悪魔


継承式当日ーーー

控室でランボの代わりのキアロスクーロの構成員と顔合わせをした後、継承式が始まった。



9代目から大空のボンゴレギアを授与され、デボラは高らかに宣言した。


「私、デボラ・ビーニはボンゴレ10代目になる事をここに宣言いたします!」

沸き起こる祝福の拍手。デボラはついにボンゴレを手に入れたと歓喜した。

続いて守護者達の継承になりまた招待客達から祝福の拍手が会場内に沸き起こった。


そんな招待客達の中に祝福しない人物達がいた。

「何故、ボンゴレはあのような人物を10代目にしたのでしょう。彼女は真の大空ではありません。」

「今のボンゴレはその事が分からない程に堕ちてしまってるとしか思えねぇな。」

巫女の法衣を纏ったユニは呟き、γもまたユニの意見に頷くように返していた。ユニとγは一瞬でデボラの醜さを見抜いた。

またディーノとロマーリオも怪訝な顔をしていた。

「招待状と一緒にツナの事が書かれた書状が入っていたけどツナがあのお嬢さんを苛め抜いたとは思えねぇな。」

「俺もそう思うぜボス。それにキアロスクーロが怪しい動きをしている。」

ボンゴレのシマで麻薬の売買がひっそりと行われているのにも関わらず放置したり、キアロスクーロはボンゴレの為にと怪しい研究所を建てている。

以前から人身売買をしているのではないかと言われているキアロスクーロ。
そのキアロスクーロのボスの娘がツナを退けてボンゴレ10代目になった。


「ボンゴレとの同盟を続けるかどうか考えなきゃならないかも知れないな。」

ディーノはそう言うとロマーリオは頷いた。


継承式の後の披露目のパーティーでは京子とハルも参加を許されてデボラを祝福してデボラはありがとうと笑顔で返した後、守護者達を連れて招待客達に挨拶をしながら内心で高笑いしていた。(ユニとγ、ディーノとロマーリオはパーティーには参加せずに会場を去った。)

『ウフフ、アーハハハハハッ!!デボラはボンゴレ、いいえマフィアの女帝として君臨したわ!!』

これでキアロスクーロも安泰でデボラ自身も美形な守護者達に傅かれボンゴレを好きなように動かせると笑った。

獄寺達は挨拶回りが粗方終わると休憩しながらツナよりデボラが相応しい、ツナなんか不要だと罵っていたし、京子とハルもツナは苛めをする最低な人間、一層のこと消えればいいと罵っていた。


ツナの為だけに霧の守護者を引き受けたクロームはそんなデボラを蔑視していた。

『あの人と嵐の人達のせいでボスは酷い目に!でももうボスには指一本触れさせない!!』

骸は既にボンゴレを潰す為に動き出していた。

『クフフ。これで沢田綱吉はボンゴレ10代目ではなくなりました。』

これから暫くは楽しくなりそうだと骸は形の良い口に笑みを乗せた。



継承式が終わりデボラは獄寺達を軽食に誘った。

「皆~、お茶でもしない~?挨拶回りで殆ど食べれてないでしょ~。」

「10代目は特にお忙しかったですから食べる暇はなかったですよね。お供します!」

「確かに腹が減ってるのな~。」

「極限に空腹だぞ!京子と三浦も誘って良いか?」

「勿論よー。(京子とハルは邪魔なんだけど!後クロームも!)」

盛り上がっているデボラ達に骸が話しかけた。

「僕は遠慮します。クロームの体調が良くないようなので。」

クロームが内臓を幻術で補っている事を知っている獄寺達は心配したがデボラは骸だけを誘った。

「クローム大丈夫なのな?」

「疲れてんならさっさと休め。内臓を幻術で補ってるんだろ?」

「極限に体を休めるのだ!」

「クロームちゃん今日はお疲れ様~。部屋でゆっくり休んでねぇ~。でも骸君は大丈夫なんでしょー?皆でお茶しましょうよ~。(クロームは早く部屋にでも行けよ!)」

骸はデボラに怒りを感じるがにこやかに返した。

「クロームが心配なのでお気持ちだけいただきます。」

そう言い残して骸はクロームを連れてボンゴレが用意した部屋に足を向けた。
デボラは地団駄を踏みたい気持ちを押さえて獄寺達とお茶をした。


部屋に入ると骸は結界を張って誰にも会話を聞かれないようにした。

「クローム、沢田綱吉は日本にはいないと思います。」

「えっ!?でもアルコバレーノの話だとボスは刑務所にいるって言ってた。」

「確かにリボーンは僕達に説明しました。しかし沢田綱吉の夢に渡る事が出来ないのですよ。つまり彼は日本にはいない可能性が高い。」

「骸様、ボスは外国にいるの?」

首を横に傾けるクロームに骸は仮説を話した。

「僕は数日の間、沢田綱吉の夢に干渉しようとしましたが出来ませんでした。という事は彼が死んでいない限り外国にいるという事が考えられます。日本が夜中でも外国は朝だったりしますから。試しにこれから眠って沢田綱吉の夢を見つけてみようかと思いましてね。今夕方の5時ですからドイツやフランス等の中央ヨーロッパなら夜中です。」

骸の話に納得したクロームはそれなら眠れるようにハーブティーをルームサービスで頼み、数分後ラベンダーを中心にしたハーブティーが届けられた。

「骸様、ハーブティーです。」

「気が利きますね。」

骸はハーブティーを飲むと眠気が襲ってきた。(継承式でデボラに付き合わされてウンザリしていた上にハーブティーだ。あっという間だ。)

『そろそろ眠りそうですね。』

骸はベッドに横になって目を閉じた。


夢を渡りツナに会うことが出来たがツナに骸は驚いた。


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