番狂わせ
鎖をジャラジャラと鳴らしている復讐者イェーガーは椎子に向かって首輪をはめる。
「背瀬川椎子。お前はマフィアの掟に背いた。ゆえに投獄する。」
椎子はわけが分からないと泣きながら首輪を外そうとする。
「椎子は掟に背いた覚えはないわ!」
だから外せと喚く椎子にイェーガーは簡単に説明した。
「背瀬川椎子お前は過去に一般人を陥れた。」
「そんなことしてないわ!」
スコトスより小規模のファミリーの子息や令嬢を脅したりはしたが一般人には手を出していない。なのに何故と椎子はわけが分からず泣いている。
「スコトスファミリーはボンゴレ欲しさに沢田都奈を陥れた。これはボンゴレに対する裏切り行為だ。また禁じている人身売買に人体実験に麻薬栽培に麻薬売買に手を染めている。そして沢田都奈がボンゴレ10代目から引きずり下ろされた時点で彼女は一般人の括りだ。そんな一般人の沢田都奈にお前はマフィアの任務を押し付けていた。」
「あ・・・・・・。」
同盟ファミリーであるボンゴレを裏切る行為をして、禁じられている悪事に手を染めた。そしてあろうことか一般人になったツナにマフィアの力を行使した。
椎子は漸く自分とスコトスがしてきたことの重大さに気付いた。
「やっと理解出来たようだな。ドン・アルジェントよこの者は水牢に収容する。」
「ああ。牝豚にはお似合いだな。」
引き摺られる椎子は泣き喚いた。
「い、嫌ぁぁぁぁぁぁーーーーーっ!こんなことになるなんてぇーー!ツナをもう苛めないから許してえーーーーっ!」
泣き叫ぶ椎子に煌は嘲る。
「今まで許しを乞う人が許されなかった気持ちが分かって良かったな。」
「ああ・・・ぁ・・・・・・。」
イェーガーに引き摺られながら椎子は煌の言葉に唖然として暗闇に消えていった。煌は事前に復讐者に話を付けていたのだ。ヴァレリオが引いていた理由はこのことだった。
椎子が復讐者に連行されてロビーはしんとした中、連行されなかったリボーン達はこれで何とかなると愚かにも思った。煌は先ずは椎子からだと復讐者に言っていたにも関わらずに。
「ドン・アルジェント!ロープをほどいてくれ!ツナを10代目にする準備をしなきゃならねえ。」
「本部の修繕もしなくてはね。」
「俺もツナの為にチェデフを何とかしないとな。」
「これからは俺達で10代目を支えていくぜ!」
「獄寺の言う通りだな!」
「椎子は嫌な奴だったな!これからは沢田を極限に護るぞ!」
「ツナが継げばきっと雲雀恭弥やクロームが守護者に復帰してくれる筈よ。」
勝手に盛り上がるリボーン達に煌とヴァレリオとアルジェントの部下、ボンゴレとスコトスの元同盟ファミリーは本気で言っているのかと蔑視している。蔑視されていることに気付かないリボーン達に煌は吐き気がした。
「もしかして貴様ら本気で言っているのか?」
「そうだぞ!それからツナは安全な場所に居るんだろ?早く連れてきてくれ。」
リボーンの言葉に獄寺達は同意して、煌は凍土を思わせるほどの冷たい目で転がってるリボーン達を見やる。
「その前にこれから流す映像を見て貰う。拒否権はないからな。」
煌が告げるとまたボンゴレとスコトスの元同盟ファミリーが再びリボーン達の髪を掴みスクリーンの方に向ける。それが合図になり映像が流れた。
ツナの部屋ではリボーン達と本部に用があった家光がツナを罵っていた。
「ぐずぐずしてねえでさっさと立ちやがれ!」
「全く反省していないようだな。父親として情けないぞ。」
「未だに10代目に謝罪しねえ沢田は本当に屑だな!」
「早くしろよな。」
「こっちは極限暇ではないのだぞ!」
リボーン達はツナを引き摺るように射撃訓練場に連れて行き着いたと同時にリボーンがツナの背中を蹴り飛ばした。転ぶツナを見て醜く笑う守護者達。リボーンも嘲笑いながらツナに命令した。
「今日のてめえの仕事は此処の武器のメンテナンスと在庫の確認だ!1時間で終らせろよ!」
弾の数1つでも間違えたらねっちょり制裁だぞと脅してリボーン達は去って行った。
ここで一旦映像が切れる。
煌はリボーン達に問う。
「貴様らは一人で1時間で完璧に終わらせられるのか?」
「「「「・・・・・・。」」」」
問われてリボーン達は出来るわけがないと沈黙した。
煌は侮蔑しながらヴァレリオに続きを流すように指示した。
リボーン達がツナを囲み罵倒していた。
「このダメツナが!」
「メンテナンス終わってねえのかよ!」
「弾丸の数もあってないのなっ!」
「極限使えない奴だな!」
「苛めはするわ任務は失敗するわ雑務すら出来ない。呆れたぞ。」
ごめんなさいと謝るツナにリボーンはニヤリと笑う。
「これはねっちょり制裁だな。」
リボーンの言葉で獄寺達はツナに暴行を加え始めた。ツナは止めてと泣きながら言っても獄寺達は止めることは無く暴力を振い気絶するまで暴力は続いた。
「失敗する度に都奈に制裁していたようだが都奈が生きていたのは奇跡だな。殺す気だったのか?」
「・・・ツナを殺す気は無かった。」
リボーンがなんとか答えるが煌は怪訝そうにする。そんな煌にヴァレリオはあることを教えた。
「都奈さんの超直感で知った話だとアルコバレーノが鍛えたから死なないと思っているとわかったらしい。」
「「「「・・・・・・。」」」」
図星で何も言えないリボーン達に煌とアルジェントの部下、ボンゴレとスコトスの元同盟ファミリーは嫌悪感を露にした。
更に映像を流していく。主に流れる映像はツナを更正させる為だと言って暴力を振るっている獄寺達とツナを叱り付け罵倒する家光と9代目の姿。
その時の顔は椎子よりもツナを見下す淀んだ目にツナの人格を否定する言葉を発する口は酷く歪で醜悪だった。
あまりの醜さに煌とヴァレリオ、アルジェントの部下、ボンゴレとスコスの元同盟ファミリーはこうも醜くなれるのかと顔を顰める。
リボーン達は醜い顔をしている自分を見て愕然とした。
「酷い顔だな。背瀬川椎子に簡単に騙された挙げ句腰巾着に成り下がったのが今の貴様達だ。」
椎子を盲信した結果、リボーン達は堕落したのだ。
愕然としているリボーン達を尻目にまた映像を流した。