悪魔
京子とハルはクロームに気づいた。
「「クロームちゃん!?」」
呼ばれたクロームはアメジスト色の瞳を鋭くさせて気安く呼ばれる覚えはないと睨み付ける。
京子とハルのことを全く知らされていないツナは驚き混乱した。
『えっ!?京子ちゃんとハルはボンゴレ本部にいるんじゃ?何でこんなところに?ボンゴレやリボーン達は何してるの!?』
混乱するツナにミリアムは耳打ちした。
「ツナ、今は任務に集中して。」
ツナは動揺しつつも小さく頷き深呼吸した。
ヤルートはクロームを見てヒヒと笑った。
「何何何~?知り合いなのかな~?知り合いならセットで売るのもありかもね~♪」
クロームは首を横に振り否定して京子とハルは驚く。
「人違いよ。」
「「!!」」
「そうなのー?まあ良いや。お前達も壇上に乗りな!」
ツナ達はヤルートの隙を狙いつつ壇上に上がった。
「良いね♪良いね♪良いねーっ♪スッゴい上玉だね!この子達は思いきって100万スタートで目玉商品ね!!」
値段を付けられてミリアムは前髪で隠れているが額に青筋が立っていてクロームは嫌そうに眉を寄せツナは嫌悪感を感じた。
ヤルートは黙ったままのツナ達に命令した。
「ヒヒヒヒヒッ!100万スタートちゃん達ちょっと踊ってよ?思いっきりいやらしく体をくねらせてさ!!」
拳銃をツナ達に向けているヤルート。値段は付けるわいやらしい言葉を投げ掛けるわでキレたツナ達は異口同音で言った。
「「「舞わせて頂きます!!!」」」
言った瞬間ツナはハイパーモードになり低空飛行でヤルートに突っ込んでいきミリアムはクロームが予め幻術で隠していた2丁の拳銃を胸元から取り出し構えて天井の巨大な照明器具に狙いを定め、クロームはヤルートの部下達を蔦で拘束した。
「ハアッ!!」
オレンジ色の炎を纏った拳をヤルートの鳩尾を思いっきり殴りぶっ飛ばした。吹っ飛んでいくヤルートにミリアムが撃った照明器具が落下した。
「ギャアーーーッ!!」
ヤルートは悲鳴を上げるが空かさずクロームが蔦を作り出しヤルートを捕獲した。
一瞬の出来事でその場にいた女性達とヤルートの部下は茫然としていたが我に帰ると女性達はこれからどうなるのだろうと泣き出したり俯いたりしてツナは女性達に言った。
「皆さん大丈夫です!もうすぐ警察が来ます!だから安心してください!」
ツナの言葉に女性達は泣きながら喜んだ。
一方、怒りが収まらないミリアムは落下した照明器具の下敷きになった後クロームの蔦でグルグル巻きにされながらも辛うじて頭が出ているヤルートにゲシゲシと蹴りをいれながら玲一に連絡を取った。
「ヤルートの変態確保したよ。」
玲一は「了解。」と答えるとソフィアの部隊を誘導して客に扮したカルロに連絡を入れた。
「ヤルート確保した。」
「了解。それじゃ俺達は客を一斉に逮捕するよ。」
オークション会場に来ていた客は雲雀が全員咬み殺ろしてカルロ達は冷や汗をかきながら手錠をかけていき、ソフィアは女性達を保護して大型のワゴン車に乗せていく。京子とハルを残して。
ヤルートとヤルートの部下達をカルロと部下が逮捕してパトカーに乗せた。
ヤルートの部屋に残っているのはツナとクロームとミリアム。そして京子とハルだけだ。
クロームは蔦で京子とハルを拘束した。
「えっ!?」
「何するんですか!クロームちゃん!」
クロームは相手にせず玲一に連絡を入れた。
「玲一さん。笹川京子と三浦ハルを確保した。」
「了解。悪いけど連れてきてくれ。」
「了解。」
クロームは何事もなかったように通信を切りミリアムは京子とハルを玲一が待っている場所まで誘導しようとするが。
「ちょ、ちょっと待って!何で京子ちゃんとハルがここにいるの!?それよりクロームは何でこんなに落ち着いてるの?ミリアムは何で京子ちゃん達をディアベルの車に乗せようとするの!?」
先ほどより混乱しているツナ。だが京子とハルも更に混乱した。
「え・・・?その声?」
「ツナさん?でもツナさんは男性で??」
ツナは京子とハルから目を逸らした。
「ボンゴレの事情で男のふりしてたんだ。」
京子とハルは混乱しつつも何故男と偽っていたのかを聞こうとしたがミリアムとクロームが遮った。
「その話は後にして。」
「私は笹川京子と三浦ハルに用はないけど私達のリーダーが用があるって言っているから早くここを出よう。」
氷を思わすような声で淡々と話すミリアムとクロームは玲一が待っている場所に行こうとツナに促した。