悪魔


京子とハルは着替え終わると再びクロームの有幻覚の蔦で拘束された。

「きゃっ!?クロームちゃん!!」

「何でハルと京子ちゃんを縛るんですか!?」

クロームはミリアムを見た。ミリアムは頷き京子とハルに説明した。


「あたし達はディアベル。」

「「ディアベル?」」

「マフィアを撲滅するための組織だと思ってくれたら良いわ。それで今回のディアベルの任務は人身売買の現場を押さえてマフィアと繋がりがある首謀者と客の逮捕のお膳立てと捕らわれた女性達の保護。そこにたまたまあんた達がいた。あんた達は一般人の括りだけどボンゴレの関係者。だから捕らえただけ。」

ボンゴレの関係者だから捕らえたと言われて京子とハルはツナのことを聞いた。

「それじゃツナ君とクロームちゃんは貴方達に捕らわれの!?」

「ツナさんは元ボンゴレ10代目候補でクロームちゃんは元霧の守護者だからですか!?」

二人がそう思うのは無理もないがクロームはムッとした顔をして言った。

「ディアベルに捕らわれてないわ。私もボスもディアベルの一員。ディアベルのリーダーが貴女達に聞きたいことがあるからって理由で助けただけに過ぎない。任務じゃなかったら貴方達が売り飛ばされようが麻薬漬けになろうが私には関係ないわ。」

「そ、そんな!クロームちゃん酷いよ!!」

「ハルと京子ちゃんは怖い思いをしたんですよ!!」

デボラのせいで酷い目にあったと喚く京子とハルにクロームが怒鳴った。

「怖い思いをした?ふざけないで!貴女達がそんなことを言う権利なんか一切無い!優しいボスを裏切って!ボスの方が怖い思いをしたし辛い思いもしたわ!私からしたら貴女達は立派な加害者!」

「「っ!?」」

「貴女達は最低よ。」


凍土を思わせるようにクロームの目に京子とハルは言葉を詰まらした。
ミリアムは軽蔑の目をして言った。

「何でツナを簡単に切り捨てたの?散々助けて貰ったんでしょ?どう見たってあんた達は護身術すら出来なさそうだしね。自分の身一つ守れないからツナに守って貰ってたんでしょ!デボラより長い時間を過ごしたのにツナと一緒にいた時間や思い出をあっさり捨てて本当に最っ低!」

吐き捨てるように言うミリアム。京子とハルは座り込み項垂れながらも自分達も被害者だと呟いた。
そんな京子とハルに雲雀は嘲った。

「被害者だと思っていたの?君達は沢田に何をした?牝豚と君達のせいで小動物は全てを失ったんだよ?」

「「っ!?」」

雲雀は俯いて座っている京子とハルの側に行き二人の髪を乱暴に掴んで上を向かせる。

「ねえ?沢田は全てを失ったのは分かった?なら分かるよね?君達も誰かを失うかも知れない事実をね。」

舌舐めずりをして先程とは打って変わって楽しそうに京子とハルを見て言う雲雀。


ディアベルはマフィア撲滅の為の組織。
守護者である了平、獄寺、山本が殺されるか逮捕される日が来る可能性があることに京子とハルはハッとした。

「お兄ちゃん達が・・・!?」

「そんなの嫌です!ボンゴレは潰さないでっ!!」

泣き出す京子とハルにクロームとミリアムは冷めた目で見て、雲雀は髪を掴んでいた手を離して言った。

「随分勝手だね。君達は沢田の話を一度だって聞いたかい?聞いてないだろ?」

「そ、それはそうですけど・・・。」

「・・・。」

「沢田の話を無視したように僕だって君達の話を無視してもいいよね?それにディアベルはマフィア撲滅の為の組織。無理な話だと思うよ?玲一、ミリアム、クローム髑髏そうだよね?」

クロームはミリアムの話を聞いてなかったのかと呆れる。

「笹川京子、三浦ハル。ミリアムの話を聞いてなかったの?私はボンゴレを潰す為にディアベルに入った。だからボンゴレを助けるなんて無理。」

ミリアムは温度を感じさせない声で言った。

「クロームと同じよ。あたしはキアロスクーロとボンゴレを潰す気でいるから諦めて。その為にディアベルに居るんだから。」

運転している玲一は一言。

「ディアベルだからね。」


容赦なく言うクロームとミリアムと玲一に京子とハルは俯いた。


クロームはそんな京子とハルを見て。

『普通ならボスに謝罪の言葉を言うもの。なのに真っ先に自分と自分の大切な人の安全の確保なんて!』

本当に最低だと思った。


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