悪魔
デボラを思い出し知らず知らずのうちに眉間に皺を寄せている雲雀に玲一が声をかける。
「どうした恭弥?」
「どうもしてない。それより沢田を助けたら身柄はどうなるの?」
少なくとも沢田家、ボンゴレには帰せない。
「今のところディアベル本部で保護する形になるかな。」
「本部?どこ?」
「イタリア。ある意味安全だ。まさかボンゴレもキアロスクーロもイタリアに沢田綱吉がいるなんて思わないだろうから。」
「灯台もと暗しってヤツか。」
雲雀はツナと再会する日は近いと思った。
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雲雀がディアベルと仮だが同盟を組んで2日後、玲一とディアベル支部のメンバーは準備を進めていた。
「逃走ルートは多少遠回りだけどこのルートが一番安全だ。」
ルートを説明する玲一とディアベル支部のリーダー。部下のメンバーはそれを頭に叩き込む。
「玲一さん、沢田綱吉とソフィアさんとミリアムさんの変装用の服の準備が整いました!」
「逃走用の車に入れておいて!」
「沢田綱吉の偽造パスポート出来上がりました!それと刑務所に潜入したメンバーから連絡があります!」
「分かった!」
玲一は潜入したメンバーの話を聞く。
『玲一さん!こちらの準備は整いました!夜中1時に停電中を起こさせます。』
「了解。」
玲一とディアベル支部は慌ただしく動いていた。
夜中1時ーーー
事前にディアベルの看守がツナとソフィアの雑居房とミリアムの雑居房の鍵を開けていた。
ソフィアはツナに作戦の内容を話していなかった。下手に話して他の受刑者に聞かれたら厄介だからだ。
『そろそろ停電ね。』
ソフィアがそう思うと同時に刑務所全体が停電した。
「え!?停電!」
戸惑うツナにソフィアは耳元で囁く。
「今のうちに脱獄するわよ!」
「え?」
「話は後!鍵が開いてるから出て!」
訳がわからない状態でツナはソフィアに急かされ雑居房から出ると隣の方から小さな声が聞こえた。
「半田さん、沢田さん!」
声をかけてきたのはミリアム。ツナは隣の雑居房の小林美香だと分かったが益々分けがわからなかった。
「沢田さん、小林さんも脱獄するから。」
「よろしく沢田さん。それじゃ早く行こう!」
「大丈夫なの?」
不安そうに聞いてくるツナにミリアムは大丈夫と答えてソフィアの方を見る。ソフィアは仕方なく頷き幻術を発動させてツナとソフィア、ミリアム姿を消した。
「え!?幻術??半田さん貴方は??」
「あまり大きな声は出さないで。このまま出るわよ。」
「う、うん。」
停電が起きて騒がしくなるが幻術で姿を消している為に難なく出入口にたどり着いたが見張りの刑務官がいて停電に気付き騒いでいた。
ミリアムは幻術で姿を消した状態で見張りの刑務官を手刀で気絶させていく。しかしミリアムが派手に動く度に所々姿が見えている。
「幻術は苦手だわ。」
所々姿が見えているミリアムを見てソフィアは改めて幻術のスキルが低いことを再確認している。ツナはソフィアとミリアムは一体何者なんだろうと茫然と見ていた。