番狂わせ


イタリアに渡りボンゴレ本部に到着した京子を出迎えたのは兄の了平だった。

「極限に久しぶりだな!」

「久しぶり。お兄ちゃん。」

高級なブラックのスーツを着こなす了平に京子はマフィアの幹部なのだと実感した。

与えられた部屋に荷物を持って入ると実の兄だということで了平がチェックを入れる。

「すまん。極限に京子が危険物を持って来るとは思っていないが規則だからな。」

「規則じゃ仕方がないよ。」

了平は荷物の中を調べたり軽くボディーチェックをした。

「問題は極限にないぞ!そうだ今日はいい天気だ。中庭で散歩でもしよう!」

「うん。」

京子は今直ぐにでもツナに会いたいがあくまで京子は椎子の味方という立場。我慢するしかない。

中庭に案内されると色とりどりの花が咲いていたが京子は咲き乱れた花に目をやることは無かった。

『えっ!?ツナちゃん!!』

中庭の中央で踞っているツナにリボーンと獄寺、山本が蹴りを入れていた。

「ダメツナまた椎子を苛めやがって!制裁だ!」

「10代目に謝りやがれ!」

「いい加減反省するのなっ!」

踞っている女性に対して男性二人と幼児が容赦なく暴行している。京子は止めに入りたいが入れない。京子が今出来ることは早く暴行が終わるように祈るだけだ。

了平と京子に気付いたリボーン達は制裁を止め、了平と京子の傍に向かう。

「久しぶりだな!京子。」

「元気か?」

「笹川久しぶりなのな!」

「皆、久しぶりだね。」

京子は挨拶を適当に返し、心配しそうになるが無表情な顔を作ってツナを見る。
ツナはヨロヨロと立ち上がり京子が居て驚いていた。そして直ぐにでも帰国して欲しかった。また椎子は京子が来ることに苛立ちその鬱憤晴らしにリボーン達を焚き付けたことが今分かった。
立ち上がる気配を感じ取ったリボーンはツナを睨み付けながら京子に言った。

「ダメツナの奴また椎子を苛めやがったんだ。京子からも言ってやってくれ。」

ツナの性根を叩き直す為にアドバイスしてくれと言うリボーン。京子からしたら暴言を言えと言われているようなものだ。言いたくはないが言わなければ最悪日本に強制送還させられてしまう。京子は仕方なく口を開いた。

「沢田さん。もうダメだよ?」

小声で言う京子に獄寺と山本はもっと大声で言ってやれと軽く睨みながら言うがリボーンは仕方がないと言って獄寺と山本を諌めた。

「京子は優しいからな。仕方ねえ。それに俺様はお前らにいつも女には優しくしろって言ってるだろうが。ダメツナ!てめえはさっさと部屋に戻れ!」

ツナは京子を見て自分に言ったことは気にしなくて良いと伝える為に一瞬たげ口元に笑みを乗せて踵を返した。

女の京子を困らせるなと言ってくるリボーンに獄寺はリボーンさんスミマセン!とお辞儀をし、山本は悪い悪いと言って頭をガシガシかきながら言って、リボーンは軽く呆れていた。
京子は女に優しくしろと言っている癖に女のツナに暴力を振るっているリボーンに呆れていた。

呆れているとリボーンが椎子に会ってきたらどうだと勧めてきた。京子は全く会いたくはないが再会を喜ぶふりをしないと不味いということくらいは分かる。京子は案内してとリボーンに頼んだ。

椎子の執務室に案内された京子は笑顔作って挨拶をした。

「椎子さん。久しぶりだね!元気してた?」

椎子はデスクから立ち上がり京子の傍に行く。内心は可愛い子ぶってんじゃねえよと毒づくが笑顔で返した。

「わあー。京子ちゃん久しぶり!元気そうね!!そうだ!今日は京子ちゃんが来てくれたんだから晩餐会しようよ!リボーン君、了平先輩、隼人君、武君良いよねー?」

「勿論だぞ!」

「10代目の望むままに!」

「俺は構わないのな!」

「椎子!極限にありがたいぞ!」

「京子ちゃん今日は楽しもうね!」

「ありがとう椎子さん。」

椎子は笑顔で答える京子に苛つきつつもツナを呼ぼうと考えた。ツナが参加したらリボーン達はツナを罵倒するだろう。俯いてひたすら堪えるツナを見て憂さ晴らしでもしようと考えをまとめるとツナを呼ぼうとリボーン達に言った。

「折角だから沢田さんも呼ぼうよ!」

笑顔で言う椎子だが京子は晩餐会と言って実際はツナに嫌がらせをするんだと分かった。京子は悲しい顔を作って椎子達に言った。

「え?沢田さん呼ぶの?私は反対。だって沢田さんは椎子さんに嫌がらせをするかもしれないもの。」

椎子が傷付くのは嫌だと言う京子にリボーン達は確かにそうだと口々に言い、普段良い子ぶってる椎子は地団駄を踏みたくなった。


晩餐会は京子にとって地獄だった。
ツナの悪口を言うリボーン達。それを宥めていつかは仲直り出来ると信じてるからと言う椎子。そんな椎子達を見て京子は吐き気がした。

晩餐会が終わると椎子はまだ執務が残っているからと退室してリボーンと獄寺と山本は手伝うと言って椎子の後を追う。
部屋に残っているのは京子と了平だけ。京子は了平にツナの部屋に案内してと言った。了平はツナに説教するんだと勘違いして案内した。

「ここが沢田の部屋だ。」

京子はノックをするとか細い声で返事がして入った。部屋はかなり質素でみすぼらしい。
床に座っているツナは京子だけではなく了平が居ることに体を固くした。了平は怯えているツナを蔑視するとツナに言った。

「京子がボンゴレに来てくれたのだ。一つだけ言っておくが京子を苛めたらただでは極限に済まさんぞ!」

憎々しげに言う了平に京子はツナに言っておきたいことがあるからと言って出て行くようにお願いした。

「悪いけど部屋から出てくれないかな?沢田さんに言いたいことがあるの。だから外で待ってて。」

「極限に大丈夫なのか??」

「大丈夫!」

「まあ、京子がそう言うなら構わんが。沢田!京子を苛めることは許さんからな!」

了平は特に深く考えずにツナの部屋を出た。


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