悪魔
午前中に戦闘訓練を終わらせてから軽く変装した二人はショッピングモールに赴いていた。
ミリアムはどれが似合うかと色々なワンピースやスカートをツナに合わせていてた。
「ツナはピンクとかオレンジとか水色が似合うかな。このワンピース良いかも!あとこのトップスも!」
似合いそうな洋服をカゴに入れるとツナに渡した。
「とりあえず試着してみて。」
「う、うん。」
色々な洋服がこれでもかと詰め込まれたカゴを渡されたツナは困惑していた。
確かに金は振り込まれていたがとてもじゃないがこんなに大量の(ワンピース5着、スカート10着、トップス7着、その他。おまけにそこそこ値段が高い)洋服を買うだけの金はない。
「ミリアム、こんなには買えないよ。」
「大丈夫!玲一がツナに任務成功のお祝いだって資金を貰ってるから!!」
「玲一さんからのお祝いーーーっ!?」
ツナは驚いた。
試着した結果、ミリアムが選んだ洋服はツナに似合っていて全て玲一の金で購入した。
ツナは遠慮したがミリアムは玲一の金だから問題ないとごり押しした。
その後アクセサリーショップ行き買った洋服に合わせたアクセサリーを中心に選んでいく。
「これは買ったピンクのワンピースにあうよ。」
「ミリアム、このネックレスはどうかな?レースの付いたTシャツに合いそう。」
「良いね!ツナ、これもどう?」
「可愛いね!ミリアムはこの色が似合いそう!」
端から見たら年頃の女の子の会話だ。誰もツナとミリアムが秘密結社の人間とは思わないだろう。
二人は両手で大量のショッピングバッグを持ちカフェに入る。
メニュー表を見てツナとミリアムは目がキラキラと輝く。ある意味洋服、アクセサリーを購入するより楽しそうだ。
「このフルーツタルト美味しそう~♪」
「あたしはガトーショコラにしようかな!それじゃツナが注文してみてね!」
「分かったやってみる。」
丁度店員が来てツナはフルーツタルトとガトーショコラと飲み物を注文した。
店員はしっかり聞き取れたようだ。
「ツナはもうちゃんと喋れるね。後は筆記だけかな。」
「読めるようにはなったんだけど書くのはまだまだだ。頑張るね。」
話しているとケーキと飲み物が運ばれてきてツナとミリアムは一口食べる。
「凄く美味しいよ!」
「でしょ?ここのカフェのケーキは絶品なんだ。」
ケーキと飲み物に舌づつみを打つツナとミリアム。
気が付くと夕方になっていた。
「そろそろ帰らないとね。」
「明日もまた恐怖の戦闘訓練があるし。」
「そういえば雲雀恭弥は玲一と親戚なんだって?」
「そうみたい。何処と無く似てるし。」
「確かに特にSっぽいところが。あの二人絶対ドSだよ! 」
「俺もそう思う。けど本人達に言ったら咬み殺されるか戦闘訓練のメニューが恐ろしいことになるかだよね。」
「・・・ツナ、黙ってようね。」
「うん・・・。」
戦闘訓練のメニューがキツくなって咬み殺されるのを想像してツナとミリアムは渇いた笑いをした。
ーーーー
ディアベルの共有スペースに行くと玲一と会った。
「二人共お帰り。」
「玲一さん。お祝いありがとうございます。」
ツナが礼を言うと玲一は気にしなくて良いと言ってミリアムを見た。
「バッチリだよ。」
「それなら良い。」
昨日のミリアムと玲一のやり取りを知らないツナは首を横に傾ける。
玲一はツナに着てみたらと促した。
「戦闘訓練も終わってるし着てみたら?」
いきなり言われてツナは何でだろう?と思うが洋服は玲一からのお祝い金で買った物。ツナは玲一がどんな洋服を買ったのか気になっているのかと思って頷いた。
ツナが着替えている間に玲一は雲雀を呼び出しミリアムは『やっぱり企んでるんじゃん!』と心の中で突っ込んだ。
ツナの戦闘訓練のことで話があると玲一に呼び出された雲雀は共有スペースで顔を若干赤くして固まった。
雲雀の目の前にはピンク色のワンピースを着たツナが立っていた。
「あれ?雲雀さんどうしたんですか?今日は戦闘訓練終わりましたよね?」
可愛いワンピース姿のツナが首を横に傾げて聞いてくる。
あまりの可愛らしさに固まったままの雲雀に玲一は肩を震わせて笑いを堪えていたが我慢出来ずに噴き出して笑った。
「クッ!ククッ!あははははっ!恭弥、ツナに何か言ってあげなよ!ははは!」
顔を赤くして固まったまま直立不動の雲雀を見て笑いまくる玲一。(心の中では笑い転げている。)
玲一の笑いまくる声で正気に戻った雲雀はトンファーを構えた。
「咬み殺す!!」
雲雀VS玲一の戦いが勃発した。・・・ディアベルの共有スペースで。
追いかけ暴れまくる雲雀とからかうように攻撃をかわす玲一。
ツナとミリアムは命からがら逃げ出し、騒ぎに気付いたディアベルのメンバーが割って入るまで共有スペースの隅でプルプルと震えながら見守っていた。
割って入ったディアベルのメンバー達は「ここは共有スペースで闘技場じゃない。」と軽く注意して共有スペースを後にした。
奇跡的に共有スペースのテーブルと椅子は無事で元の位置に戻していくツナとミリアム。
「あたしらが片付けるっておかしくない?」
「そうだけど玲一さんダンテさんに呼び出されたし雲雀さんは商談があるからって帰っちゃったし。」
任務と商談じゃ仕方ないと溜め息をしつつ割り切るしかなかった。