番狂わせ
翌日ーーー
リボーン達の目を掻い潜り京子は食料を持ってツナの部屋にやって来た。
「ツナちゃん、ヴァレリオさんおはよう。これ食べて。」
京子が用意した食料にツナとヴァレリオは礼を言って食べ始めた。
食べ終わるとヴァレリオは京子に3日後に帰国させることを伝える。
「京子さん。急なんだけど明後日に帰国してくれ。」
「えっ!?でもツナちゃんは!?」
自分だけ先に帰れないと言う京子にヴァレリオはこれからの計画を話す。
「ここからは都奈さんも聞いてね。大事なことだから。」
ツナと京子が頷くとヴァレリオは話した。
「6日後にアルジェントはボンゴレを奇襲する。その時に巻き込まれないように京子さんを帰国させる。その際ボンゴレの人間が空港まで送ると厄介なことになる可能性がある。」
「厄介?」
「どういうことですか?」
「京子さんは笹川了平の妹だ。笹川了平が空港まで送ると言い出したらリボーン達がたまには帰国したらどうだと切り出される可能性があるから。」
ボンゴレからツナを助ける為には幹部である守護者達も捕らえなければならない。だから了平に帰国されるわけにはいかない。
理由を聞いたツナと京子は頷くがやはり切り捨てたとはいえツナと京子の表情は少しだけ暗い。そんな様子の二人にヴァレリオは殺す訳ではないと続ける。
「リボーンや9代目や門外顧問、守護者達は死ぬ訳じゃない。ただ投獄されるだろうから2度と会えないけど。」
ツナはリボーン達はおそらく復讐者に捕まるのだろうと理解した。ヴァレリオが若干濁すように話したのはボンゴレやマフィアのことを詳しくは知らない京子の為だとも分かった。
京子はヴァレリオの説明でツナの為だということで納得した。
「お兄ちゃん達には見送りはいらないって行っておきますね。」
見送り不要と言えば大丈夫だと言う京子にヴァレリオは念のためだと話を再開する。
「いや。まず京子さんにはキャバッネローネの本部に行って貰う。」
何故ディーノのファミリーにと京子とツナは不思議そうな顔をした。
「ディーノさんの所にですか?」
「帰国する京子ちゃんが何で?」
「ディーノとロマーリオが京子さんを日本まで送るからさ。そうしたらボンゴレが攻め込まれてもボンゴレはキャバッローネに援軍を頼めないだろ?」
「ディーノさんとロマーリオさんが暫くの間日本に留まって連絡を断てばリボーン達は助けを求められないですよね。」
「ツナちゃんの言うと通りですね。」
「そういうこと。」
ディーノと右腕のロマーリオが日本に渡ることで適当な理由で連絡を無視してしまえばボンゴレはキャバッローネに助けを求めることは出来ない。
無理矢理にでもしたら逆にボンゴレがディーノの許可を得ずにキャバッローネを動かしたと他のマフィアに軽蔑されて立場を無くすだろう。
「つまり京子さんのボディーガードとして日本まで送ることでキャバッネーロは被害は無いよ。」
ディーノだけだと逆に色々と危険だがロマーリオや部下が居れば問題は無い。これほど頼もしいボディーガードも居ない。
「私が##RUBY#ここ#ボンゴレ##を出た後はどうするのですか?」
京子は自分がボンゴレを出てからのことをヴァレリオに尋ねた。
「京子さんが日本に着いた後は先程言ったようにボンゴレを攻める。抗争が始まったらその隙に都奈さんを脱出させる。」
ヴァレリオは懐からボンゴレ本部の見取図を取り出し広げある場所を指す。
「この部屋の窓から脱出して。」
ヴァレリオは指した場所は5階の物置になっている部屋。大きな窓が1つある。
「でもグローブも死ぬ気丸も取り上げられてるから飛べないんですけど。」
困った顔をしたツナにヴァレリオは大丈夫だと言った。
「都奈さんが飛び降りてもいいようにアルジェントの部隊がにマットを設置する。飛び降りたらすぐに都奈さんはアルジェント本部に向かうようになってるから。」
ツナはもうすぐ奈々とイーピンとフゥ太に会えると喜んだ。
嬉しそうにするツナを見て京子はあることを決意したがそのことはおくびにも出さずツナに暫しの別れを告げた。
「ツナちゃん。奈々さん達によろしくね。並盛で会おうね!」
「うん。京子ちゃん本当にありがとう。それからルナから伝言。優しくしてくれてありがとうって。」
「そっか。もうルナちゃんに会えないんだね。それに。」
京子はヴァレリオの方を向いた。
「ヴァレリオさんにも会えないんですね。」
「ああ、元気でな。」
「ヴァレリオさんも元気で。ツナちゃんをよろしくお願いします。後、ルナちゃんに会えて良かったって伝えて下さい。」
京子は涙ぐみながら隠しカメラを搭載したボタンをヴァレリオに渡すと準備をするからとツナの部屋を出て行った。