悪魔


数ヶ月後ーーー


恐怖の戦闘訓練が終わったと同時にツナと雲雀、クローム、玲一、ミリアム、ソフィアがダンテに呼び出され執務室に入った。

「ツナもクロームも大分仕上がった。任務ランクを上げる。」

今までも麻薬の売買の証拠を押さえたり、弱小レベルのマフィアのファミリーの潜入捜査等こなしてきたが上がるということは弱小ファミリーではなく、かなり大きなファミリーの潜入捜査かもしれないとツナとクロームは緊張した。

緊張した二人をよそにダンテは続けた。

「カルロから情報を得た。グリージョファミリー。このファミリーは人体実験をしている。そしてグリージョファミリーはキアロスクーロと同盟を組んでいる。」

「「キアロスクーロ!!」」

ツナとミリアムは同時に口にした。彼女達からしたら全てを壊して奪っていったデボラのファミリーだ。

「ビーニさんのファミリーと同盟で人体実験してるってことはもしかしてキアロスクーロが融資とかしてるのかな。」

ツナが言うとダンテは可能性はあると答えた。

「あの女のファミリーと同盟組んでるだけあるわ!」

ミリアムが吐き捨てるように言った。玲一は続きを促す。

「グリージョファミリーの人体実験施設に潜入し、研究員達を捕らえ人体実験の犠牲者を助け出すのが今回の任務だ。」

「今回はかなり大掛かりだね。勿論警察の方も動くよね?」

「警察は我々が捕らえた研究員達と犠牲者を引き取りに来るだけだ。」

「それだけ?」

「警察側は令状がなきゃ突入出来ん。カルロが得た情報は警察側は確証がないと突っぱねた。だがカルロと小隊編成された警察がディアベルに協力する形だ。」

玲一は成程と呟いた。

「成程ね。だからディアベルが全面的に動くのか。」

「あの女の同盟ファミリーの施設か。施設で何かキアロスクーロのことが分かればいいけど。」

「エストラーネオみたいに恐いことするファミリーもいるんだね。」

「骸様がいたら嬉々として乗り込むわ。」

ミリアムはキアロスクーロの情報が入ればいいと呟きツナとクロームは骸達の過去のことを思い出していた。

ダンテは雲雀の方を向いて口を開いた。

「君はどうする?」

「構わないよ。そのファミリーの人体実験施設を潰せばあの牝豚のファミリーが痛い思いをするだろうからね。」

雲雀はデボラのファミリーの同盟ファミリーなんぞ速攻で破壊してやると口角を上げた。
そんな雲雀を見てツナとクロームは。

『『いい表情しすぎ!!』』

下手をしたら人体実験施設は雑草さえ生えないくらいに破壊されそうだと思った。


「グリージョファミリー。確かにそのファミリーは昔から何かの実験をしてるって噂があったわ。」

ここで漸くソフィアが口を開いた。

カルロの情報とソフィアの話。ダンテはほぼ人体実験をしていると取っていいと判断した。

「玲一、ミリアム、ソフィア、ツナ、クローム。明日未明グリージョファミリーに突入する!」

「「「「了解!!」」」」


玲一が指揮を取ることが決まりツナ達は準備を始めた。


ーーーー

山奥にあるグリージョファミリーの人体実験施設にディアベルの部隊が囲むように配置される。ディアベル部隊の後方にはカルロと小隊編成された警察が配置された。

玲一はカルロがいる小隊に足を向けた。

「カルロ久しぶりだね。」

「今回は金髪のお嬢ちゃん(ミリアム)とディアベルで一二を争う美女(ソフィア)がいるな。」

カルロがそう言ってディアベル部隊を見渡すと見慣れない人物がいた。

「玲一に似てる奴とミルクティーみたいな少女と儚げな少女は新人か?」

「俺に似てるらしい奴は遠縁に当たる雲雀恭弥。その隣にいるのは沢田綱吉とクローム髑髏。」

玲一自身、雲雀とはたいして似ていないと思っているから似ているらしいと付け足した。

「遠縁!?沢田綱吉!?クローム髑髏!?」

「恭弥はディアベルと同盟を組んでるんだよ。ツナとクロームはディアベル新人メンバーだよ。」

カルロはどういうことだと驚いた。それはそうだ。元同居人の親戚がディアベルと同盟を組んでいるし、ツナは元ボンゴレのボス候補、クロームはボンゴレの守護者だ。

「機会があったら紹介するよ。それじゃ。」

「えっ?おい!?」

玲一は踵を返した。カルロはディアベルにとんでもない新人が入ったものだと驚愕した。


部隊に戻ってきた玲一にソフィアは話をした。

「ツナは私達と同じ部隊よね?」

「そうだけど。それがどうかした?」

部隊は研究者達を捕らえる突入部隊と被害者を保護する部隊がある。
雲雀は突入部隊でツナと玲一、クローム、ミリアム、ソフィアは被害者を保護する部隊なのだが。

「出来ればツナとクロームは突入部隊に回した方が良いんじゃないかしら?」

部隊に並んでいるツナとクロームを見て言うソフィアの言葉に玲一は眉を僅かに寄せた。

「・・・君はいつから任務に私情を挟むようになった?」

「それは・・・・・・。」

ソフィアは言葉を返せない。

「ソフィアの言いたいことは分かる。ツナとクロームに《実験の被害者》を見せたくないんだろう?」

「そうよ。・・・あの子達にはまだ早いわ。」

「ディアベルにいる限りいずれは見ることになる。早いも何もないさ。」

「でも!」

ソフィアに玲一は溜め息を吐いた。

「この任務の指揮を取ってるのは俺だよ。ツナとクロームは俺達と同じ部隊だ。この話は終わり。」

「・・・分かったわ。」

玲一はソフィアの話を切り上げ、ソフィアは唇を噛みつつも自分の部隊に並んだ。


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