番狂わせ


奈々が離婚して沢田から日柳になったツナは土曜日の午後から並盛高校のある教室でヒーヒー言っていた。
ツナの後ろの席にいる京子と花は見守っている。

何故ツナがヒーヒー言って、京子と花が見守っているのか。それはツナが並盛高校を初登校した時に雲雀からあることを指示されたことにあった。
並盛高校の制服を着て京子と花と登校すると正門で雲雀に話し掛けられた。
応接室に移動したツナと京子と花は雲雀に促されてソファーに座った。
雲雀はツナに生徒手帳を渡す。

「はい。無くさないようにね。それから日柳は笹川と黒川と同じクラスだけど暫くの間特別カリキュラムを受けること。」

「?」

キョトンとした顔のツナに雲雀は当然だと言った。

「イタリアに行ってた間小動物は高校に通ってないでしょ?それに並盛中でもつねにドベコースだったんだ。そんな学力で授業に追い付くとは思えない。だから君だけ特別カリキュラムを受けるんだよ。」

雲雀に学力のことを指摘されツナは教師とマンツーマンで授業を受けるのを想像して可愛らしい顔が真っ青になる。

「一人で特別カリキュラムって・・・。」

「群れたいならそれこそ死ぬ気でやるんだね。中学と違って高校は単位を落とすと留年だから。合格点は90点以上だ。」

最も留年なんて落ちこぼれは咬み殺すけどねと付け加えた雲雀にツナは半べそをかいた。京子と花は慰めつつ応援することにした。


特別カリキュラムが開始され2ヶ月が経った今日、京子と花が見守る中死ぬ気で試験を受けていた。この試験で合格点を取れば晴れて京子と花と同じクラスで過ごすことが出来るのだ。

全ての教科の試験を終えたツナは机に突っ伏した。

「ツナちゃん大丈夫?」

「・・・・・・。」

「大丈夫じゃなさそうね・・・。」

もう声も出せないくらいに疲れきったツナの目の前で教師達は採点を始めた。

シュッシュッとペンが走る音を聞きながらツナは祈る。これでアウトなら特別カリキュラム続行で雲雀に小言を言われるのだ。
特別カリキュラムが始まり1ヶ月が経った頃に試験を受けて幾つかの教科が不合格だった。そしてやる気ある?とトンファーを出した雲雀にツナはスライディング土下座をした。スライディング土下座をするツナに雲雀は次の試験で合格しなかったら咬み殺すからと脅されているのだ。今回不合格だったら咬み殺されるフラグが立つ。ツナは死ぬ気で祈った。

全ての採点が終わる。教師達はツナを見て言った。

「日柳、全て合格点だ!おめでとう!」

返却された答案用紙を見ると今まで取ったことがない素晴らしい点が書かれていた。

「や、やったーーーーっ!!」

「明日から一緒のクラスだね!」

「日柳頑張ったわ!」

大はしゃぎのツナを(雲雀に咬み殺されなくてすむから余計にはしゃぐ。)京子と花はおめでとうとお祝い事のように喜んだ。


帰り支度をしながらツナは窓から夕日を見た。

『皆は元気かな?』

今の平和な暮らしがあるのは煌とヴァレリオ、ルナ、ランボ、イーピン、フゥ太、ディーノ、ユニのおかげだ。

夕空を見ていると花と京子に話し掛けられた。

「日柳ボーッとしてどうしたの?」

「え?何でもないよ。」

「お祝いに今日はナミモリーヌでケーキ食べようよ!」

京子の提案に花がそれはいいわねと言った。

「そうと決まれば日柳早く支度して。」

「うん。」

鞄に教科書やノート答案用紙を入れてツナは京子達と学校を出た。


ツナは夕暮れの空を仰ぐ。

『煌君元気にしてると良いな。』

初恋の人を思うツナは大切な思い出にして自分の未来に向かって歩き出した。


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