番狂わせ
椎子を睨み付けるリボーン達は椎子に問いつめた。
「一体あれはどういうことだっ!」
「椎子さん!!」
「何か言えよ!」
「椎子!答えて!」
「どの映像もボンゴレが禁じていることばかりだ!」
「椎子ちゃん、説明しなさい!」
問い詰められた椎子は沈黙するが了平がぽつりと呟いた。
「極限に沢田に苛められていたのか?やはり先程見せた姿が本性なのか?」
醜悪な顔でアルジェント部隊と混合部隊を汚い言葉で罵り喚いていた椎子を思い出すと了平は椎子はツナに苛められていたのか疑問しかない。
了平の言葉にリボーン達は了平を見る。
「一体・・・何があったんだ?」
「アルジェントに捕らえられた時に椎子は醜い顔をして奪われた物を取り返そうとする同盟ファミリーやそれを助けるアルジェントを口汚く罵倒していたのだ!」
そこには優しい椎子の姿は無かったと答えるとリボーンは椎子に怒鳴った。
「あの映像といい、了平の話といいどういうことだ!俺様達を騙したのか!」
悪事が暴かれてしまった椎子は笑いだした。
「フフフッ!そうよ!ボンゴレが欲しかったからあんた達を騙してダメツナを嵌めてやったのよ!おかげでこっちは楽だったわ!」
「何だと!」
「やはり極限に騙して馬鹿にしていたのだな!」
「てめえに忠誠を誓った俺が馬鹿だったぜ!」
「背瀬川はもう親友でもボスでもないのな!」
「この性悪女!リボーン達に謝罪しなさい!」
「背瀬川椎子。君を信じたワシが愚かだった!」
「お前のせいでボンゴレは危機に見舞われているんだぞ!」
「うるさい!ダメツナに暴力振るって楽しんでたのはあんた達じゃない!椎子は苛められたって言っただけ。本当にあんた達は馬鹿よね~。ウフフ、ハハハッ、アーハッハッハ!」
一頻り笑うと椎子は煌を睨み付けた。
「よくも椎子に恥をかかせたわね。」
「恥をかかせたって恥をかくようなことをした結果だろう?」
見下ろす煌に椎子はニヤ~と笑う。
「謝るなら今のうちよ!椎子には切り札があるんだから!」
「切り札?」
椎子から人質になりえる京子やランボ、イーピン、フゥ太、奈々を取り上げ、スコトスファミリーの同盟ファミリーを取り上げた煌は首を傾げた。
椎子は楽しそうに話出した。
「椎子の奥歯の銀歯はねスイッチなのよ!スイッチを押せばスコトスファミリーに直ぐに連絡が入って沢山の同盟ファミリーを引き連れてここに押し寄せてくるわよ!勿論武装してね!」
どうだと言わんばかりの椎子に煌は口に手を当てて笑いを堪えるが椎子は煌が不味いことになったと焦っていると勘違いした。
「さあ、ドン・アルジェント今すぐ椎子に跪きなさい!そしてダメツナとリボーン達を殺しなさい!そうしたら椎子しかボンゴレは継げないものね。」
椎子の言葉にリボーン達はふざけるな!と口々に言うがリボーン達を押さえ込んでいる者達がうるさいと怒鳴り付け黙らせた。そして煌は答えた。
「断るよ。」
あっさり断る煌に椎子は激怒した。
「何ですって!?チャンスをあげるわ!跪け!さもなければ笹川京子が殺されちゃうわよ?それに京子を人質はにしたら何処かに隠れているダメツナを誘き寄せるものね!」
最後のチャンスだと言う椎子に煌は笑いだした。
「京子さんは帰国してるぞ?どうやって殺すんだ?」
「くっ!そうだった!・・・でもまだ人質に出来る奴はいるわ!ランボとかね!」
「ランボを人質にする気?無駄だよ。ボヴィーノはアルジェントの同盟ファミリーだぞ?人質にしたらアルジェントを言いなりにするどころか抗争が始まるだけだ。ああ、ついでに言っておくけど沢田奈々とイーピンとフゥ太はアルジェントが保護してるから人質に出来る奴は居ないぞ?」
人質に出来る人物を全て失っていたことに椎子は唇を噛むが目の前にいるスコトスの元同盟ファミリーに命令する。
「あんた達スコトスの同盟ファミリー何だから椎子を助けなさいよ!」
助けたら金でも女でも何でも褒美をやるわ!と言うが元同盟ファミリーは冷笑した。
「ワシはスコトスとは同盟を白紙にして今はアルジェントの同盟ファミリーじゃ!」
「私もですわ!スコトスとは同盟を破棄してアルジェントと同盟を組んでますから。」
「大体我々はアルジェント側にいるのに何で気付かないんだ?呆れるぜ。」
「ここにいるスコトスの同盟ファミリーは全て縁を切ったファミリーだ。」
同盟を破棄したのだから椎子を助ける義理はないと笑う声に椎子はこの場にいる同盟ファミリーも使えないことを知って顔を真っ赤にして煌に向かって喚き散らす。
「だったらスイッチを押すまでよ!ここにいないスコトスの同盟ファミリーは味方の筈だしね!アルジェントは犠牲者を出すのを嫌うファミリーだもの!犠牲者を出して後悔したら良いわ!」
奥歯の銀歯を強く噛むとカチッと口の中から音がして椎子は口角を上げる。
そんな椎子を見て煌は頬を指でポリポリかきながらアルジェントの部下が持ってきた物を受け取る。
「牝豚。そのスイッチ無駄だよ。ほらこれ見てみな。」
煌は立て膝をつき椎子に1枚の写真を見せた。その写真を見て椎子は絶叫した。
「お父様!?お母様!?嫌ぁぁぁぁぁぁーーーーーっ!」
両親の切断された首が転がってる写真を見て椎子は泣き叫んだ。泣き叫ぶ椎子に煌は楽しそうに話をした。
「言っておくけどスコトスファミリーの同盟ファミリーは全てアルジェント側に付いた。ボンゴレファミリーの同盟ファミリーもアルジェント側だ。ヴァリアーは牝豚達を切り捨てている。それにアルジェントから見たらスコトスなんて弱小ファミリーだ。」
ボンゴレと椎子は丸裸同然だと笑う煌に椎子は喚き散らした。
「なんてことしてくれたのよ!そんなんじゃ椎子はマフィア界のトップに立てないじゃない!」
両親を失いスコトスを失い椎子は醜悪な顔を晒して怒りでプルプル震えている。煌はそんな椎子に鉄槌を下す。
「先ずは背瀬川椎子から頼む!」
煌の声に答えたかのように空間が丸く歪む。そこから冷たい風が吹いている。そして空間の向こうに見えるのは暗闇。その暗闇から現れたのは復讐者だった。