番狂わせ
京子がキャバッローネ本部に着くとディーノはお茶でもしようと中庭に誘った。
テーブルには既にティーセットが用意されていた。ロマーリオがディーノと京子に紅茶を淹れて渡すと京子はディーノに気になったことを聞いた。
「ボンゴレと同盟を組んでるのにキャバッローネは大丈夫なんですか?」
「そのことなら大丈夫だぜ。アルジェントとはツナを助ける為だけの間は同盟を組んでるからな。・・・まあアルジェントとは正式に組んでも良いかもとは思っているけどよ。」
どのみちボンゴレは潰えるのだ。キャバッローネとは敵対しているファミリーも巻き添えにして。
キャバッローネの敵対ファミリーはアルジェントともボンゴレとも同盟を組んでいる。だが煌はキャバッローネと敵対しているファミリーを会合に呼ばなかった。つまりキャバッローネの敵対ファミリーは抗争が始まった時、ボンゴレを手に入れようと動く筈。それを見逃すアルジェントではないとディーノは考えていた。それならばアルジェントと同盟を組んでも何も問題がない。
京子はディーノが問題はないと言い切ったことで安心した。ツナはディーノのことも心配していたから。
「それを聞いて安心しました。ツナちゃんはディーノさんのこと心配してましたから。」
「ツナは相変わらずだな。自分が一番大変なのにさ。」
「まあそれが沢田の嬢ちゃんの良いところだな。」
ディーノとロマーリオはツナのお人好しな性格に口元に笑みを乗せたが京子に次の計画に移そうと促した。
「そろそろ次の計画に移そうぜ。」
「はい!」
京子は携帯で了平に連絡を入れた。ワンコールで出た辺り本当に心配しているのが分かる。
『京子何かあったのか?』
京子は慌てているふりをした。
「お母さんが体調を崩したみたいで!明日帰国することにしたわ!」
『何だと!俺も今から帰国する準備を極限にするから!』
「お兄ちゃんは椎子さんを支えなきゃ駄目よ!」
『しかしだなーーー』
途中でディーノが電話を代わった。
「大丈夫だ。俺達が日本まで京子をボディーガードするからさ。それにボンゴレが敵対ファミリーに襲撃してきた時どうするつもりだ。」
ディーノに言われて了平は納得はしていないが自分の今の立場を理解した。
『極限に分かった。京子を頼むぞ。』
「ああ、京子はキャバッローネが守るからお前はドンナ・ボンゴレを支えろよ。」
ディーノは京子の了解を得て通話を切った。
「これで何とかなるだろ。」
「そうですね。」
京子の母親が体調を崩したというのは了平をボンゴレに留める為の真っ赤な嘘だ。
ディーノはメイドに指示を出して京子を客室に案内させるとディーノは幹部を会議室に呼び出した。
会議室に集合した幹部達にこれからのことを説明する。
「明日から俺とロマーリオは日本で暫く過ごすことになる。その間ボンゴレには一切関わるなよ。」
「「「「了解しました!」」」」
「以上だ。解散。」
幹部達がそれぞれの持ち場に戻るとディーノとロマーリオは日本に行く為の準備をして翌朝京子のボディーガードと称して日本に向かったのだった。
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ルナは主であるヴァレリオからボイスレコーダーと隠しカメラを受け取っていた。
《確かに預かったわ。》
「頼んだぜ。」
「ルナちゃん気を付けてね。」
《ツナちゃんありがとう。それじゃ煌ちゃんに届けるね。》
ルナは両足でしっかりボイスレコーダーと隠しカメラが入った袋を掴むとアルジェント本部に向かって飛んで行った。
「煌に映像とボイスレコーダーが届けば準備完了だ。後は脱出するだけだ。」
「はい。京子ちゃんは今日帰国するんですよね?」
「ああ。煌の話だと今日の午後には日本に着く予定だそうだ。」
「良かった。京子ちゃんには出来るだけ早く帰国して欲しかったから。」
これで一安心かなと笑うツナにヴァレリオは言った。
「それは京子さんも思っていたことだよ。ここから早く都奈さんが出ることが出来れば良いってさ。」
ボンゴレからツナを脱出させることを考えていた京子。
「京子ちゃんは優しいから。」
「そうだな。」
ヴァレリオはツナと京子は生涯親友として生きていくだろうと思った。