悪魔
ボンゴレ本部ではデボラが醜く笑いながらニュースを見ていた。
「ガス爆発に捲き込まれてくれて助かったわー。」
どんなに手を尽くしても見付からない京子とハル。デボラはリボーンと獄寺達が帰還する前に始末しなければと焦る日々が続いたがニュースで老朽化した建物がガス爆発が起きたことを大々的に放送された。連日の報道に捲き込まれ死亡した人間の中に京子とハルの名前が出ていてそれを見たデボラは手を叩いて喜んだ。
「何であいつらがあんなところに居たかは知らないけどこれでデボラは安泰だわ~。さっさと遺体をこっちに持ってこさせなきゃね。」
遺体は直ぐにボンゴレ本部に運ばれた。
包帯で全身を巻かれている京子とハルの遺体を見てデボラは下品に笑った。
「キャハハハハハッ!売り飛ばして金にならなかったのは残念だけど~これでデボラのしたことはバレないし~隼人達のお姫様はこのデボラ様だけね~。ギャハハハハハ!!」
一頻り笑ったデボラはボンゴレの構成員に遺体を安置所に運ばせた。
数日後、ボンゴレは悲しみに包まれていた。
京子とハルは買い物に出掛けていたところ建物がガス爆発して捲き込まれたことをデボラから聞かされたリボーンと獄寺達。
「京子!」
涙を流して叫ぶように呼ぶ了平。リボーンと獄寺達も京子とハルの名を呼ぶ。
京子とハルの遺体は顔と全身を包帯で巻かれていて損傷が酷いことを物語っていた。
了平が京子の遺体を触ると指が真っ黒になった。
デボラは泣きながら謝った。
「ごめんなさい。ヒック、デボラがあの日行くのを止めてたら京子ちゃんもヒック、ハルちゃんもこんなことにならなかったわ。」
泣いて謝罪するデボラにリボーンはデボラのせいではないと慰めた。
「いや、デボラのせいじゃないぞ。」
「そんな!デボラのせいよ~!デボラが、止めてたらヒック、京子ちゃんハルちゃんごめんなさいーー!!」
両手で顔を覆い泣き崩れるデボラに了平もまた慰めた。
「パオパオ師匠の言う通りだぞ。デボラのせいでは極限ないのだ。だからせめて笑顔で見送ってやってくれ。」
「了平・・・先輩。」
デボラは頷きボンゴレ総出で葬儀を執り行い、リボーンと了平が代表として日本に遺骨を持ち帰りそれぞれの墓に埋葬した。
これで一安心だとデボラは自室のベッドに寝転んだ。
だがデボラは気付いていない。
京子とハルの遺体は偽物だということに。
姿を消してカメラを回している骸は嘲った。
「牝豚はしょせん牝豚ですね。笹川京子と三浦ハルの遺体は僕の有幻覚ですよ。これが沢田綱吉なら一発で見抜いたでしょうね。」
骸はクロームから京子とハルをガス爆発に捲き込まれて死んだことにしたと知らされた。それならばデボラ達を信じ込ませようと有幻覚で遺体を作って構成員達に運ばせるように誘導した。
「牝豚と獄寺隼人達は仕方ないにしてもあのリボーンまでが有幻覚に騙されるとは実に滑稽です。」
ベッドに寝転んでいるデボラを撮影しながら骸は冷笑した。
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キャバッローネーーー
「おい。これって。」
ディーノはロマーリオが持ってきた報告書を見て目を見開いた。
「ボンゴレの坊主は無実の可能性が高いぜ。」
ディーノはツナがデボラをレイプしようとして失敗した後も苛め抜いたとは思えず諜報部に調べさせ、自らも時間を作り調べていた。
「しかし何故ボンゴレは調査しなかったんだ?」
ツナの功績は勿論、ツナの人柄を考えれば苛め等するわけないことくらい分かる筈。ディーノとロマーリオは一体どういうことだと首を傾げていた。
キャバッローネが調査に乗り出した頃、ジッリョネロも調査するために並盛の防犯カメラを秘密裏に手に入れ、ツナとデボラのアリバイを調べていた。
「こちらの映像もです。」
「こっちの映像もだ。同じ時間帯を見ても沢田とデボラ・ビーニが一緒に写っていない。姫、沢田は無実の可能性があるぜ。」
ユニはため息をしてボンゴレは一体何をしているのだろうと憤った。
そしてユニはこの日の夜に予知能力であることを知った。
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