は熱を出して寝込んだとのことだ。

　「そっか…。」
　「帰国は明後日だったな…。」
　「ああ…。」
　「その日、あいつも流石に元気になっているだろうから…。」
　「教えてくれてありがとう。リョウ、また逢えるよな？」
　「…ああ。また逢おう。」

リョウは別れの挨拶を済ませると帰っていった。
『梓が好きなんだろ？気持ちを伝えたらどうだ？』と言い残して…。