悪魔


クロームは思い付いたことを説明した。

「ボスの心を違う方向に向けたいの。それにうってつけの人物がいるわ!」

クロームの説明にミリアムとソフィアは異口同音で言った。

「「それって雲雀恭弥?」」

「うん!雲の人はボスのことが好き。だから雲の人にボスを口説き落としてもらおうと思って。 」

ミリアムとソフィアは顔を見合せるとクロームの意見に同意したが疑問もあった。

「それはあたしも考えてた。」

「私もよ。でもよく考えたら雲雀恭弥はそのてのことは不器用よね?告白とか出来るのかしら?」

「ツナも鈍そうだし。それ以前に雲雀恭弥はあたし達に言われて動くかな?」

戦闘と商談に関してはやり手だが恋愛については不器用な雲雀に果たしてツナを口説き落とせるのか疑問だ。ツナはツナで恋愛に関しては鈍感だ。

不器用過ぎる雲雀と超鈍感のツナをくっ付けるのはかなり骨が折れそうだ。
だがクロームは煽ればいいと思うと言い出した。

「雲の人を煽ればいいと思う。一応策は考えてみたの。」

「本当に!?」

「どうやって煽るの?」

興味津々のミリアムとソフィアにクロームは説明してそれを聞いた二人は驚いた。

「そんな手があったんだ!」

「うまくいけばなんとかなるわね。」

その後三人は細かい策を練るとクロームはドゥーエ・グラディウスに向かった。



ドゥーエ・グラディウスーーー

「クローム髑髏が面会を求めてる?」

訝しげにする雲雀は暫し考えて面会をすることにした。

「いいよ。クローム髑髏を客間に通して。」

草壁はクロームを客間に通した。


雲雀は客間に行くとクロームの向かい側の席に着いた。

「何の用?僕は六道みたいな芝居じみた言い回しは好きじゃない。簡潔に話して。」

クロームは本当に簡潔に話した。

「雲の人、早くボスを口説き落として。 」

簡潔過ぎる上に内容が内容なだけに雲雀は眉を寄せる。

「何なのいきなり。」

「協力するからボスを口説き落として!」

「何で君に指図されなきゃならないのさ。」

不機嫌になる雲雀。

「ボスはまだ笹川京子と三浦ハルとやり直そうとしているみたいなの。でもそうなると笹川京子と三浦ハルはボスを利用して自分達と守護者達の安全を確保しようと動く筈。最悪ボスはボンゴレに戻ってしまうわ。それは避けたい。」

「それは同感だけどそれと小動物を口説くのとどう関係がある?」

クロームはここからが肝心だと話を続ける。

「多分今のボスはミリアムとソフィアさんと玲一さん、ディアベルが一番大切な存在だと思う。でもそれたけじゃ駄目。ボスは裏切者とやり直すか新しい関係を築こうとするわ。そこで雲の人がボスの一番大切な人になってほしいの。一番大切な人がいればボスはボンゴレには戻らない筈。」

ボンゴレギアを返すくらいボンゴレを毛嫌いしている雲雀。その雲雀をツナの一番大切な人にしたらツナはボンゴレに帰ろうともしないだろうし、リボーン達のことも切り捨てるだろう。クロームはそう考えてツナの一番大切な人に雲雀を選んだ。

雲雀は複雑な心境だ。
確かにツナをボンゴレに渡す気は全くない。しかし超直感はどこにいったの?というくらいにツナは鈍感で口説き落とす自信はない。それにツナを想う気持ちを他人に利用されるのは腹が立つ。
クロームは雲雀の思っていることを見抜いている。そこで。

「別に無理にとは言わない。雲の人以外にも候補はいるもの。」

「候補?」

雲雀は眉をピクリと動かす。クロームは頷いた。

「嘘でも良いから骸様か玲一さんにボスを口説き落としてもらえば問題ない。」

「なっ!?」

クロームは骸と玲一で雲雀を煽った。

「骸様はボンゴレを潰すなら嬉々としてボスを口説きにかかると思うし、玲一さんもディアベルの為なら実行すると思う。骸様も玲一さんも強いからボスを守れるわ。それにボスは温かくて優しい人だもの。嘘から出たまことになるかもしれない。」

遠縁の玲一といけすかない骸がツナを口説く想像をして雲雀は盛大に眉を寄せた。

「・・・・・・クローム髑髏、君の策に敢えて乗って利用されてやるよ。その代わりこっちも君を利用するよ。君は協力するって言ったんだからね。」

利用されるのは嫌だが骸や玲一にツナを取られるのは業腹だ。

クロームは頷き任せてと言った。


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