番狂わせ
京子は静かに怪我だらけのツナの傍に行き怪我に障らないように優しく抱き締めた。久しく人の温もりや優しさに触れていなかったツナは抱き締め返した。
「ツナちゃん!」
「京子ちゃん!」
椎子のせいでツナと京子は録に話も出来ずにいた。二人は泣きながら抱き合った。
お互いが落ち着いてくると恥ずかしそうに少し離れた。
「京子ちゃん久しぶりだね。でもどうして?」
「ツナちゃんに伝えたいことがあるの。」
「俺に?」
「ツナちゃんが心配してたランボちゃん。無事にボヴィーノファミリーに帰ったよ。」
「本当に!?良かったよ。」
「うん。それとツナちゃんのおばさんは一人じゃないよ。フゥ太君とイーピンちゃんが傍に居てくれてるの。」
「良かった。」
ランボはボヴィーノに戻ることが出来て、一人かも知れないと思っていた奈々には拳法の達人のイーピンと情報屋のフゥ太が居てくれてる。ツナは安心したのだった。
安心しているツナに京子はポケットから小さめなクッキーをいくつか渡した。
「少しだけど食べて。包装してるビニールは私が持っていくから。」
「ありがとう。」
ツナは久しぶりに甘い物を口にしてホッとしたが京子に帰国して欲しいと言った。
「京子ちゃんが来てくれたのは俺の為だよね?でも##RUBY#ボンゴレ#ここ##に居たら危険だ。背瀬川さんは未だに京子ちゃんを敵視してるから日本に戻って。」
京子が来たことで椎子は苛立っているのが分かるツナは京子に何かがあっては遅いからと懇願するように言うと京子はツナの両手を優しく握った。
「大丈夫。私は一般人の括りよ。背瀬川さんが何かしたくても出来ないわ。それにちょっとした考えもあるの。」
「考え?」
「うん。ボンゴレはまだキャバッローネと同盟は組んでるし、ユニちゃんはリボーン君の知己。だからいつかディーノさんやユニちゃんに会える筈よ。だからディーノさん達に会えたらツナちゃんを助けて欲しいと頼んでみようと思うの。」
「俺はディーノさん達に会えないと思う。」
「でも私は会える可能性があるよ。ディーノさんかユニちゃんがボンゴレに来た時にリボーン君に頼み込めば会える筈。」
リボーンの持論である女に優しくを利用して頼み込んでディーノもしくはユニと二人で話したいと言えばリボーンは頷くだろうと京子は践んでいた。
ツナは京子の考えに目を大きくした。まさかそこまで考えているとは思っていなかった。だがそれでも帰国して欲しいと思った。椎子は京子を忌々しく思っているし敵対ファミリーとの抗争が始まれば巻き込まれるのだ。
「色々考えてくれてありがとう。でも今のところは抗争はないけど始まれば巻き込まれちゃうから。京子ちゃんに傷付いて欲しくないんだ。俺が守れば良いんだけど始まればきっと俺は一番敵が多いところ配置されるから。」
だから守れないと言うと京子はニッコリと笑った。
「こう見えても度胸は付いてるんだ。未来に飛ばされたりしたから。」
「度胸とかの問題じゃないよ!」
「そうかな。でも抗争が始まればそれに乗じてこんなところから逃げようよ。ボンゴレ本部には逃げる為の抜け道とか有るかもしれないし。ユニちゃんとディーノさんのどちらかのファミリーの本部の場所を調べれば何とかなるよ。そこまでの交通費は私の貯金を使えば良いから。」
次から次へと考えを出してくる京子にツナは驚いた。
『た、確かに京子ちゃん度胸が付いてる・・・・・・!』
しかし京子の考えは可能性があれば何とかなるというもので現実的ではない。そして暫くはディーノとユニがボンゴレ本部に来ることはないと超直感が伝えてきてツナはディーノ達が来るのが先か自分が息絶えるのが先かと考えていたが超直感はそれについては沈黙し、ツナはこれから自分と京子はどうなるのかと不安しかなかった。
京子はディーノ達が来るまでただ待つだけでは駄目だと感じた。ディーノ達が来る前にツナの体力が持つか分からない。また抗争が始まる可能性もあるのだからと先ずはキャバッローネとジッリョネロの本部の場所を調べることとボンゴレ本部の見取図を入手することから始めようと考えていた。