番狂わせ
奈々は自分を訪ねて来たある人物を見てツナと同じような目を大きくした。
「もしかして、煌君?」
部下を従え沢田家に来た煌は笑顔で奈々に挨拶をした。
「お久しぶりです。奈々さん。」
「本当に久しぶりね!」
ツナの幼馴染みの煌に奈々は懐かしそうに見る。煌もまた懐かしそうにするが本題を切り出した。
「実は今日ここに来たのは都奈のことなんだ。」
「都奈のことですって!?煌君何か知っているの!?」
「はい。 そのことで話をしたいんだけど時間ある?」
「上がってちょうだい!」
奈々に促された煌はリビングに通されソファーに座っていると訝しげにするイーピンに煌は苦笑した。また過去にランキング依頼をしたことがあるフゥ太に久しぶりだと声をかけられそれに答えると台所から紅茶と菓子をお盆に乗せた奈々がリビングに入ってきた。
紅茶を煌と部下に、フゥ太とイーピンにはジュースを出すと奈々は話を聞く為にソファーに座った。煌は紅茶を一口飲むとツナの話をする前に奈々に尋ねた。
「奈々さんに聞きたいことがあるんだけどボンゴレについて家光さんから何か聞いている?」
「ボンゴレは貿易会社で他にも石油会社も経営しているって言っていたわ。」
煌は心中で妻である奈々に本当のことを知らせていないのだと呆れていたがボンゴレのことを話をする。
「そのボンゴレだけど実際は貿易会社でも石油会社でも無いよ。ボンゴレは世界最大規模のマフィアだよ。」
「マ、マフィア!?」
「沢田家光はそのボンゴレファミリーのNo.2だよ。そして都奈はボンゴレ10代目候補だった。リボーンはマフィアのボス候補を育てる家庭教師だ。」
「そんな・・・でも何で煌君は知ってるの?」
奈々の疑問は最もだ。
「実は俺、マフィアでアルジェントファミリーのボスなんだ。」
「ええっ!?」
驚く奈々に煌は何とも言えない顔をした。
「ただ都奈と違って俺はアルジェントを自分の意思で継いだ。アルジェントはマフィアだけどシマの住民を守る為の組織だと知っていたから。」
「そうなのね。で、ボンゴレはどんな組織なの・・・・?」
不安そうに聞いてくる奈々に煌は言いつらそうに言う。
「以前はアルジェントのようにシマの住民達の為の組織だった。今はその影も無いよ。背瀬川椎子が好き勝手にしてる。ボンゴレは麻薬の売買や精製、人身売買とかを禁じているけど背瀬川椎子のファミリーはボンゴレの力を利用して麻薬売買に人身売買を誤魔化してるよ。」
「それじゃ都奈と京子ちゃんはそんな所で過ごしてるのね!?」
麻薬に人身売買と聞いた奈々はツナと京子を心配した。
顔色が青ざめていく奈々に煌はこれからのことを話す。
「俺は都奈と京子さんを助ける。そこでまず奈々さんとこの子達を保護の形でアルンジェント本部に来て欲しい。理由は奈々さん達は都奈と京子さんにとって切り札だ。特に都奈には効くよ。奈々さん達が人質にされたら都奈のことだ。どんな条件だって飲むよ。」
ツナと京子のことだ。自分達が人質にされたら例えばどんなに辛く酷い条件だって飲むだろう。そう思うと奈々はゾッとした。
「分かったわ。都奈と京子ちゃんを苦しめる訳にはいかない!アルジェント本部に行くわ!」
奈々が言うとイーピンとフゥ太も力強く頷いた。
「分かった!イーピン、アルジェントに行く!」
「ツナ姉と京子姉の為に僕も行くよ!」
「荷物は最低限で大丈夫だ。必要な物はアルジェントで用意するから。」
奈々達は変装をしてアルジェントのプライベートジェットでイタリアに渡った。
ーーーー
アルジェント本部に到着すると煌は奈々達を部屋に案内した。
「とりあえずはここを使って。」
部屋は大きくベッドはキングサイズでテーブルや椅子などの調度品も豪華だ。あまりの豪華さに奈々達は唖然としていた。
「・・・凄いわ。」
「こんな大きな部屋を一人一部屋なの?」
「シャンデリアまである!凄すぎ!」
呆然としている奈々達に煌は不思議そうにする。
「この部屋は来客用のだからこれくらい普通だよ。」
ここで奈々は煌との金銭感覚のズレを知ったがそれは仕方がない。
奈々は一般人で、煌は世界最大規模のボンゴレの次の規模のマフィアのボス。金銭感覚が違って当たり前なのだ。
半ば##RUBY#呆#ほう##けた奈々達はそれぞれ用意された部屋に入っていった。
メイドに奈々達の世話を命じると応接室に向かったのだった。