番狂わせ
ボンゴレ本部ーーー
ツナの部屋ではリボーン達と本部に用があった家光がツナを罵っていた。
「ぐずぐずしてねえでさっさと立ちやがれ!」
「全く反省していないようだな。父親として情けないぞ。」
「未だに10代目に謝罪しねえ沢田は本当に屑だな!」
「早くしろよな。」
「こっちは極限暇ではないのだぞ!」
リボーン達はツナを引き摺るように射撃訓練場に連れて行き着いたと同時にリボーンがツナの背中を蹴り飛ばした。転ぶツナを見て醜く笑う守護者達。リボーンと家光も嘲笑いながらツナに命令した。
「今日のてめえの仕事は此処の武器のメンテナンスと在庫の確認だ!」
「1時間で終らせろ!」
弾の数1つでも間違えたらねっちょり制裁だぞと脅してリボーン達は去って行った。
リボーン達の姿が見えなくなるのを確認してカメラを片手にしたヴァレリオが姿を現した。
「ここ数日間証拠を押さえる為に録画しているが愚者達の嫌がらせには閉口するよ。」
ヴァレリオの術で姿を隠していたツナが現れると同時にツナの幻覚が消える。
「最近のリボーン達は背瀬川さんに謝罪させたいだけでなく嫌がらせして楽しんでるだけですから。」
ツナとヴァレリオはリボーン達に呆れるしかない。
「しかしまああんな奴等が今までボンゴレを動かしてこれたのが不思議だな。」
稚拙な嘘を付き続けリボーン達を煽りツナを痛め付けて嘲笑う椎子。
椎子の嘘を信じきってツナに制裁と言って嫌がらせや暴行して愉しむリボーンと守護者達。
椎子に謝罪の言葉すらしないツナに怒りを露にし続ける家光。
未だに反省せずにいるツナに憤っている9代目。
「皆背瀬川さんを盲信してますし。だから簡単に動かせるんです。背瀬川さんの言葉一つで何でもやりますよ。」
椎子の言葉一つで動くボンゴレ。
例えば椎子があるファミリーの令嬢が身に付けていたアクセサリーが欲しいと言えばすぐさまリボーン達が奪っていく。例えばパーティーで相手の都合を無視してダンスのパートナーに誘う。相手が断ればリボーン達が脅しをかける。椎子の行動に振り回されたファミリーの令嬢や子息は苦情を入れるがリボーン達はボンゴレをかさにして逆に文句を言う。ボンゴレはそんな椎子とリボーン達を庇い、相手を宣戦布告のつもりかと威嚇する。世界最大規模のボンゴレと戦えば全滅してしまう。結局椎子に振り回されたファミリーは泣き寝入りするしかない。ボンゴレに歯向かうファミリーなどありはしないと分かっている椎子は好き勝手にやっているのだ。
「そうだな。まあ思うがままにやればやるほど首を絞めることになるだろうね。」
「え?」
ツナはヴァレリオにどういうことだと聞いてみた。
「首を絞めることになるって?」
「背瀬川椎子とスコトスファミリーは色々やらかしてるだろう?それらが証拠になるんだよ。」
てっきり自分にされていることを証拠にすると思っていたツナは成程と納得した。
「証拠が多いほど有利になるんですね。」
「ああ。うちのボスも背瀬川椎子とスコトスファミリーの悪事の証拠を次々と手に入れてるよ。」
「・・・煌君。」
パーティー以来全く会っていないが自分の為に動いてくれている煌にツナは感謝したのだった。
ーーーー
ヴァリアー本部ではユニに命令されたマーモンがザンザス達に重要な話だと言って説明していた。(ユニから報酬として金塊を幾つか渡されたからか彼なりに細かく説明している。)
「近いうちにアルジェントファミリーがボンゴレを攻めてくる。その時はヴァリアーは動かないで欲しいんだ。」
「どういうことだぁぁぁーーーっ!」
スクアーロが問うとマーモンは続ける。
「アルジェントファミリーのボスの話だと沢田都奈をボンゴレから脱出させるって。」
「助けるってアルジェントのボスは沢田都奈の知り合いなのかしら?」
どう考えても接点が見付からないルッスーリアは頬に手を当てている。
「ユニの話だと沢田都奈とアルジェントのボスは幼馴染みなんだってさ。」
「そういえば確かアルジェントのボスは昔日本に居て一般人として過ごしていた時期があるらしい。」
レヴィがザンザスに伝えるように言う。
ザンザスは沈黙しているがマーモンに目線で続きを促す。
「アルジェントが攻める時に背瀬川椎子とリボーンとそれから守護者達と9代目と沢田家光とその他幹部達を捕らえるから今のうちに有能な構成員をスカウトしておいても良いって言っていて全てが終わりボンゴレリングをユニに還すならボンゴレを継いで構わないって。」
「へえ。ユニもたまには使えるじゃん。王子ビックリ。」
茶化すベルに気にも止めず沈黙していたザンザスが笑い出した。
「ブワーーーハッハッハッ!成程な。つまり動かないだけでボンゴレは俺の物になるわけか!」
アルジェントが背瀬川椎子達を一掃する。その間動かなければ自動的にボンゴレボスの座が転がり込んでくる。ザンザスからしたら願ったり叶ったりだ。
「良いだろう!ヴァリアーは背瀬川椎子達からの要請を今まで通り無視するとユニに言っておけ!」
マーモンは頷きユニに連絡を入れたのだった。