悪魔


雲雀に鼻で笑われてリボーンは怒鳴る。

「何がおかしい!!」

怒鳴るリボーンに雲雀は笑った。

「ワオ!駄犬達の名前が出たけど六道とクローム髑髏は出なかったのに認めていないのは僕だけって言ってることがおかしいよ。」

矛盾してると嘲る雲雀にリボーンは更におかしなことを言い出した。

「骸とクローム達はボンゴレに保護されてる身だ。仮に骸が拒否したらクローム達は保護を取り消される。忠誠を誓うまでもねぇ!」

クローム達は人質。だから骸は逆らわない。以前ならそうだろう。しかし骸は復讐者から恩赦を言い渡され自由の身だ。それにクロームとフランは復讐者に追われてはいないし他の面子は復讐者のリーダーのバミューダが放置しているから問題がない。問題があったらとっくの昔に犬、千種、M・Mは捕まっている筈だ。
はっきり言って保護を取り消されても何の支障がない。それなのにクローム達を人質のように言うリボーン。
堕落したリボーンにはもう興味はない。寧ろ雲雀にとって害でしかない。

『女の色香に嵌まって矛盾していることに気付かない。残念だよ赤ん坊。』

雲雀はこれ以上リボーンとデボラといる価値はないと追い出しに出た。

「さっさと出ていって。赤ん坊にもその女にも興味は全く無い。」

「雲雀!デボラを見て何も思わないのか!?」

デボラの手足には包帯が巻かれている。雲雀はデボラの右腕を掴み包帯を乱暴に取った。


「怪我してるの?何もないけど?」

それはそうだ。怪我なんか一つもしていない。デボラは顔色が変わった。リボーンもデボラの腕を見て驚いている。デボラは誤魔化そうとしろどもどろに口を開いた。

「こ、これは、これ以上沢田君に暴力を振るわれないようにしてて。これを見たら沢田君も暴力は振るわないかもって。」

「デボラは自分の身を守ってんだ!」


デボラの嘘とそれに騙されるリボーン。雲雀は呆れて物が言えない。雲雀は無言でデボラの腕を掴んだまま引き摺り応接室を出る。リボーンは何するんだ!女は優しくしやがれ!と喚くが雲雀は引き摺り続けて風紀財団から追い出した。

「雲雀、今日のところは帰るが次来るときは良い返事を待っているぞ!デボラ、屋敷まで送ってやる。」

リボーンはデボラを守るように立ち去った。


雲雀はリボーンとデボラの後ろ姿を一瞥したあとツナの話を聞きに沢田家に向かった。



沢田家のチャイムを鳴らすと母親の奈々が出てきた。

「確か、ツッ君のお友達の雲雀君?」

「うん。沢田はいる?」

奈々は溜め息を吐いた。

「ツッ君は今留置所よ!あの子ったらデボラちゃんを苛めたあげくに暴力を振るって大怪我をさせたのよ!!」

「留置所?」

怪訝そうにする雲雀に気付かないで奈々は吐き捨てるように言った。

「ええ。でもツッ君は暫く留置所で反省すれば良いのよ!」

丁度良いと言う奈々。実際は刑務所に入れられているがそれリボーンによって伏せられていた。いきなり刑務所に入れられたと知ったら奈々が怪しむ可能性があったからだ。

「沢田はいつから留置所に入ったの?」

「1ヶ月前かしら?」

平然と答える奈々に雲雀は眉を寄せる。

「1ヶ月?だったらもう拘置所に入れられてるんじゃない?弁護士を雇ったりしてるの?」

奈々はその心配はないと雲雀に言った。

「拘置所には入らないようになってるわ!何でも家光さんの知り合いが留置場の刑務官らしくてね。ツッ君が反省するまで留置場で預かって貰ってるよ。」

雲雀はその知り合いはボンゴレかキアロスクーロだと分かった。知り合いと言ったのは奈々が一般人の括りだからだろう。

「そう。自分の子供より赤の他人を信じるんだ?母親の癖に。」

馬鹿にするように蔑視すると奈々は目を吊り上げて喚き出した。

「な!?失礼な子ね!他人の貴方にうちの躾に口を出さないでちょうだい!!」

「そう。ならもう良いよ。」

雲雀は留置場からツナを出そうと踵を返した。


そしてツナの居る留置場を探そうとするが何処にも居ない。もう拘置所に入れられてしまったのかと今度は日本の拘置所を全て調べるがツナがいる形跡はない。


「まさか、取り調べすらしないで刑務所に!?」

ボンゴレもキアロスクーロもマフィアだ。刑務所くらい簡単に圧力をかけてツナを収容してもおかしくはない。

日本中の刑務所を調べあげツナが居た痕跡があった刑務所を見付けた。
だがそこは並盛から相当離れた土地でその上ボンゴレとキアロスクーロが圧力をかけていてツナを刑務所から出すことが出来なかった。(この時既にツナは女性受刑者の刑務所に移動していた。)

そうこうしているうちに風紀財団に融資してくれるイタリアのある企業との契約をする日が来てしまい雲雀は草壁を伴ってイタリアへ渡った。


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