悪魔
久しぶりに実家であるキアロスクーロ本部に帰ることにしたデボラは京子とハルを誘っていたのだが。
デボラの部屋で頬をパーンッと叩く音がした。
「痛っ!!」
「京子ちゃん!!」
頬を打たれた拍子に尻餅をつく京子と助け起こそうとするハル。
京子の頬を打ったデボラはニヤニヤしていた。
「フフッ。あんた達目障りなのよね。」
「め、目障り!?」
「どういうことですか!」
「京子ちゃんは了平先輩の妹だしハルちゃんは隼人の喧嘩友達だからボンゴレに連れてきたけど隼人達はデボラの守護者になって任務をこなすようになったわ。つまり隼人と武と骸君と了平先輩はデボラの物。だから人質に出来るだろうと思ったあんた達はもう要らないの。」
「「人質!?」」
「ギャハハッ!万が一隼人達が守護者を辞退した時にあんた達を人質にして守護者をやらせようと考えてたわけ。でも隼人達は守護者を辞めないって分かったから。あんた達はここから出て行くのよ。」
二人を嘲笑うデボラはパチンと指を鳴らすとキアロスクーロの構成員が数人出てきた。構成員達は京子とハルを拘束した。
「デボラちゃん!」
「何をするんですか!」
拘束された京子とハルを見下すデボラは下品な顔をしてクスクス笑う。
「幸いにも隼人達は長期任務でいないから~、あんた達はオークションで売り払ってやるよ。ああ大丈夫よ。売られた場所で何も分からなくなるくらい麻薬漬けなるかもしれないけど運が良けりゃどこかで奴隷として生きていけるかもしれないしね。」
「売り払うって!?」
「そんなっ!!」
デボラに裏切られて絶望する京子とハル。
デボラは構成員達に「そのブス達を売り払うようにパパンに言ってちょうだい!」と命令する。
構成員達は嫌がる京子とハルを引き摺るようにデボラの部屋を出ていった。
「アーハハハハハッ!デボラのボディーガードとして利用価値がまだありそうなビアンキはともかく利用価値がない京子とハルは要らないのよ!デボラの回りに女は要らないんだから~!!」
醜く笑っているデボラ。それを幻術で姿を隠して録画している骸は面白いことになったとクロームに知らせたのだった。
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クロームはダンテの執務室でキアロスクーロが京子とハルをオークションで売り払うことを話した。
「ダンテさん。キアロスクーロが人身売買のオークションを2日後の夜10時に行われる情報が入った。」
「情報源は六道骸か?」
頷くクロームは続ける。
「そのオークションにはボスを裏切った笹川京子と三浦ハルも売りに出されるって骸様が言ってました。もしディアベルが動くならボスは外した方が良いと思う。」
骸からの情報にダンテは暫し考える。
まだどこかでやり直せると思っているツナが京子とハルに会って万が一ボンゴレに戻ったらディアベルにとって打撃を受ける。ディアベルの情報が筒抜けになるからだ。
『ボンゴレが笹川京子と三浦ハルを利用してツナにディアベルの情報を話せと詰め寄ってツナが話したらディアベルは厄介なことになる。だが。』
逆に京子とハルをディアベルで拘束したら何かしらの情報が入手できる可能性がある。
「ディアベルはそのオークションに突入する。メンバーはこれから決めるがツナは決定だ。」
「えっ!?でも!!」
「ツナには超直感があるから不測の事態に対応出来る筈だ。笹川京子と三浦ハルを保護したらボンゴレとキアロスクーロの情報が手に入る可能性がある。」
クロームは保護という言葉に盛大に眉を寄せた。
「あの人達を保護?保護する価値はないと思う。だって彼女達は一般人の括りよ。何かを知ってるとは思えないし二度とボスに会わせたくない。」
クロームはツナを簡単に裏切った京子とハルが売られようが構わない。
ダンテはしかめっ面のクロームに苦笑しそうになったが顔には出さずに決定だと告げた。
「価値があるかないかは俺が決める。クローム、君も加わって貰う。」
ディアベルのリーダーに言われてしまえばクロームは頷くしかない。
「・・・分かりました。」
ツナが京子とハルにデボラに謝罪しボンゴレに戻れと説得されそうになった時クロームが抑止力になるだろうと踏んだダンテはクロームをツナと同じ部隊に編成すると言った。
「クローム、君もツナと同じ部隊に加わって貰うからそのつもりでいろ。」
クロームはツナと同じ部隊と言われ自分の今回の任務での役割を悟った。
「了解!!」
クロームが退室するとダンテは部隊を編成した。