番狂わせ


キャバッローネ本部ーーー

京子からの手紙はツナと京子の今の状況、背瀬川椎子がツナを陥れたこと、椎子に騙されて裏切ったボンゴレのことが細かく書かれていた。

「どうりでツナと会わせてもらえなかったわけだ。」

「ボス。同盟を組むんですかい?」

「ああ。可愛い妹弟子とその親友が困ってるんだ。ボンゴレに知られるとヤバいから秘密裏にな。」

「分かったぜ。」

ロマーリオはアルジェントに会談を承諾する旨を伝える為に返事を返した。



ジッリョネロ本部ーーー

京子の手紙を読んだユニは小さく溜め息をした。

「やはり黒幕は背瀬川椎子でしたか。」

継承式で椎子を見てユニはすぐに気付いた。椎子は真の大空ではないと。
とてもではないが大空として他の天候を従えボンゴレを継ぐだけの資質がない。ボスとしての覚悟もなかった。披露目のパーティーでリボーン達にツナは多彩な才能がある椎子を嫉妬して苛め抜いたと聞かされていたがどう見てもツナの方が苛められているように見えた。ツナに話を聞こうとしたがリボーン達がツナを怒鳴り付けツナはパーティー会場を足早に出て行ってしまった。一緒にいたディーノとツナを追いかけようとしたがリボーンに邪魔されてしまい聞けずしまいになってしまった。

「姫どうする?」

「アルジェントファミリーに会談を受けると返事を。」

γが聞くとユニは迷わずアルジェントに返事を返すように指示を出した。


ーーーー

キャバッローネとジッリョネロの返事を受け取った煌はまずはキャバッローネから会談を行うことにした。

ディーノと右腕のロマーリオと部下数人がアルジェント本部に来た。
直ぐ様ディーノ達は応接間に通された。

「・・・かなり本気のようだぜ?ボス。」

「そうだな。」

テーブルには老舗の高級菓子が用意されていた。
暫くして煌はヴァレリオの次に信頼している部下を連れて応接間に入ってくると右手を差し出した。ディーノは立ち上がり握手を交わす。

「この会談を承諾してもらい感謝している。ドン・キャバッローネ。」

「ドン・アルジェント。こちらこそ感謝している。」

挨拶が済むと二人は席に付きメイドが紅茶を淹れると煌が口を開いた。

「沢田都奈と笹川京子をボンゴレから解放したい。その為に同盟を組んでは貰えないだろうか?」

ディーノは真意を確かめるように無言で煌を見ている。煌は続ける。

「都奈と京子さんを助ける間だけで構わない。」

「それは一時的にということか?」

「ああ。キャバッローネはボンゴレと同盟を組んでいるし、アルジェントと組んでいる幾つかのファミリーはキャバッローネと敵対しているようだしな。」

ディーノはニッと笑った。

「それを聞いて安心したぜ。ツナと京子を助ける間だけなら同盟を組もう。」

「感謝する。」

煌は部下に誓約書を持って来るように指示を出し部下は誓約書を渡す。

「こちらで用意させて貰った。読んで追加したいことがあれば言ってくれ。」

手渡されたディーノは誓約書に目を走らせ、サインして誓約書を煌に渡した。

「これで構わないぜ。」

「ありがとう。ドン・キャバッローネ。」

「こちこそありがとう。ツナと京子を助けだそう。」

再度握手を交わすとディーノはキャバッローネ本部に帰って行った。


誓約書をしまうと煌は明日のジッリョネロの会談の準備を部下に任せ、執務室に戻るとルナが窓の外に居た。
煌は窓を開けるとルナを入れる。

「お疲れさん。」

《報告書とボンゴレ本部の隠し通路と警備が甘い場所の見取図をヴァレリオから預かってきたわよ。》

ルナが足を出すと煌は足に装着された筒を取り中に入っている報告書と見取図を見る。

「執務室の隠し通路と背瀬川椎子の部屋の隠し通路なら背瀬川椎子の部屋からの方が早くボンゴレ本部の外に出れるみたいだな。警備が甘い場所は5階か。」

警備が甘い場所に眉を寄せた煌は用紙を取り出しペンを走らせた。

「これをヴァレリオに。」

《分かったわ。》

筒に命令書を入れると部下に高級肉を用意させた。

用意された肉を食べながらルナは進捗を聞いた。

《煌ちゃんの方は進んでるの?》

「ああ。キャバッローネとは同盟を組めた。おそらくジッリョネロとも組めると思うよ。それに背瀬川椎子の悪事の証拠も手に入ってるよ。まだ足りないけど。」

《スコトスファミリーの方は?》

「潜入させた部下からボンゴレの禁じていることをしていると連絡が来た。」

《それなら都奈ちゃんと京子ちゃんは早くにボンゴレから出られるわね。》

「そうだな。それじゃ頼んだよ。」

ルナは任せてと行ってボンゴレ本部に戻って行った。

ルナを見送った煌は部下を呼び出しある命令をした。


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