番狂わせ
イタリア観光を思う存分楽しんだツナと奈々、イーピン、フゥ太はアルジェント本部でランボと別れの言葉を交わしていた。
「ランボ信じてくれてありがとう。」
「元気でね。ランボちゃん。」
「ランボ元気で。」
「さようならランボさん。」
「ウワーン!ワアーン!」
泣きながら見送るツナ達。寂しくて泣いているランボは迎えに来たドン・ボヴィーノにリムジンに乗せられた。ランボはリムジンの窓を開けて手を振った。
「ツナもママンもイーピンもフゥ太も元気でねだもんねーーーっ!」
ツナ達も手を振りもう会うことはないランボの幸せを祈った。
その翌日、風がイーピンを迎えに来た。
「今まで弟子のイーピンがお世話になりました。」
ペコリと挨拶をする風にツナと奈々とフゥ太は顔を上げさせた。
「俺を信じてくれてありがとう。」
「イーピンちゃん支えてくれてありがとうね。」
「イーピン元気でね。」
「ツナさん、奈々さん、フゥ太さん今までありがとう。イーピン一緒に過ごせて楽しかった。」
イーピンもまた手を振って風とアルジェント本部を去って行った。
部屋に戻ったツナは寂しいと感じていた。椎子が現れるまでいつも一緒に居たのだから。出会った日を思い出し泣いていると扉をノックする音がした。
涙を拭いて扉を開けた。
「都奈、少し良いか?」
「うん。」
部屋に入った煌はソファーに座りツナも座った。向かい側に座ったツナに煌はこれからのことを話した。
「ディーノから連絡が入った。」
「ディーノさんから?」
「正確にはディーノを通した雲雀恭弥からだ。」
「雲雀さん!?」
ボンゴレが無くなった以上関係は無いも同然なのに何故連絡をしてきたのだろうと首を傾げた。
心底不思議そうにするツナに煌は苦笑した。
「都奈はもう元雲の守護者とは関係が無いと思っているみたいだな。」
「うん。」
「まあその雲雀恭弥からの伝言。全部整ったから帰国しても大丈夫だそうだ。」
「整った?」
「何でも並盛で都奈を苛めた奴は退学させて並盛中の教師達はクビにしたとか。その後そいつらを刑務所に纏めて放り込んだって言ってたぞ。」
「ええーーーーっ!雲雀さんは雲雀さんでやるって言ってたことはこれかーーーー!!」
自分が被害届を出さなくても雲雀が動いてしまえばそれまで。風紀の乱れを嫌う雲雀のことだ。徹底的に追い詰めて年齢関係なく刑務所に入れたのだろう。そう思うとツナは軽く目眩がした。
目眩でクラクラしているツナに煌はあることを切り出した。
「都奈、明日帰国だよ。奈々さんには伝えてる。」
「え?」
「都奈は晴れて一般人だ。ここに居てはいけない。」
「・・・そっか、もう終わったんだよね。」
幼馴染みの煌はアルジェントファミリーのボス。一般人の自分がアルジェント本部にいるのはおかしい。ツナは泣きそうなのを堪えて頷いた。すると煌が参ったと後頭部をかいた。
「せっかくの可愛い顔が台無しだぜ。」
「ご、こめんね。」
何とか笑顔を作るツナに煌はまた苦笑して懐から1枚の書類を出した。
「一生涯持ってて。」
受け取った書類にはツナが一般人であることを認めると書かれていてその書類の発行者はバミューダだった。
「これを持ってたら俺はマフィアに狙われることは無いんだよね。」
「ああ。仮に狙われてもこの書類を見せれば問題ないだろ?」
「本当にありがとう煌君。」
我慢してきたがついに堪えられなくなったツナは泣いてしまった。煌はツナの頭を撫でた。
「相変わらず泣き虫だな。まあ今は泣いて良いけど明日は笑顔だぞ?」
「うん。」
煌はツナが泣き止むまで頭を撫でていた。