番狂わせ


ロビーにはスクリーンが設置されていて、通信室や自室で拘束されていた獄寺と山本、椎子と了平がうつ伏せで転がっている。椎子達の回りにはアルジェントや同盟ファミリーが囲むように立っていた。
煌とヴァレリオが拘束されたリボーンと9代目とビアンキを引き摺るようにロビーに入るとアルジェントと同盟ファミリーは道を開ける。

「貴様らもここで転がってろ。」

煌とヴァレリオはリボーン達を突飛ばして転がした。
転がされながらも煌とヴァレリオを睨み付け椎子とリボーン達は喚く。

「ドン・アルジェント。ボンゴレは何もしてないのに攻めるなんて酷い!」

「宣戦布告も無しに攻撃しやがって!ボンゴレなめんじゃねえ!」

「椎子さんを離しやがれ!」

「ボンゴレの同盟ファミリーを唆して卑怯なのな!」

「こっちは沢山の犠牲が出たのよ!!」

「我々は何もしてないのに何故!」

「ドン・アルジェント。説明してもらおうかの?」

説明次第では不利なのはアルジェントの方だと言うリボーン達。黙っているのは椎子の本性を垣間見た了平だけだ。黙っている了平にリボーンは睨み付け何か言えと怒鳴るが了平は普段見ていた椎子と先程見た椎子のあまりの違いに何も言えずここで漸くツナは無実なのでは?と考え出していた。そんな様子の椎子達を煌は無表情で彼等の前に立った。

「ここに集まって貰ったのは貴様らにある映像を見て貰う為だ。映像を見てそれでもボンゴレは悪くないと言えるならアルジェントはボンゴレの傘下に入ろう。」

ニヤリと口角を上げて笑う煌に椎子達は睨み付けた。
ヴァレリオはボンゴレの元同盟ファミリーにあることを言う。

「ああそうだ。誰かこいつらが映像を見やすいようにしてやってくれ。」

元同盟ファミリーのボスや幹部が椎子達の髪を掴んでスクリーンの方に顔を向かせた。ヴァレリオは椎子達がスクリーンの方を向いたことを確認すると煌に次の指示を待つ。

「これで準備は万端だ。薄汚い目をかっ開いて見るんだな。ヴァレリオ映像を流せ。」

「了解。」

ヴァレリオが映像を流すとあるパーティー会場の外観が写り次に写った映像にリボーンと9代目と守護者達は目を見開いた。
パーティー会場で値段を付けられている女性や男性、幼児がいて彼等を買っている人物が写っていた。買い手は品定めをして泣いて嫌がる商品を嘲笑い買っていく。そしてその会場には笑うスコトス夫人とその幹部が写っていた。他の会場の映像も人身売買を行いゲラゲラと下品に笑うドン・スコトスが写っていた。
次の映像はドン・スコトスと椎子が人体実験の研究所を視察する映像が流れる。人体実験で苦しんでいる被害者を見て愉しそうに見ているドン・スコトスと椎子。一頻り楽しんだドン・スコトスと椎子は人体実験のデータを見てニヤニヤと笑い、使い物にならなくなった被験者は処分しろと命じていた。
その次はエメラルドのネックレスとルビーのブローチを身に付けた椎子とドン・スコトスとスコトス夫人が麻薬栽培の視察をしている映像。そこにはこの栽培場を任されている部下はドン・スコトスと夫人に麻薬のデータを見せてていてドン・スコトスと夫人は満足そうに笑っている。
両親の傍で椎子は歪んだ笑みを見せている。椎子の目の前にいるのは泣きながら許しを乞う美少女と少女に付き添う女性がいた。椎子は両親にこの少女と女性に麻薬を与えたいと言いだした。

「ねえお父様お母様こいつらに新しい麻薬を与えたらどうかしら?あのデータを見たけどまだ人体実験はしてないでしょ~?」

「そうねえ。丁度人間に使おうと思ったところですしね。」

「そうと決まればコイツらを実験室に連れて行け!」

顔色が真っ青になる少女と女性に更に追い打ちをかける椎子。

「だったら椎子がやってあげる。せっかく椎子がエメラルドのネックレスとルビーのブローチを貰ってあげるって言ったのに寄越さなかったのよね。まあ潰した際に手に入れたから良いけどねー。」

少女と女性はスコトスとスコトスの同盟ファミリーが潰したファミリーの生き残りで少女はファミリーの令嬢で女性はその令嬢付きのメイドだった。
実験室に連れて行かれた少女はメイドだけでもと許しを乞い続ける。メイドは令嬢だけは許して欲しいと土下座をした。
許して欲しいと懇願する少女とメイドに椎子は醜い笑みを見せて注射器を取り出すと部下に少女とメイドの腕を出させ椎子は注射器に液体を入れていく。

「さあスコトスの為に肥やしになってちょうだい。キャハハハハッ!」

泣き叫ぶ少女とメイドに椎子は嘲笑いながら注射器を刺した。


映像が終わると椎子達の頭を掴んでいた者達は手を離した。

椎子は青ざめ、リボーン達は椎子を睨み付けた。


35/46ページ
スキ