番狂わせ


深夜になりルナは部隊から離れてツナの部屋の窓を3回嘴でつついた。

ツナとヴァレリオはルナからの合図で動き出した。

「都奈さん!今から5階の物置部屋へ!」

「分かりました!」

ツナが部屋を出ていくのを確認したルナはツナの救出部隊が待機している場所に飛んでいった。ヴァレリオが都奈の後を追うように走り出すと爆音がボンゴレ本部に響いた。


リボーン達は何が起きたんだと慌てて状況を部下に確認させた。

「何があったんだ!」

「中立ファミリーのアルジェントファミリーとボンゴレの同盟ファミリーが西側から攻めてきました!」

「何だと!何故中立のアルジェントとボンゴレの同盟ファミリーがボンゴレを攻めて来たんだ!?」

拳銃を手にしながらリボーンは部下達に戦闘体制を取れと指示を出し、獄寺達にもそれぞれ指示を出した。

「獄寺はチェデフとヴァリアーに連絡と片っ端から同盟ファミリーに援軍を要請しろ!了平は隠し通路を使わせて椎子を一旦本部から脱出させろ!山本は嵐部隊と雨部隊と晴部隊を率いて同盟ファミリーとアルジェントを迎撃しろ!俺とビアンキも嵐と雨と晴の部隊とダメツナで一番守りが薄い南側で迎撃する!」

「「「はい!/おう!」」」

獄寺はヴァリアーとチェデフに連絡を入れるが繋がらない。

「何でどっちも繋がらねえんだよ!?仕方ねえ先に同盟ファミリーに援軍を要請するしかねえ!まずは跳ね馬んところだ!」

キャバッローネに連絡を入れ、援軍を要請したのだが。

「拒否だと!?」

『ボスもロマーリオもイタリアには居ません。我々の判断で動かす訳にはいきません!』

獄寺はディーノとロマーリオが日本に行っていることを思い出し通信に出た幹部に今すぐにディーノに連絡を取って許可を得ろと怒鳴りながら言うが。

『昨日からボスにもロマーリオにも連絡がつきません。なのでキャバッローネはボンゴレの要請を受けることは出来ません。』

「なっ!」

ブツーーー

通信を切られ獄寺はまたキャバッローネに連絡を入れるが無視されてしまいふざけるなと喚きながら他の同盟ファミリーに連絡を入れた。だが。

『今ボスはアメリカのファミリーとの会談でイタリアには居ません。我々の判断でファミリーを動かす訳にいきません。』

『ボスも幹部もフランスのファミリーとのパーティーで本部には居ません。』

ボスが居ない為、勝手に判断して動かす訳にいかないと要請を拒否されてしまい、中には繋がらないファミリーもいた。結局要請を受けたのはボンゴレを手に入れようと虎視眈々と狙っているファミリーだけだった。


集めるだけ集めた獄寺の下に部下が慌ててある通信を報告した。

「大変です!スコトスファミリーがアルジェントと何故か同盟ファミリーに攻められて壊滅に近い状況に!援軍を要請してます!」

「何!?こっちもそれどころじゃねえ!」

「しかしこのままだとスコトスファミリーが!」

獄寺と部下がやり取りしている間も爆音や銃声、怒号が聞こえ、はっきり言ってボンゴレを守るのが精一杯。獄寺は苛立ちげに髪をかき上げ部下に部隊を編成するように命令を出し、スコトスファミリーに援軍を向かわせる旨を伝えようとした時、通信機からある男の声がした。

「スコトスファミリーは潰させて貰った!」

「なっ!?その声は確かダラスファミリーのボス!?ダラスはスコトスと同盟を組んだ筈。何故!?」

「同盟?とんでもない。無理矢理組まされて金を寄越せ、人員を寄越せと要求して来るハイエナファミリーなんざ全滅させられて当然だ!私はスコトスとは縁を切りアルジェントと同盟を組んだ。」

獄寺が椎子の実家でもあるスコトスファミリーを貶める言論と同盟を破棄したことに腹を立てて怒鳴り散らそうとする前に通信が切れた。そして次の瞬間ある画像が送られてきた。

「なっ!?これは!?」

画像は瓦礫と化したスコトス本部をバックにスコトスファミリーのボスとその妻の首が無造作に転がされていた。
愕然としているとアルジェントとボンゴレの元同盟ファミリーが攻めてきた。
獄寺と数名の部下を囲むアルジェントとボンゴレの元同盟ファミリー。

「何でボンゴレを攻撃したんだ!てめえらはボンゴレと同盟を組んでるだろうが!アルジェントは中立で揉め事なんか起こしてねえだろ!」

怒鳴る獄寺にボンゴレの元同盟ファミリーの者達は口々に言った。

「ボンゴレとは今をもって同盟を切る!」

「私のボスから伝言です。ボンゴレとは縁を切るとのことです。」

「あんな頭の悪い背瀬川椎子をボスにしているボンゴレなど何の価値もない!」

「おまけに背瀬川椎子は物乞いですものね。」

「物乞いと言うより恐喝女だ。」

「それに同調する守護者やリボーンには呆れるぜ。」

「全くボンゴレという組織は何時から強奪するファミリーに堕ちたのですか?」

憎しみ、侮蔑、嘲笑と言った負の感情をぶつけられた獄寺は何故こんな責め立てられなくてはならいんだと睨み付ける。そんな獄寺にアルジェントとボンゴレの元同盟ファミリーの者達が獄寺を押さえ込み、獄寺を助けようとする部下はアルジェントの部下に撃ち殺された。
押さえ込まれた獄寺は右足を折られ、両手の指全てを砕かれた後、ロープで縛られ通信室の隅に転がされた。
痛みに呻く獄寺を尻目にアルジェントとボンゴレの元同盟ファミリーの合同部隊は煌に連絡を入れる。

「こちら第一混合部隊。通信室を制圧しました。その際嵐の守護者も捉えました。」

「そうか!よくやった!次の指示まで通信室で待機!」

煌はボンゴレのロビーで山本が率いるボンゴレの部隊と戦いながら指示を出していた。

「アルジェント嵐部隊はボンゴレの雨部隊を分解しろ!アルジェント雨部隊はボンゴレ嵐部隊を沈静化させろ!アルジェント霧部隊は前方、ボンゴレ元同盟ファミリー霧部隊は後方から来るボンゴレ部隊を撹乱させろ!アルジェントとボンゴレ元同盟ファミリーの第二混合部隊と第三混合部隊は霧部隊が撹乱させた所で迎撃だ!混合晴部隊は怪我人の治療を優先させろ!混合雷部隊は各部隊の援護!」

「「「「了解!!」」」」

アルジェントの嵐部隊はボンゴレの雨部隊の沈静の能力を分解していき、同じく雨部隊はボンゴレ嵐部隊を沈静化して動きを封じていく。
アルジェント霧部隊とボンゴレ元同盟ファミリー霧部隊は協力しあい術をかけボンゴレの部隊を混乱させる。その隙に混合部隊は次々と攻撃に入る。
ジリジリと圧されるボンゴレ部隊。部隊を率いる山本は焦り指示をまともに出せなくなっていった。


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