悪魔


登りきったソフィアは玲一と他のメンバーと合流してミリアムはディアベル所有の病院に入院した。ソフィアも念のため入院した。最もソフィアの場合は検査入院で翌日には退院になったが。

退院したソフィアは一旦ディアベルに戻って報告書をダンテに渡すとオレンジ色や黄色の花を買ってミリアムの病室に行った。

「怪我はまだ痛むよね?」

ミリアムは起き上がるが無言だ。

「花瓶借りてきたから活けるわね。オレンジ色とか黄色はビタミンカラーって言って元気になるらしいの。早く治ると良いわね。」

花瓶に水を入れて戻ってきたソフィアにミリアムは呆れていた。

「あたしにあんだけ言われて平気って。ソフィアって鈍感なの?」

常にミリアムにあんたと呼ばれていたソフィアは初めて名前で呼ばれて驚いた。ミリアムは仏頂面で言った。

「何その間抜け顔。美人が台無し。」

「え?」

「ソフィアのこと昨日玲一から簡単に聞いた。嵌められたんだってね。でもマフィアなのに嵌められるってちょっと間抜けじゃない?」

「そうかもね。でもそれで良かったって思ってる。ディアベルにいること後悔してないしね。」

「ふぅん。関係ないけど。・・・・・・お礼は言っておく。助けてくれてありがとう。あたしマフィアは嫌いだけどソフィアはディアベルメンバーとしては認めるよ。仲良くなれるかは分からないけどさ。」

顔を真っ赤にしてそっぽを向くミリアム。ソフィアは笑って「メンバーとしてよろしくね。」と言ってそっぽを向いたままのミリアムと握手を交わした。



ーーーー

話終えたソフィア。ツナはソフィアに聞いた。

「ディアベルにいるのは償い?」

「償いじゃないわ。償って許されるわけがないくらいのことをしてきたのよ。」

「それじゃ?」

「戒めのためにディアベルにいるのよ。」

自嘲するようにソフィアは続けていく。

「過去から逃げるな、他人の人生を壊したことを忘れるなっていう戒め。・・・そのせいなのかミリアムとツナには優し過ぎるって玲一に指摘されたわ。」

ソフィアは自分のしてきたことを悔いている。
話を聞いていたツナは胸が苦しくなった。そしてもう苦しまなくていいんじゃないかと思った。

「ソフィアは俺が思うよりずっとずっと苦しんで後悔してるんだと思う。だからもうソフィア自身ソフィアの過去を許してあげよう?」

「えっ・・・?」

思ってもみなかったツナの言葉にブルネット色の瞳が大きく開いたソフィア。

「だってソフィアは気付いたんだから。気付いて後悔して苦しんだならもう良いと思う。」

「私のしたことは・・・!」

「うん。過去は消せないよね。でも俺はただ見てるだけだったけどソフィアはグリージョファミリーの研究所の被害者達を助けたじゃない。俺達に話かけた人、最後は苦しみから解放されて幸せそうな顔をしてた。それって優しい人じゃないと出来ないと思うんだ。」

ツナの言ったことにソフィアは自分が優しい?と聞き返した。

「私が優しい?」

ツナは頷く。

「俺本当は分かってた。あの人達はもう元には戻れないって。超直感でもそう俺に知らしてきて。でも殺すのが怖くて逃げて結局俺は吐くのを堪えて見てただけだった。ソフィアはあの人達の現状を受け止めて助けたんだもの。」

ツナは自分の弱さを話して続ける。

「俺とミリアムに優しいのは過去の影響もあるかもしれないけどソフィアは本当に優しくて心が強い人なんだと思う。」

「優しいのはツナ、貴女の方よ。」

今度はツナが琥珀色の瞳を大きく開いた。

「俺が?あの人達の置かれた状況から逃げたのに?」

「殺すのは怖くて当たり前よ。昔の私は平気だったけど今は凄く怖いわ。」

ソフィアはツナに当たり前だと話すと一旦話を切って温くなった紅茶を一口飲んで話を続けた。

「普通は私のことを知ったら嫌うわよ。マフィアに陥れられた人間なら尚更にね。でもツナは違った。知った時ツナは驚いていたみたいだけどそれでも変わらずに接してくれた。それって難しいことよ?」

ツナもまた紅茶を飲んでから答えた。

「驚いたけど刑務所に入ってきた時から優しくしてくれてたもの。俺にとってソフィアは優しいお姉さんだから。」

自分達ディアベルはボンゴレとキアロスクーロの情報を入手する為にツナに近付いた。それはツナも知っている。それなのにツナの優しい言葉にソフィアは泣きそうになった。

『この子はまさに全てを包み込む大空なのね。』

ツナは黙り込んだソフィアに気遣う。

「ソフィアどうしたの?俺何か変なこと言っちゃった?」

「聞いてくれてありがとう。気が軽くなったわ。」


ソフィアは笑顔で答えた。





無事任務から帰還したクロームはディアベルの自室で体を休めていると骸の声が聞こえてきた。

《クローム。》

「骸様?どうしたの?」

《可愛いクローム。とっておきの情報があります。良く聞いて下さい。》

「はい。」



聞き終わったクロームは慌ててダンテに連絡を入れた。


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