悪魔


ツナは疲れきってヘロヘロだった。

原因はイタリア語の勉強ではない。
その後の玲一による戦闘訓練が原因だ。
とにかく玲一の攻撃は手加減されていても半端ない。パンチにしろキックにしろ一発一発が重たい為に食らえば吹っ飛ばされる。ツナは避けるのが精一杯だった。

闘技場でツナはゼーゼーと息をする。玲一は涼しい顔で汗一つかいていない。

「ツナ。今日はこれで終わりだよ。」

「はい、ありがとうございました。」



ツナは訓練で汗だくになりシャワーを浴びようとシャワールームに向かうとミリアムが声をかけてきた。

「ツナ大丈夫?」

ツナはミリアムの髪の色を見て目を点にした。ミリアムは髪の色に驚いてるツナに説明する。

「髪は染めてたんだ。本当は金髪。日本人は黒髪か茶髪が多いからさ。」

「そうだったんだ。でもミリアムは金髪の方が似合うかな。目の色も素敵だし。」

「ツナも茶色の髪と目でとても可愛いよ!」

「ありがとう。・・・・・・。」


ツナはミリアムの身体を見て自分の身体と比較した。
ミリアムは特に巨乳でもないが普通に胸がありウエストはキュッと括れヒップのラインも魅力的だ。ソフィアは胸は大きくウエストは括れてヒップも魅力的でまさにボンでキュッでポンだ。
それに引き替え自分は女性らしい丸みの帯びた身体とは程遠い。胸なんか全くない。ブラジャーの必要すらない。
それどころか少年のような体つきで未だに初潮を迎えてない。
ツナは色々考えているとミリアムが心配した。

「ツナどうしたの?訓練がキツいなら玲一に言っておくけど。アイツSっ気があるし。あたしもアイツの戦闘訓練は死ぬかと毎日思うし。」

「大丈夫だよ。疲れてるけどキツくはないから。(Sっ気って・・・・(汗))」

黒衣の家庭教師の修行、制裁と比べたらずっとマシだとツナは実感していた。



シャワーを浴びながらツナは自分は身体は何か問題があるんじゃないかと考えていた。

『体つきは人によって様々だし世の中胸がない女の人もいるって聞いたことあるけど18才なのに初潮が来ないのって・・・・・・。』


今までは何故か男として生きていくことを強要されてきた。理由も知らない。
でも今は両親と家庭教師、友人、先輩、ボンゴレに御払い箱にされて男として生きる必要は無くなり女として生きていける。
最初のうちは女物の洋服を着用出来ることが嬉しくて喜んだがそれと同時に初潮を迎えていないことに気が付き不安を感じるようになった。

「俺のーーーー。」

身体は大丈夫なのかな?と言う声はシャワーの音にかき消された。





不安を感じながらもツナはイタリア語をソフィアとミリアムに教わり、玲一に戦闘訓練を受ける日々を送っていた。

この日はディアベルの共有スペースでミリアムがツナにイタリア語を教えることになっていたがツナの顔色が悪い。

「ツナ、顔色が悪いよ。玲一にも言っておくから今日は止めておこう。」

確かにツナは体調が優れなかった。体中に痛みを感じていたがだんだん痛みが強くなり、目眩がツナを襲う。だが早くイタリア語を覚えないとこれからのディアベルでの生活に支障が出ると思い我慢する。ディアベルのメンバー全員が日本語を喋れる訳ではないからだ。


「大丈夫だよ。それにーーーー」


イタリア語早く覚えたいしと言おうとしたがツナは意識を手放し倒れた。共有スペースにはツナとミリアムしかいない。

「ツナ!?誰か来て!!」

その声に気付いて入ってきたソフィアと玲一はディアベル本部から少し離れた場所にあるディアベルの医療施設にツナを運んだ。


連絡を受けた医療施設の医師は診察したが原因が不明だからと精密検査を行うことにした。

心配そうにしてツナの傍にいるミリアムをソフィアが宥める。

「ツナが心配なのは分かるけど検査の邪魔になるから私達は診察室から出ましょ?」

「分かった。」

ミリアムとソフィアが出ていくと医師は玲一に検査結果は明日中には出すと言って各分野のエキスパートを呼び出した。



ーーーー

ツナは目を覚ますと見慣れない天井が見えた。ここはどこだという感じで体を起こすと自分にはよく分からない機材が置いてあり、窓から外を見ると朝焼けが分かる。

「俺はミリアムにイタリア語を習おうとしてたよね?」

混乱するツナは左腕に針が刺されそれを辿るように見ると点滴が目に入った。

「あれ?点滴?」

どういうことなんだと首を傾げているとドアが開き医師が入ってきた。

「目が覚めましたか。ここはディアベルの医療施設です。沢田さんは昨日倒れてここに運ばれました。」

医師は点滴を交換しながら話す。

「え!?」

そういえばミリアムと話していて途中から記憶がない。そしてベッドにいる。
ツナは自分が倒れたと分かった。

「原因が判らなかったので精密検査をしました。」

「精密検査!?俺はどこか悪いんですか!?」

「検査結果はもうじき出ると思います。」

医師は告げると退室した。



ツナはリボーンが家庭教師としてやって来てから生活が一変した。
骸の急襲、命懸けのリング争奪戦、未来での百蘭との戦い、炎真が率いるシモンファミリーとの死闘、アルコバレーノの呪いを解く為の代理戦。
これだけの戦いをしてきていた。それだけでも体に負担はかかっていた。そしてデボラに嵌められて仲間だった筈の人間に暴力を振るわれて身体は怪我だらけになっていった。


「検査結果って俺はどこか悪いの?だとしたら沢山戦っていたときの怪我かリボーン達の制裁が原因?」


ツナは不安を拭うことが出来なかった。


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