悪魔
ダンテの執務室に入り玲一は書類を渡す。
「ツナの身体に蓄積されていたホルモン剤の成分の分析結果。」
ダンテは分析結果に目を走らせた。
「まさに麻薬と紙一重だな。ボンゴレは麻薬の精製、売買は禁じていた筈だ。」
「そうなんだけどね。でも実際は後継者のツナに与えていた。何でだと思う?」
「さぁな。ただツナが女だということはボンゴレにとって不都合なんだろう。」
「その辺はツナ本人に聞くしかないって言いたいけどツナも知らない様子だった。ただソフィアは何かに勘づいた感じだったよ。」
ツナ本人も知らなかった改造されたホルモン剤と男として生きてきた理由。それに勘づいたらしいソフィア。
ダンテはそろそろツナにボンゴレとキアロスクーロのことを聞こうと考えていた。
「ソフィアは元マフィアだ。ボンゴレの何かしらに気付いたのだろう。彼女はマフィアだった頃はボンゴレとは敵対していたしな。明日は玲一もソフィアもミリアムも任務はない。」
「明日に聞くってこと?」
無言で頷くダンテは他の書類にサインし始め玲一は執務室を出た。
『マフィアなんて弱者から搾取する集団。潰すのが楽しみだね。』
玲一は楽しそう笑った。
翌朝ーーー
ディアベル本部の近くにある建物が完成した。その建物はドゥーエ・グラディウス。
「うん。良いね気に入った。」
雲雀は満足そうに見やった。
そう彼は本当にディアベル本部の近くに風紀財団の支部を建てた。ただボンゴレ本部があるイタリアで堂々と風紀財団としたら直ぐにばれる。その為名前を全く違う物にした。
「さて、小動物に会いに行くか。」
今の時間は朝の7時。正直失礼な時間だが雲雀は気にもせずディアベル本部に出向いた。
ディアベル本部では呆れ顔の玲一と機嫌の良い雲雀が顔を付き合わせていた。
「風紀財団の支部が出来たから挨拶に来たよ。」
「それは良いけど今7時過ぎ何だけど。普通ならそんな早い時間は遠慮すると思うよ?」
「普通ならね。でもディアベルは普通もなにもないよ。それに今から任務に出る人間や帰還した人間もいるんじゃない?」
見も蓋もない言葉を言う雲雀に玲一は小さくため息をして中に招き入れた。
雲雀が共有スペースに案内されるととんでもない悲鳴がディアベル内に響いた。
「何だこりゃーーーーーーーーーーっ!!」
ツナは起きて早々に悲鳴を上げた。その悲鳴にミリアムとソフィアがツナの部屋に入る。
「ツナ寝ぼけてるの?・・・・。」
「え・・・。」
ミリアムとソフィアは目を点にした。
そこには信じられないという顔をしたツナ。そのツナに昨日までなかった胸があった。
そして遅れてツナの部屋に走って来た玲一と雲雀も目を点にした。といっても玲一は一瞬で直ぐに冷静になり面白そうに雲雀を見る。
「え・・・?沢田・・・・・・・・女?」
男だと思っていたツナが女だと知って茫然とする雲雀。玲一は茫然としている雲雀を見て面白い物を見たと笑いを堪えていた。
その後ここは女の子の部屋!男は出ていけ!とミリアムとソフィアに追い出されたのは言うまでもない。
追い出された男二人は共有スペースに戻り席に着いた。
先に口を開いたのは雲雀だ。
「ねえ?君は沢田が女って知っていたの?」
「何故そう思うの?」
「君もあの女達も直ぐに冷静になった。」
成程と玲一は納得して笑いながら肯定した。
「うん。俺達は最初から知っていたよ。ディアベルの情報網は伊達じゃない。」
「そう。」
雲雀は機嫌が降下中。理由は玲一。玲一は笑いを堪えていたが既に限界が来て噴き出していた。
『暴れるだけの恭弥が誰かに惚れるなんて本当に面白いよ。しかも必死に隠してるんだから尚更だ!』
玲一は面白いと雲雀を見た。雲雀は睨み返した。