番狂わせ
応接室にはユニとγが座って待っていた。ディーノ達の時のように高級な菓子が用意されていた。
「かなり重要な用件だぜ姫。」
「そのようですね。」
ユニは椎子の就任式の時からツナを助けたいと思っていた。そこに京子からの手紙でツナと京子の状況とボンゴレの状況を知り何とか彼女達を助けたいと思ってこの会談を了承した。
暫く待つと煌が部下を伴い応接室に入ってきた。
「待たせて申し訳ない。今日の会談を了承してもらったことを感謝する。」
「いえ、私達ジッリョネロもこのような会談を開いていただき感謝します。」
煌とユニが握手を交わす。メイドが紅茶を淹れると煌が話を始めた。
「笹川京子さんの手紙にも書かれていたと思うが都奈は今無実の罪で背瀬川椎子やリボーン達から酷い仕打ちを受けている。そんな都奈と都奈を支えている京子さんをボンゴレから助けたいと思っている。その為に今アルジェントは秘密裏に動いている。そこでジッリョネロに頼みたいことがある。」
「分かりました。沢田さんには2度も助けて貰いました。彼女達の為にジッリョネロも力を貸しましょう。」
「ありがとう。都奈は一般人に戻りたいと言っている。」
ユニとγはツナが常日頃からマフィアにはならないと言っていたことを思い出し煌の話の続きを聞く。
「都奈と京子さんを助け出すためにドンナジッリョネロにしか頼めないことがある。」
「マーモンですね?」
煌は自分より若いユニの洞察力に驚いた。
「ええ。マーモンと連絡を取って欲しい。ヴァリアーを動かさないようにしてもらいたい。」
ボンゴレを攻める時の一番の障害はヴァリアーだ。だがそのヴァリアーが動かなければボンゴレの戦力は半減する。
ボンゴレの戦力を削ぐにはアルコバレーノのボスであるユニがマーモンにヴァリアーを動かすなと命令させるのが最適だ。
「分かりました。マーモンに伝えましょう。」
マーモンのボスはザンザスとユニだ。
はっきり言ってしまえばヴァリアーのボスのザンザスとアルコバレーノのボスのユニならユニを取る可能性が高い。
それを分かっているからユニは了承したが一つだけ不安がある。
血筋でボスを選ぶボンゴレ。後継者がいないとなるとボンゴレボスの座は空席にしまう。
とてもではないが椎子をボスにしたままには出来ない。だが今ボンゴレに倒れられても困るのだ。ボンゴレは世界最大規模のマフィア。そのボンゴレが潰えてしまえばマフィアの世界は荒れるに荒れるだろう。ユニはそこを指摘した。
「沢田さんを一般人に戻した後はどうしましょうか?」
「そうだな。背瀬川椎子を引き摺り降ろすんだ。ザンザスに継いで貰えば良いだろう。動かないだけで継げるんだ。然程問題は無い筈さ。ボンゴレリングを象徴にしないファミリーを作ればいいだろうし。」
「そうですね。」
ザンザスは未だにボンゴレを欲している。そのボンゴレが簡単に手に入るなら椎子が窮地に陥っても助けることは無い。最もザンザス率いるヴァリアーは椎子の命令を常にガン無視しているが。
この後、ユニはアルジェントと同盟を組んでジッリョネロ本部に帰還した。
煌は執務室に戻ると部下が調査書を持って入ってきた。調査書を受け取ると調査書に目を走らせた。
「背瀬川椎子は随分と派手にやっていたようだな。」
調査書には椎子とスコトスファミリーの悪事が詳細に書かれていた。
「しかしこれならこっちが更に有利になるな。」
煌は人の悪い顔をして口角を上げたのだった。