付き合いの長い彼のことだ。
思い当たる節があったのだろう。

　「たまには、いいところあるじゃん。」
　「そうか？」

今日、やっと『案外、いいところあるじゃん。』と思った夏海だった。

　「今日ぐらい、あんたに付き合ってあげても良いよ。」
　「じゃ、急いで帰るか。今日の部活はミーティングだけで終わったし。」

二人は帰り路を急ぐ。
夕暮れが少し眩しかった。