番狂わせ
卒業式を無事終えると椎子が正式にボンゴレ10代目に就任することが決まり、イタリアに渡ることになった。
沢田家のリビングでは奈々と家光が言い合いになっていた。
「ツッ君をイタリアに連れて行くってどういうことなの!? 」
「ボンゴレで決定したことだ。」
「・・・まさかリボーンちゃんと背瀬川さんと獄寺君達も行くんじゃないわよね?」
「椎子嬢は次期社長でリボーンは幹部兼相談役。獄寺達は幹部になることが決定し、留学という形で既にイタリアに渡っている。」
「背瀬川さんが社長でリボーンちゃん達が幹部ならツッ君は関係無いじゃない!」
「煩い!ツナが二度と苛めなんて馬鹿なことをしないように教育する!その為に仕方なく連れて行くんだ。」
イタリアに行ったらツナの周囲には悪意を持った人間しかいない。奈々は自分も行くと家光に言った。
「だったら私も行くわ!」
家光は眉を寄せた。
「奈々は駄目だ。」
「ツッ君の身の回りの世話は母親の私の務めよ!」
「ツナの傍に居るとツナは甘えるだけだ。お前はツナに騙されてるんだ!」
「騙されてなんていません!寧ろ騙されてるのは貴方達の方よ!」
奈々と家光が言い争っているとリボーンがリビングに入って来た。
「ママン。家光の言う通りだぞ。ママンが居たらツナの奴は甘えて本当に駄目になるんだぞ?ツナが心を入れ替えるようにしっかり指導してやるから。」
「ツナが罪を認めて反省したと父親の俺が判断したら会わせてやるからそれまでは接触は許さん。」
奈々はリボーンと家光に怒鳴った。
「指導?反省?ふざけないで!ツナは私が生んだ大切な子です!貴方とは離婚します!ツナは絶対に渡さない!イタリアになんか連れて行かせないわ!」
キッと大きな目を吊り上げる奈々に家光は呆れつつも奈々の首の後ろに手刀を当てた。
「済まない奈々。」
ドンッーーー
「っ!?」
気を失う奈々をソファーに寝かせるとリボーンと家光はツナが居る部屋に向かってツナの髪の毛を掴むと引き摺るように部屋から出した。
家光は乱暴に手を離すとツナを睨みながら言った。
「準備など要らん!必要な物は向こうで用意する。」
「さっさと立ち上がれ!」
リボーンがツナに飛び蹴りを食らわしてツナはよろよろと立ち上がる。
「今から空港に向かう。指導は引き続きリボーンだ。」
ツナはイタリアに行ったら家畜以下の扱いを受けると分かっていて泣きそうなるが堪えてはいと言って頷いた後、無言で俯いた。
反省していないツナに家光はこれ見よがしにハァーッと溜め息をするとリボーンに顔を向けた。
「済まないな椎子嬢の教育もあるのに馬鹿娘のせいで苦労かけることになって。」
「いや構わねーぞ。悪いのはダメツナだからな。」
「そう言ってくれると助かる。ツナ、ちゃんとした子になってくれ。ボンゴレの名にこれ以上傷を付けるなよ。」
「ダメツナ!椎子の才能に嫉妬するのは分かるがな嫉妬するくらいなら見習え!」
リボーンと家光はツナを指導と称した暴言を吐いてツナをイタリアに渡らせた。
ツナと家光、リボーンがイタリアに渡った頃京子はリボーンに電話してあることを頼み込んだ。
「もしもしリボーン君?」
『京子か?久しぶりだな。』
「あのね、ボンゴレに行きたいの!」
『何でだ?京子は一般人だぞ?』
「そうだけどお兄ちゃんが心配で心配で。お兄ちゃん暴走しちゃうから。ほら、よく獄寺君と喧嘩しちゃうし。だから止められる人が必要でしょ?ね?」
『・・・一般人の京子を巻き込みたくはねえが、確かに了平を止められるのは京子しかいねえからな。良いだろう。家光や9代目には伝えておくぞ。』
必死に言ってくる京子をさすがに無下には出来ずリボーンは承諾した。
京子はありがとうと言って電話を切ると沢田家に全速力で走って行った。