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番狂わせ


京子がボイスレコーダーとボタンをポケットにしまうとヴァレリオは話を続ける。

「京子さんは確か、キャバッローネとジッリョネロの連絡先を知ってるよな?」

ツナから話は聞いていると付け足すと京子は住所は知っていると答えた。

「知ってます。」

「そう。・・・キャバッローネとジッリョネロに手紙を書く準備をしておいてくれる?」

「何故ですか?」

手紙を用意することもよく分ないし何に使うかも分からない。京子だけではなくツナも不思議そうにヴァレリオを見詰めた。

「俺の読みだと二人を助け出す為にうちのボスはおそらくキャバッローネとジッリョネロと同盟を組む確率が高い。」

「でもユニのファミリーはともかく、ディーノさんのファミリーはボンゴレと同盟を組んでますよ?さすがにディーノさんは構成員達のことを思ってアルジェントとは組まないんじゃないかな?」

ディーノとキャバッローネの構成員達の中のよさを知っているツナは難しいのではないかと疑問がある。

「まあそれはあり得るけど、妹弟子の都奈さんと京子さんがボンゴレのことで困ってるなら一時的にでも組んで貰えるかもしれない。ジッリョネロのドンナは幼いながらに聡明だと聞いている。」

「確かにディーノさんはツナちゃんに優しくしてました。」

「ヴァレリオさんの言う通り、ユニは聡明ですね。」

「ディーノとユニは今のボンゴレと都奈さんを取り巻く環境に疑問を持ってるかも知れない。その2点を理由に同盟を組んで貰う。その為には京子さんが手紙を書いてその中にうちのボスの会談の依頼状を入れて欲しいんだ。いきなり親交がないファミリーが会談を望めば相手のファミリーは警戒するだろうしさ。」

ヴァレリオの話を聞いて京子は頷いた。

「ディーノさんとユニちゃんに今のボンゴレとツナちゃんのことを手紙に書けばアルジェントファミリーは警戒させれずに済むんですよね。私これから便箋買ってきますね。」

そう言うと京子はツナの部屋から退室した。

ツナは京子を見送ると食べようとしていたパンを三等分にしてヴァレリオとルナに分けた。

「良かったら食べて下さい。あ、ルナちゃんはパン食べれなかったりする?林檎は食べれる?」

ヴァレリオはお人好しだと苦笑し、ルナもまたツナをお人好しだと思った。

「君は優し過ぎだ。都奈さんが食べなよ。」

《パンも林檎も食べれるけどこれは都奈ちゃんのよ。食べれる時に食べないと!食事抜かれることもあるんでしょ?気持ちだけ受け取るわ。》

「で、でも。」

一人で食べるのは申し訳ない気持ちになるツナにヴァレリオは頭をかきながら言った。

「仮に俺とルナが食べたら京子さんに怒られると思うんだが。」

《都奈ちゃんのパン食べて京子ちゃんに嫌われるのは嫌。》

「都奈さんの為に持って来てるんだ。君が食べるべきだ。」

《ここから出るんだから体力付けなきゃ!》

ヴァレリオとルナは渡されたパンをツナに食べるように言った。
ツナはヴァレリオとルナは食べないと悟るとパンを食べ始めた。

ツナが食事をしている一方でヴァレリオは煌に報告書を書いてルナに運ばせる。

「ルナ。煌に渡して。」

《任せて!》

ルナは部屋の小窓から飛んでいった。


アルジェント本部の煌の執務室に着いたルナを部屋に入れた煌は報告書に目を通した。

『さすが俺の右腕。分かってるな。』

京子とコンタクトを取り、更に話を付けたヴァレリオに煌は関心した。
既に作成していた依頼状を引き出しから出す煌の近くでルナはご褒美の高級肉をガツガツ食べていた。
あまりのがっつきぷりに煌は腹が空いていたのかと聞くとルナは違うと言った。

《体力消耗したの。またボンゴレ本部まで行かなきゃだし。ここからボンゴレまで結構距離があるんだから。》

「まあ確かにボンゴレ本部はここからだと遠いな。」

決して食いしん坊とは言わない煌はルナが食べ終わるのを待った。


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