悪魔


見張りの刑務官を全員気絶させたミリアム。

「全員気絶させたから早く出ようよ!」

ツナはミリアムの声も聞こえず呆然としていた。ソフィアはツナの手を優しく掴んで出入口を走り出ていく。

「沢田さんもうすぐ外よ!」

ソフィアの言葉でツナはハッと我に返る。

後、3メートル、2メートル、1メートル・・・


ツナは刑務所の外に出た。刑務作業等で出たことはあったが本当の意味で出たことに涙してソフィアは指でツナの涙を拭った。
ミリアムは隠し持っていた通信機で玲一に連絡を入れる。

「こちらミリアム。作戦成功よ!」

『了解。直ぐ俺達の居る車に来て。』

「了解。」

ミリアムは通信を切りツナとソフィアに急いでと声をかけた。

「沢田さん、私の仲間が迎えに来てるから一先ず一緒に行きましょ?」

「え・・・?一緒にって良いの?」


てっきりここから別れると思っていたツナは見上げてソフィアを見て言った。

「ええ。それに無一文じゃ暮らしていけないわ。」

「あっ!確かに。」

ツナは刑務所に入れられると同時に金もリボーンに取り上げられていたし、刑務作業で稼いだ報奨金は出所時に渡されるものだ。


「半田さんありがとう!」

穢れのない笑顔で言われてソフィアは少しだけ罪悪感を感じた。決して善意で助けた訳ではないからだ。

「・・・・急ぎましょう!」

ソフィアはツナを連れて玲一達が待っている車に乗り込んだ。


ワゴン車に乗ると運転席はディアベル支部のメンバー、助手席には玲一がいた。

「二人共お疲れさん。君が沢田綱吉だね。」

「あの、何で俺の名前を?」

「それはまだ内緒だよ。それより三人共これに着替えて。」

玲一はそれぞれに袋を渡す。聞いても内緒と言われたツナは困惑気味だ。それに何処と無く雲雀に似ていて更に困惑した。

車内に取り付けられたカーテンを引き着替え始めるミリアムとソフィア。ツナは袋から洋服を出した。

「これ何?」

出てきたのは洋服とカツラ、カラーコンタクトだった。

「脱獄したから変装はしないとね。」

ソフィアに言われてそうかと納得して着替え始めた。初めて袖を通す女物の洋服に多少悪戦苦闘しながら着替え、ネットで髪を纏めてカツラを被り、ソフィアにカラーコンタクトの入れ方を教わった。


「あら、似合うじゃない!可愛いわよ!」

「似合う似合う!」


どこから見ても女の子にしか見えないツナ。

ソフィアとミリアムに言われてツナは本当に?と聞き返した。

「沢田さんはふんわりした感じの服が似合うのね!」

「可愛い!!」

似合ってると言うソフィアとミリアム。ツナはは嬉しさ半分と恥ずかしさ半分だ。

三人の会話を聞きながら玲一は逃走ルートに幾つか置いたポイントに連絡を入れた。

「これから順にポイントに向かう。」

『『『了解!』』』


ツナはポイントって何?と思うが超直感が危険はないと知らせてきて安心した。


最初のポイントに着くと目の前にあるのは青色の軽自動車。

「このワゴン車はここまで。苑子、幻術で姿を消して。」

玲一に言われてソフィアは自分と玲一、ツナ、ミリアム、運転手、ワゴン車、青色の軽自動車を幻術で隠す。

「隠したけどゆっくり移動してね。私は幻術が苦手だから早い動きをされると解けてしまうのよ。」

ソフィアの言葉に頷きツナ達はゆっくりと軽自動車に乗り込んだ。

ポイントで待機していたメンバーも幻術で隠されていて静かにワゴン車に乗る。

「それじゃ俺達は次のポイントに行くから。」

「分かりました。自分達はこのワゴン車で適当に走ってきます。」

そう言ってツナと玲一達が乗った車とワゴン車は別の道を走り出した。
その後幾つかのポイントで車を乗り換えていく。


「あの、何で乗り換えてるの?」

ツナは不思議に思っていた。

「乗り換えて行くことで多少は時間稼ぎになるからよ。同じ車で移動したらすぐに足がつく可能性が高いわ。」

ソフィアが説明しているとディアベル日本支部に到着した。


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