悪魔
翌日ーーー
朝食を食べ終わったツナは目の前の人物に大きな目を更に大きくして固まっていた。
「久しぶりだね小動物。」
ツナを小動物と言う人物は一人しかいない。
「ひ、ひ、ひ、ひば、雲雀さん!?」
漸く声を出したツナ。同じく朝食を終えたミリアムとソフィア、他のメンバー達は即行で来たと驚いていた。
ツナを刑務所から無事救出したと朝に連絡した。多分その連絡を受けて雲雀は直ぐに来たのだろう。
ツナの顔を見て、声を聞いて雲雀は安心したと同時に心が温かくなったが。
「や、やっぱり俺を咬み殺しに!?」
並盛ではデボラを襲ってその後苛めている。更には暴力を振るったことになっている。
風紀を愛する雲雀を怒らせたとツナは顔色を真っ青にした。
雲雀は真っ青になったツナに青筋を立てる。
「まさか君、僕があの牝豚の方を信じたとでも思ったわけ?」
ジリジリとにじり寄る雲雀にツナは青白い顔のまま後退りする。
ソフィアとミリアムが割って入ろうとした時、ドアが開いた。
「恭弥、うちのメンバーを恐がらせないで。」
雲雀の肩を掴み止めた玲一。雲雀は玲一の言葉に眉を寄せた。
「うちのメンバー?」
「沢田さんはディアベルのメンバーだよ。」
「小動物!どういうことさ!?」
青筋を立てたままの雲雀に聞かれたツナはビクビクして答えた。
「俺、自分の意思でディアベルのメンバーになりました。」
「何で?」
「ボンゴレの継承式の時に俺がボンゴレの次代ってことはマフィア中で知られてます。一般人として生きて行くのは無理だし帰る場所はないですし。それに・・・。」
「それに?」
リボーン達とやり直せる可能性があるかも知れない。でもあくまで可能性だ。
「いえ、なんでもないです。」
雲雀は大方、リボーン達とやり直せる可能性を言いたかったのだろうと検討をつけたが、相変わらずお人好しなツナに少々呆れ気味だ。
「成程ね。でもディアベルじゃなくても良いんじゃない?小動物?」
「え?」
「例えば僕が今作っている風紀財団とかさ。君なら僕の専属の秘書にしてあげる。」
勧誘しだした雲雀。ツナを傍に置きたいのが如何に分かる。
ツナはオロオロした。どう考えても秘書なら草壁がいるし、ドジで成績は下から数えた方が早いくらいの頭の悪さだ。
何で風紀財団に勧誘されているの分からない。
そんな二人を見て玲一はストップをかける。
「うちのメンバーを勧誘しないで。明日には日本を出るしね。だから諦めて。」
「明日!?僕は聞いてない!!」
「恭弥には言ってないから。同盟を組んでるとはいえディアベルの人間じゃない人に内部事情を話す必要はないからね。」
「くっ!!」
悔しそうにする雲雀。そんな雲雀を面白そうに見る玲一。更にからかおうと口を開く。
「なら恭弥もディアベルに入る?風紀財団とやらの人間もOKだよ?」
「誰が入るか!!」
だが雲雀はならばディアベル本部の近くに風紀財団の支部を作ってやると草壁に命じて作らせ始めた。
ーーーー
「ここがイタリア。」
イタリアに渡ったツナ。
テレビや雑誌でしか見たことがなかった国にツナはミリアムの時のようにキョロキョロと見ている。
「沢田さんはイタリアは初めてなの?」
ミリアムが聞くとコクンと頷く。
「うん。」
「そうなんだ。あたしも海外は初めてだったよ。日本の名所とか見たかったなー。」
ツナとミリアムの会話に玲一は『観光しに行ったわけじゃないだろ?』とミリアムに内心突っ込みを入れるがソフィアは仲良くやってるみたいだからイタリア語はミリアムに教えさせてみようかしら?と玲一に言った。
「沢田さんはイタリア語は喋れないみたいだからミリアムに教えさせてみたら?」
「そうだね。年も1つ2つくらいしか変わらないみたいだし。」
其々が会話していると一台の車が停まった。
「皆さんお疲れ様です。」
ディアベル本部のメンバーが迎えに来てツナ達が乗ったのを確認すると本部に向かって走り出した。