悪魔
年が変わり日本では卒業シーズンを迎える頃、クロームはイタリアに渡っていた。
「ここがディアベルの本部でボスがいる場所。」
クロームは姿を消してディアベル本部に入っていく。
「ボスはどこにいるのかしら?」
クロームはディアベル本部の地下を歩いていると疲れきった顔のツナを見付けた。(玲一による戦闘訓練で疲れきっていた。雲雀は商談で不在)
幸いなことにここにはツナとクロームしかいない。
一ヵ所に霧が発生しツナは身構えるが霧が晴れると見知った人物が現れて目を見開いた。
「え?クロー・・・ム?」
「会いたかったボス!!」
クロームは駆け寄りツナに抱き付いた。
「クロームどうしてここに?骸は居ないみたいだけど?」
クロームはツナから離れて骸の指示で来たと話す。
「私は骸様の指示でここにきたの!私をディアベルに入れて!!」
「でもクロームは霧の守護者でしょ!?」
「そんなの辞めた。」
「ええっ!?」
二人のやり取りが聞こえたのか玲一がツナとクロームがいる場所に来た。
「ツナ、その子誰?」
平然としているが玲一の目は笑っていない。玲一からしたらクロームは侵入者だ。
ツナは玲一がクロームを敵視しているのに気付き慌てて紹介した。
「彼女はクローム。俺の親友で敵じゃありません!」
「クローム?ああ霧の守護者の?」
霧の守護者と言われてクロームは少しムッとして違うと答えた。
「私は辞めたからあの人の守護者じゃない。」
「辞めた?」
「私のボスはボスだけ。あの人じゃない。それより私をディアベルに入れて欲しいの。」
玲一はクロームを見て問う。
「クローム髑髏その真意は?ここは秘密結社で犯罪者集団みたいなものだ。好き好んで入る場所じゃない。守護者を辞めたなら君は一般人に戻れるだろ?」
「私はあの人の継承式に出てマフィアに顔を知られてるから一般人には戻れないわ。それに骸様の指示でもあるし。」
骸の指示。玲一は目を細める。ツナはハラハラする。
「骸の指示?彼も守護者だよね?」
「骸様はボンゴレを潰すために守護者のふりをしてるだけであの人とボンゴレを嫌ってる。」
「つまり君と六道骸はボンゴレの人間じゃないってこと?」
コクリと頷くクローム。
「言っておくけどこの世界に入ったら表社会に簡単には戻れなくなるよ。」
「構わないわ。骸様の指示で来たけど私は私の意思でここにいるの。ボスも大切な人だから。」
クロームの左目には強い意思が宿されていた。玲一はツナとクロームを共有スペースに行くように促した。
「俺の一存じゃ決められない。二人共、とりあえず共有スペースに行っててくれ。俺はダンテに話をしてくるから。」
玲一はその場を後にしてツナはクロームを共有スペースに案内した。
ダンテの執務室ーーー
ダンテは眉を寄せながら言う。
「クローム髑髏が?確かボンゴレの霧の守護者だった筈。」
玲一は説明した。
「何でも彼女はデボラ・ビーニを嫌って守護者を辞めたし霧の守護者の片割れの六道骸はボンゴレを潰すために守護者のふりをしてるだけらしい。それにさ彼女はツナの親友だし幻術の使い手だ。ディアベルには幻術士は少ないしクローム髑髏がメンバーになれば利益にはなるよ。」
確かに幻術士は貴重だ。クロームがメンバーになればディアベルの戦力は上がる。ダンテはクロームに会うことにした。
「まずは本人に会ってみるか。呼んできてくれ。」
「了解。」
玲一が執務室を出ていくとダンテは執務を再開した。
ーーーー
共有スペースでツナとクロームは話をしていた。
「本当に女の子なのね。」
「うん・・・その、嘘ついててゴメン。」
言い淀むツナにクロームは首を振った。
「男でも女でもボスはボスだから。それより何で疲れてるの?体調が悪いの?」
心配そうに覗き込むクロームにツナは戦闘訓練があったからだと話した。
「さっきあった人、玲一さんって言うんだけど俺の戦闘訓練の先生なんだよね。物凄くスパルタだから疲れるんだ。」
「そうなんだ。私もその人が先生になるのかな?」
どうやらクロームの中ではディアベル入りは決定しているようだ。
「ボス。玲一さんって言う人、雲の人に少しだけ似てると思う。」
「玲一さんは雲雀さんの遠縁なんだって。」
「雲の人と雲の人の親戚。骸様はここには来なくて正解かも。きっと顔を合わせては戦闘になっちゃうと思う。」
「ハハハ・・・。」
既に雲雀VS玲一を見ている。それだけでも怖かったのにそこに骸が加わったらディアベル本部の建物は崩壊する。ツナは顔をひきつらさせて笑った。
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玲一に呼ばれてクロームはダンテと会った。
「君がクローム髑髏さんか。ディアベルは秘密結社でマフィア殲滅の為の組織だ。入ったら表社会には戻れなくなる。」
「私は一般人だったボスを引きずり込んだあげくに簡単に裏切ったボンゴレが大嫌い。ボンゴレを潰せばボスはボンゴレからは解放される。その為に来た。それに私はマフィアに顔を知られてる。今更戻れないから関係ないわ。」
真っ直ぐダンテを見て話すクローム。ダンテはクロームの声で覚悟が出来てるのが分かりクロームのディアベル入りを認めた。