悪魔


キアロスクーロは上から下へと大騒ぎだ。

同盟を組んで融資していたグリージョファミリーの人体実験研究所が何者かに襲撃され、グリージョファミリーは警察に乗り込まれ潰えた。

その次は人身売買の斡旋していたヤルートの逮捕。

元々は弱小だったキアロスクーロは麻薬売買、人身売買、人体実験で乗し上がったファミリー。だがデボラがボンゴレ10代目になる頃には財政は傾き火の車。そこにグリージョファミリーの崩壊とヤルートの逮捕は痛かった。

そしてボンゴレに知られる前にグリージョファミリーと交わした同盟書等を処理し、逮捕されたヤルートを口封じをする為、刑務所に潜入させた部下に毒殺させたりと後始末に追われた。

ボンゴレに戻っていたデボラもまた始末に追われた。

「くそ!まさかヤルートが捕まって商品の女共が救助されるなんて!」

デボラはキアロスクーロに連絡を取る。

「隼人達が任務に出てる間に笹川京子と三浦ハルをさっさと見付けて殺しな!死因は捏造すればなんとかなる!じゃないとデボラとキアロスクーロは破滅よ!!」

京子とハルはキアロスクーロがしていることを知っている以上生かしてはおけないとデボラは苛つきながら命令した。

ーーーー

ダンテの執務室に来たカルロの話にダンテは顔には出さなかったが驚いた。

「マフィア撲滅部門を設置して俺はマフィア撲滅部門のトップになった。これでこっちも以前より動きやすくなったぜ。」

「ほう?よくそんな部門が設置されたな。」

「コネだよコネ。警察の幹部に親戚がいるから脅し、いや頼んでさ。」

「・・・・・・なら我々との合同任務や潜入もしやすくなるな。(今脅したって言わなかったか?)」

「勿論!それにマフィア撲滅部門の捜査官達は優秀だ。」

ニカッと笑うカルロにダンテは親戚とはいえ幹部を堂々と脅したと言うのはどうなのかと思ったが口にせず他の事を聞いてきた。

「それを言いに来ただけじゃないだろう?」

「ヤルートが毒殺されちまったからあまり調書は取れなかったが資料として持ってきた。それから数日前に老朽化した建物がガス爆発しただろ?それを利用して笹川京子と三浦ハルの死亡を捏造した。とりあえずこれ。 」

カルロはダンテに資料と偽造した戸籍や免許証等を渡す。

「こっちで勝手に決めちまったけど笹川京子と三浦ハルに渡してやって。」

ダンテは受け取るとカルロはミリアムはいるか聞いた。

「金髪のお嬢ちゃんに会いたいんだけど?」

「確か共有スペースにいるとは思うが。」

「共有スペースか。それじゃ行ってくる。」

執務室を出たカルロを見てダンテは『あの雰囲気についていけるかな。』と口の端を少しだけ上げた。


カルロは目の前の光景に何とも言えない顔をした。

共有スペースには固唾を飲むディアベルメンバー。そしてテーブルにはオレンジ色のワンピースを着たツナとツナに見惚れながら雲雀はデートに誘っているのだが。

「小動物、明日オフだろ?付き合いな。」

「えっ!?(超怖いーーーーっ!!)」

ツナの中では雲雀と付き合う=突き合う=サシで勝負に変換されて怯えている。
顔色を悪くしているツナに雲雀は。

「何?文句あるの?」

「いいえ!ないですっ!! 」

低い声で話す雲雀にツナは首を横にブンブン振った。
それを少し離れた場所から見ていたミリアムとソフィアは怯えてさせてどうすると呆れ顔、ディアベルメンバーは『戦闘能力は抜群なのにこのては全然駄目なのか!?』と唖然としていた。

カルロはツナと雲雀のやり取りを見て『こりゃ玲一の遠縁の奴は苦労しそうだ。』と思っていると真剣な顔をしたミリアムがカルロの側に来た。

「カルロ。」

「元気そうだなお嬢ちゃん。ほら土産。」

菓子が入っている袋を渡すとミリアムはムッとして言う。

「お嬢ちゃんって言うの止めてよね。それよりもさ。」

そう言いつつも菓子を受け取るミリアムにカルロは苦笑いした。

「様子を見てきたがお嬢ちゃんの叔母さんも叔父さんも元気にしてる。」

ミリアムは安心した。
自分がデボラに逆らったことで矛先が叔母夫婦に行くんじゃないかと心配していた。それをディアベルに入った時にダンテにその事を話すとダンテはミリアムの死亡を偽造した。

交通事故にあったことにした。

行方不明だったミリアムが事故にあったと知らされて叔母夫婦は慌てて病院に駆け込むが全身を包帯で覆われているミリアムを見て悲しみ泣き崩れていた。
遺体はディアベルメンバーの幻術士の有幻覚だが一般人の叔母夫婦は気付かなかった。


「そう。良かったよ。」

ホッとするミリアムにカルロは『マフィアや犯罪者のせいでこんな人間がわんさかいるのは許せない。』と思いながらミリアムの頭を撫でる。

「ちょっと!子供じゃないんだから止めて!髪形崩れるでしょっ!!」

子供扱いされて怒るミリアム。カルロは悪い悪いと軽く謝ると玲一が共有スペースに来た。

「カルロこの度はおめでとうと言うべき?」

「耳早いな。まあ目出度いことだからありがとな。しかしあのミルクティーちゃん(ツナ)と玲一の遠縁はいくつだ?」

どう見てもやっていることが中学生にしか見えない二人にカルロは苦笑いしかない。

「確か恭弥は今年で20才、ツナは19才だったかな。」

「そうか、しかしやっていることが子供だ。」

「そうかもね。でもクロームとミリアムとソフィアがプロデュースしてる【流されやすいツナを流して流しまくって恭弥とくっ付けよう大作戦】の最中だから。多分上手く行くと思うよ?」

玲一の説明にミリアムが突っ込んだ。

「確かに流されやすいツナを雲雀恭弥の方に流しまくる作戦だけどそんな変なの付けてないよ!」

「似たようなもんだろ?」

「玲一センス無さすぎ。」

「ミリアムに言われたくないね。」

玲一とミリアムが口喧嘩を始めるとカルロは仲が良いんだか悪いんだかとやれやれと言った顔をした。


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