悪魔


それからというものソフィアは眠れなくなった。

眠れば必ず暗闇の中で醜く歪んだ顔をした自分が誰かを陥れて気が付いたら全身血塗れになっていて嵌めてきた人間になぶり殺される夢を見る。その時のソフィアの顔は絶望した顔をしているか、醜い顔をさらしたまま死んでいて嵌められた人間達が「お前も私達/俺達と同じ立場になった。」と冷笑していた。


ソフィアは眠ることが出来ない状態で兄が放った追手から逃げていた。

眠れない状態で体を休める場所もなく精神的にも体力的にも限界がきていた。


そしてついに追手にスラム街で見つかってしまい引きずられながら裏路地に連れていかれた。

「ソフィアお嬢様とお呼びしましょうか?」

「元ソフィアお嬢様の間違いよ。今は嵌められて敗者になっただけのアバズレだわ。」

「このアマには前からコキ使われてムカついてたから惨めな姿を見れて最高だ!ギャハハッ!!」


以前は部下として使ってきた構成員達に嘲られソフィアは敗者としての惨めで悔しい気持ちを理解した。
無言で嘲笑う追手を見つめてソフィアは思った。

『ああ、私がしたことはこういうことね。』

弾丸も尽きあるのは使えない幻術だけだ。ソフィアは終わったと感じ抵抗しないで身体中に弾丸が撃ち込まれるのを待つ。

パーンッーーー
パーンーーー
パーンッーーー
パーンーーー

4発の撃つ音がした。

「ギャアッ!!」

「ーーーッ!?」

「ウッ!?」

「ギャッ!」

ソフィアの目の前には撃ち殺された追手が地面に転がっていて追手を撃った人物を見た。

「・・・お前は誰だ?」

「俺は雲雀丘玲一。」

「どういうこと・・・だ・・・?」

体力は限界に達して意識を飛ばしながらソフィアが見たものはやれやれといった顔をした玲一だった。



ソフィアは目を覚ますと病院だと思われる天井があった。

「病・・・院か?何故私が病院にいるんだ?」

「俺が運んだからね。」

「!?(居たのか!?気付かなかったわ!)」

玲一の気配に気付かなかったソフィアは驚き、窓際で座って本を読んでいた玲一は「驚かせてごめん。」と何でもないように言う。

「いきなり起きて暴れられても厄介だから気配消してた。」

ソフィアは気配を消していたと話す玲一に警戒する。

「そう睨まないで。とって食いやしないよ。ロッソファミリーのソフィア・カランドラ。」

「お前は何者だ?」

睨み付け問うソフィアに玲一は表情を変えず改めて自己紹介した。

「俺は雲雀丘玲一。秘密結社・ディアベルのメンバーだよ。ソフィア・カランドラ、君さディアベルに入らない?」

「は?秘密結社?胡散臭いわ。」

怪訝そうに玲一を見るソフィアに玲一は自分もダンテにスカウトされたとき胡散臭いと思ったなと内心苦笑して説明した。

「ディアベルはマフィア撲滅するための秘密結社。ディアベルに入れば君の逃亡生活は終わるよ。因みにここはディアベル所有の病院だから安心して。」

「マフィアの私にマフィアを撲滅する組織に入れ?雲雀丘玲一、お前は馬鹿なのか?」

「俺はトップに嵌められた君を連れてこいって言われただけ。確か兄だか姉だかに陥れられたんだっけ?」

「なっ!?(この男どこまで知っている!?)」

「ディアベルのメンバー数人がロッソファミリーに潜入してるから筒抜けなんだよ。」

ニッと笑う玲一にソフィアは言った。

「ディアベルとやらはロッソファミリーの情報が欲しいのか?その為に私を助けたってこと?」

「話が早くて良いね。君の言う通りさ。ディアベルはロッソファミリーの情報が欲しい。」

「・・・どのみちマフィアとしやっていけないしね。良いわディアベルに入るわ。」

ソフィアはディアベルで生きていくことを選んだ。

その後、ソフィアはディアベル入りしたが一部のメンバーはソフィアを忌み嫌った。

「ソフィアってマフィアだったんでしょ?」

「何でそんな奴がここに居るんだ?」

「マフィアを入れて大丈夫なのか?」

「正直俺は嫌だね!」

忌み嫌ったメンバーはマフィアに家族や恋人、友人を殺されていた。

ソフィアはメンバーに忌み嫌われるのは分かっていた。
影口、嫌がらせを受けながらもソフィアは任務をこなしていた。時には任務中に嫌がらせをされて大怪我をしたこともあった。
だがソフィアは病室で拳を握りながら自分に向かって言った。

「こんなことで挫けてられない!いいえ挫けてはいけないのよ!私はそれだけのことをして生きてきたんだから!人の人生を狂わせてきたんだから!!」


強く握った拳から血が包帯に滲んでいた。


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