番狂わせ
正午ーーー
ツナとヴァレリオの目の前にあるのは大量の惣菜パンと菓子パン、ペットボトルの紅茶やジュースがある。
大量の食料にヴァレリオは目を丸くさせた。
「都奈さんと京子さんはこんなに食べるの?」
女二人じゃ食べきれないのでは?と考えるヴァレリオに京子は笑い、パンを大量買いした京子の優しさに気付いているツナも笑った。
「便箋を買いに行った後に買ってきたんです。ヴァレリオさんの分も有りますから良かったらどうぞ。こっちのソーセージはルナちゃんに。」
「俺の分どころかルナの分までありがとう。」
「それじゃ食べよう。京子ちゃんありがとう。」
ツナは久しぶりの惣菜パンと菓子パンに嬉しそうにして、ヴァレリオは惣菜パンを中心に食べ始めた。また京子はパンを1つ食べ終えると隠しカメラ搭載のボタンを縫い付けたツナのジャケットと自分のカーディガンをヴァレリオに見せた。
「ボタンを付けました。」
京子はツナのスーツのジャケットと自分のカーディガンをヴァレリオに渡した。渡されたヴァレリオはボタンが作動しているか確める。
「しっかり作動してるな。都奈さん京子さん暫くはこれを着て。」
「分かりました。でも俺は大丈夫だけど京子ちゃんのはカーディガンのボタンと違いすぎてリボーンが不振に思うんじゃ?」
京子のカーディガンのボタンと隠しカメラ搭載のボタンは色は同色だが大きさが違っていた。
「術でカーディガンと同じボタンにするから。」
ヴァレリオは指をパチンと鳴らすと隠しカメラ搭載のボタンはカーディガンと同じボタンに早変わりした。
「これで大丈夫だ。」
ツナは京子のボタンを見た。そして超直感であることを感じて不思議そうにした。
「幻術だけど幻術じゃないような。でも忍術だと断言出来ないような。」
ヴァレリオは言い当てられて驚いた。
「正解だよ。この術は幻術と忍術を融合させた術だから。ボンゴレには忍術に詳しい奴は居ないだろうからまあバレないと思う。超直感で分かった?」
「はい。でも幻術と忍術って融合出来るんですね。」
「何か凄いね!」
「言うまでもないけど企業秘密だ。」
ツナと京子とヴァレリオが笑っていると背中に依頼状をくくり付けられたルナが戻ってきた。そして。
《あー!私の居ない所で美味しそうなの食べてる!》
ズルいと騒ぐルナに京子はソーセージを見せた。
「お疲れ様。良かったら食べてね。」
「京子ちゃんが買ってきてくれたんだ。」
ルナは喜んだ。
《わーい!ありがとー!》
ソーセージを食べ始めるルナに京子はパンも勧めた。
「もし良かったらパンもどうぞ。」
《やったー!》
ソーセージの後に惣菜パンを食べるルナにヴァレリオは呆れる。
「ルナ、煌に肉貰った筈なのにまだ腹減らしてるのか?」
《お肉食べたけどとっくに消化してるわ。アルジェント本部からここまで遠いんだもん。》
ルナは答えると背中にある依頼状をヴァレリオに見せた。
《はい。これ煌ちゃんから。》
ヴァレリオはくくり付けられた依頼状を取ると京子に渡す。
「これが依頼状。」
「分かりました。すぐに書きますね。」
京子は依頼状を大事そうに懐に入れるとツナの部屋を退室した。
ルナの嘴に残っているパンくずを取りながらヴァレリオは同盟が組めたら次はどう動くか推測する。
『煌ならおそらく都奈さんの母親と居候を避難させる。』
ヴァレリオはツナに顔を向けて話した。
「俺の予想だけどさ、煌は都奈さんの母親と居候を保護させる筈なんだ。」
「保護ですか?でもどこに?」
「アルジェント本部。ボンゴレと同盟を組んでないから安全性は高いよ。都奈さんの母親と居候を保護したら次は都奈さんと京子さんをここから出す。勿論アルジェント本部で暫くは過ごしてもらうけど。」
ツナはもしかしたらと思った。
「それじゃ、母さん達に会えるってことですよね?」
「会えるさ。だからもう少し我慢してもらえる?」
「はい!」
力強く答えるツナにヴァレリオは良い返事だと微笑んだ。