番狂わせ


まともに指示を出せなくなった山本と違って煌は的確に指示を出していき、ついにボンゴレ雨部隊と嵐部隊、晴部隊は全滅し、残されたのは山本だけになった。
アルジェントとボンゴレ元同盟ファミリーは一斉に山本を取り囲み武器を構える。
山本は憎々しげにボンゴレの元同盟ファミリーに喚く。

「同盟ファミリーなのに何故攻撃してきたんだよ!これは立派な裏切り行為なのな!アルジェントとは中立の立場だろ!今まで問題なんて起こしてないのな!」

喚き散らす山本にボンゴレ元同盟ファミリーは冷笑した。

「裏切り行為で結構。同盟ファミリーにタカるハイエナファミリーとの同盟など破棄だ!」

「ワシもじゃ。ボンゴレをかさにして金品を奪う背瀬川椎子をボスにしているファミリーと同盟を組んだままならボンゴレと戦った方がマシじゃ!」

「無理矢理同盟を組ませて抗争の度に最前線に配置されるこっちは多大な被害しかねえんだよ。その癖最大規模のボンゴレは後方でふんぞりかりやがって!大ボンゴレが聞いて呆れるぜ! 」

「背瀬川椎子には恨みしかねえんだよ。俺の娘を自殺に追い込むほど嫌がらせしやがってよ!そんな牝豚の腰巾着共も同罪だ!」

「私も同じですわ!私の娘からアクセサリーを奪っ取った上に怪我を負わせて!そのせいで娘は右足に麻痺が残ったのよ!」

「背瀬川椎子とスコトスは我々が貸した会場で人身売買をしていたんだぞ!」

「俺のファミリーの別荘でも人身売買をしていた!貸すんじゃなかったと我々のボスは嘆いていた!我々のボスを侮辱したも同然だ許せん!」

山本は優しい椎子がそんな酷いことはしない!と怒鳴ると煌が一歩前に出る。

「初めましてボンゴレの雨の守護者。しかし情けないな?自分が率いる部隊が全滅して貴様だけが生き残るとはね。」

山本はギリギリと睨み付けるが煌は何事も無かったように受け流し拳銃で山本の右腕を撃った。すると空かさずボンゴレの元同盟ファミリーの中で棍棒などの鈍器が武器である者達が山本の両足を骨折させた。
獄寺のように痛みに呻く山本にボンゴレの元同盟ファミリーの者達はロープで縛られた。芋虫のように転がされている山本を煌は一瞥するとアルジェントの部下2名に山本を通信室に閉じ込めておけと指示を出して、第二混合部隊と晴混合部隊の半数を待機させ、残りの部隊は煌と共にボンゴレ9代目とその守護者を捕らえに向かった。



ボスの執務室の隠し通路から脱出を試みた椎子と了平はアルジェントとボンゴレ元同盟ファミリーに攻め込まれていた。

「なっ!?何で隠し通路の出口側から敵が入ってきたの!?」

慌てふためく椎子に了平は敵に聞かれないように耳打ちした。

「椎子!極限に撤退して椎子の部屋の方の通路を使うぞ!」

「わ、分かったわ。」

急いで撤退して隠し通路の扉を閉じて足止めさせて椎子の部屋の隠し通路を使ったがそこでも出口側からアルジェントとボンゴレ元同盟ファミリーが攻めてきた。

「嘘でしょ!?」

両方の隠し通路が知られていることに椎子は顔色を青くさせる。了平は椎子の手を引いて来た道を戻るしかない。椎子の部屋に戻り扉を閉める。とりあえず一時的に凌げたと思ったのもつかの間で扉が破壊され、アルジェントとボンゴレ元同盟ファミリーが椎子と了平は囲まれる。更に爆音がしてドタドタと足音が聞こえた。

「ま、まさか!?」

「そんな!?」

椎子と了平は冷や汗をかくとバタンッと乱暴に椎子の部屋の扉が開き、執務室の隠し通路から来たアルジェントとボンゴレ元同盟ファミリーが突撃してきた。

大勢の敵に囲まれた椎子と了平。アルジェントとボンゴレ元同盟ファミリーは拳銃を構えた。この時点で椎子と了平は手も足もでなかった。了平の武器は自身の拳で肉弾戦でしか通用しない。椎子に至っては護身術すら身に付けていない。護身用の拳銃すらまともに扱えなのだ。

ボンゴレ元同盟ファミリーは椎子と了平をギリギリと睨み付ける。そんな憎しみを込めて睨んでくるボンゴレ元同盟ファミリーに椎子と了平は怒鳴った。

「何なのよ!何で椎子を睨むのよ!あんた達はボンゴレの同盟ファミリーじゃない!これは裏切り行為よ!」

「何故攻撃してきたのだ!それにアルジェントとは何一つ問題を起こしてはいないぞ!一方的に仕掛けてくるとは極限に納得いかん!」

睨み返す椎子と了平にボンゴレ元同盟ファミリーは嘲った。

「俺はボンゴレとの縁は切る。これ以上ボンゴレやスコトスの言いなりになるつもりはない!」

「何かにつけて物資を寄越せ!資金を寄越せとたかってくるボンゴレとスコトスに従い続けるくらいなら貴様らと戦う方がマシだぜ!」

「背瀬川椎子!貴様に奪われたスターサファイアの指輪を返してもらう!」

「私もボスの証であるブレスレットを返してもらうわ!」

「パールのネックレスは孫娘に返してもらうぞ!」

「妹のピアスを返せ!」

「婚約者に贈ったバッグは牝豚には似合わない!!」

椎子が奪ってきた物を取り返しに来たボンゴレ元同盟ファミリーの者達は椎子の部屋を荒らしながら探し始めた。


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