番狂わせ
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ツナの話を聞いた煌は成程と指を顎にかけた。
「背瀬川椎子が都奈を陥れて、リボーンと嵐と雨と晴の守護者は裏切った訳か。愚かすぎだな。なあヴァレリオ。」
主に話を振られてヴァレリオは呆れ混じりに言った。
「主を裏切る時点でボンゴレの守護者はたかが知れてるな。それ以前に背瀬川椎子が10代目になった時点で都奈さんは一般人の括りに入る可能性が高いということを忘れているとかあり得ない。」
天下のボンゴレを馬鹿にするような言い方をするヴァレリオ。煌も負けじと(?)天下のボンゴレを馬鹿にする。
「ボンゴレって何時からアホになったんだろうな。」
「天下のボンゴレの終焉も近いようだ。」
「全くだ。」
うんうんと頷く煌とヴァレリオ。ツナはこの会話を聞かれたら不味いのではと回りを見回した。アルジェントファミリーはボンゴレとは中立の関係だ。プライドが高い椎子にとってはこの会話一つで激昂し抗争に成りかねない。
キョロキョロしているツナに煌はダンスホールを指差しして苦笑した。
「高慢ちきなドンナはどこぞのイケメンボスとのダンスに夢中でリボーンと守護者共も護衛を兼ねてるのか女と踊ってるから聞かれてないさ。」
ダンスホールで楽しそうに踊っている椎子と護衛しながら踊っているリボーン達を見てツナは胸を撫で下ろした。煌はそんなツナに京子のことを聞いた。
「笹川京子さんは津奈の味方なんだよな?」
「うん。信じてくれていつも支えてくれた。今も危険なのを承知でボンゴレ本部に来てくれて励ましてくれてるんだ。」
「そうか。しかし話を聞いて思ったんだが笹川京子さんは勇敢な女性のようだけど?」
そう言って煌は勇敢な京子像を思い浮かべるが空かさずヴァレリオが突っ込む。
「煌。勇敢イコール筋肉隆々なマッチョとは限らない。」
「だがうちの女の構成員は筋肉質の女が大勢いるぞ。都奈違うのか?」
煌はどうやら勇敢な女性とは筋肉ムキムキ系だと思い込んでいるようだ。
「京子ちゃんは俺より少し背が低くてとても可愛いです。並盛中学時代は並中のアイドルでした。」
「そうなんだ。まあ京子さんは一般人だしな。」
「いや、ファミリーにも普通体型の女もいるだろ?」
「そーいやそうだな。あんま女に興味無いからなぁ。」
「・・・ボンゴレが終わる前にアルジェントファミリーが終焉を迎えるかもな。」
アルジェントファミリーは世襲制らしい。
漫才に近い会話にツナはクスクスと笑った。笑っているツナを見て煌はやっと笑ったと安心した。そして真剣な顔をしてツナに聞いた。
「聞きたいことがあるんだけどさ、都奈はどうしたい?ボンゴレのドンナとして帰り咲くか?それとも一般人として生きたいか?」
ツナは首を左右に振った。
「どっちも叶わないよ。ボンゴレは俺を逃さない。でも・・・。」
言い淀むツナに煌はツナの琥珀色の目を真っ直ぐ見詰めて聞き返す。
「でも?」
「・・・出来れば一般人として生きたい。もうリボーン達とはやっていけない。」
戸惑いつつ小さい声で言ったツナに煌は助けると言った。
「一般人として生きたいんだな。よし分かった。助けるよ。京子さんもな。」
「えっ!?」
驚くツナに煌は任せておけと言う。
「いつものことだったろ?俺が都奈を助けるのはさ。」
幼い頃、ツナが苛められる度に煌が苛めっ子達を退治していた。そのことを言っているようだ。
「煌君、迷惑じゃないの?」
「迷惑だったらやらないさ。まあ、任せておけって。」
「でも、どうやって??同盟を組んでいないから簡単にボンゴレ本部には入れないんじゃ?」
ツナはボンゴレ本部に入れないのにどうやって自分と京子をボンゴレ本部の外に出そうとするのか分からなかった。
「同盟を組んでなくても方法は色々有るもんだ。確か予備のボイスレコーダーがあったな。ヴァレリオ、控え室から小型のボイスレコーダー2台とついでに小型の隠しカメラ2台持って来い。」
「了解。」
ヴァレリオが控え室に向かうのを見送るとツナは何でボイスレコーダーとか持ってきてるんだろうと不思議そうに煌を見ると煌は説明した。
「こういったパーティーは情報収集の場でもあるんだ。だから俺とヴァレリオはパーティーにはボイスレコーダーと小型の隠しカメラを所持してるって訳。予備は念のためにね。」
「そうなんだ。凄い徹底してるんだね。背瀬川さん達はそんなことしてないなぁ。」
ツナの言葉に今度は煌が不思議そうにした。
「え?してないのか?」
「うん。ボイスレコーダーとか持って来てないよ。持って来るなら俺に持たせる筈だから。」
「・・・世界最大規模とはいえ随分と呑気なドンナだな。寧ろすげえよ。今まで足下を掬われなかったのが奇跡だな。」
煌が呆れているとボイスレコーダーと小型の隠しカメラを持ったヴァレリオが戻って来た。