静寂の住人2
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登校中、悪意が綱吉に集中する。綱吉は紘吉もこんな悪意の中で過ごしていたんだと思い、イヴェールは凄まじい悪意に眉を寄せた。
「鳥居玲奈の欲望だけでこれだけの悪意が満ちるとは。」
呟くイヴェールは綱吉の隣で姿を消している。
校門が見えてくると雲雀と目が合い綱吉は動揺した。
『あれ本当に雲雀さん!?何か凄い笑顔だけど!!しかも穏やかな感じだよ!!』
あり得ない雲雀の優しい感じの笑顔に戸惑いしかない。イヴェールは綱吉にこの世界の雲雀は味方だから大丈夫だと落ち着かせる。
「おはよう小動物。」
「お、おはようございます雲雀さん。」
雲雀は綱吉の顔を覗き込み、若干眉間に皺を寄せる。
「小動物、ちょっと来な。」
雲雀は草壁に後を任せ、綱吉の手首を掴み強引に応接室に引き摺るように連れていった。
応接室に入れるなり雲雀はトンファーを出した。
「紘吉じゃないね?似てるけどあの子は僕に怯えないよ!」
紘吉はどこ?と言いながらトンファーで攻撃してくる雲雀に綱吉はヒィッとなりながらも攻撃を避けていく。
『体が軽い感じがする?何で雲雀さんの猛攻を避けれてるの!?』
ヒョイヒョイ避ける綱吉を見て雲雀は益々眉を寄せる。
「平時のあの子はこんなに素早くないよ!偽物は咬み殺す!!」
「ヒィーーーーーーッ!!」
悲鳴を上げて避け続ける綱吉。イヴェールは姿を現しトンファーを掴む。
「どの世界も雲雀恭弥はバトルマニアだな。」
「!?」
トンファーを簡単に掴んで攻撃を止めたイヴェールに雲雀は突然現れたことに一瞬驚いたものの口角を上げた。
「へぇ?誰だか知らないけど多少は咬み殺し甲斐がありそうだね。」
「なら私とやり合うか?」
雲雀を見据えて笑みを見せるイヴェール。綱吉はハラハラする。
「良いね。君をグチャグチャにしてあの偽物もグチャグチャに咬み殺す!」
「良いだろう。私が負けたらグチャグチャにしてもいい。但し私が勝ったら話を聞いてもらう。」
イヴェールはトンファーを離すとすぐさま雲雀がトンファーを振り上げるが雲雀の両手からトンファーが消えていた。
「な!?」
雲雀が声を上げた瞬間、イヴェールが指をパチンと鳴らせ雲雀は吹っ飛ばされ壁に激突した。
「グッ!!」
「私の勝ちだ。」
イヴェールは雲雀の喉元に手刀を当てた。
「くっ!分かったよ。」
悔しそうにする雲雀は綱吉とイヴェールをソファーに座らせた。
「で、話って何?」
不機嫌そうに口を開いた雲雀に綱吉とイヴェールはそれぞれどれだけ悔しいのだろうと内心突っ込んだ。
「雲雀恭弥。君の言う通りここにいるツナは君の知っているツナではない。実はこの世界の沢田紘吉は殺された。」
「どういうこと!?」
「少し先の未来、君は鳥居玲奈の嘘と欲望を暴きアルコバレーノ達にマテリアルリングをツナと共に突き返した。焦ったアルコバレーノは君を撃ち殺そうとしたがツナが庇って死んでしまった。」
「何!?」
信じられないと手を口元に当てる雲雀。
「沢田紘吉はこの世界にとって重要な人物。彼の心臓が止まった瞬間、世界は崩壊した。」
「崩壊?」
怪訝そうにイヴェールを見る雲雀。
「信じられないだろうが本当のことだ。私の力で崩壊を防いでいる。」
「世界の崩壊とかトンファーを消したり僕を吹っ飛ばした君は何者なの?」
イヴェールは雲雀に向けて威圧するようにオーラを出す。雲雀は押し潰されるような感覚に陥る。
「私はイヴェール。君達人間から神と呼ばれる存在。正確には神と呼ばれた高貴な方から作り出された。私と同胞を知っている者は静寂の住人と呼んでいる。」
雲雀に聞かれ話すイヴェールに綱吉が訴えてきた。
「イヴェール、雲雀さんが苦しそう。」
綱吉に言われイヴェールはオーラを消す。雲雀は息を吐く。
「成程。君が神なのは信じるよ。僕相手にあんな威圧してくる人間はそうそう居ないからね。」
「理解してもらえると助かる。話を戻そう。この世界の沢田紘吉は殺されてしまったとほぼ同時にここにいるツナも瀕死の状態になった。だから私が二人を保護した。」
雲雀は目の前の綱吉を見る。
「でも何でここにいるのは僕の知ってる小動物じゃないの?」
紘吉ではないのと聞いてくる雲雀はどこか辛そうで。イヴェールは言いにくそうに話した。
「幾つもの世界がありその世界は基本的にトゥリニセッテの力で成り立っていて大空のボンゴレリングの保持者がリングを所持することで世界のバランスを保っている。そして大抵の保持者がツナ。」
「それは僕の知ってる小動物もかい?」
頷くイヴェール。
「だがこの世界はトゥリニセッテではなくマテリアルという力で成り立っている。それに興味を示した私の同胞がマテリアルの世界の沢田紘吉とトゥリニセッテの沢田綱吉を入れ換えた。それが原因の元だ。」
雲雀は目を細め柳眉をひそめる。
「イヴェールの同胞とやらは何でそんなことをしたのさ?」
「私の同胞曰く、『面白そう』だからだ。」
何処と無く呆れる雲雀。
「小動物が世界のバランスを保てる存在なのに入れ換えるなんて問題なんじゃないの?仮に同じトゥリニセッテの小動物同士を入れ代えるならまだしもマテリアルの世界の小動物とトゥリニセッテの世界の小動物を入れ代えたらバランスを崩すんじゃないの?」
「その通りだ。ただ入れ代えただけならさして問題はなかった。しかしボンゴレ欲しさにツナを陥れた少女と騙されたアルコバレーノ達がバランスを壊した。」
「あの牝豚と裏切った奴等のせいでもあるわけだ。」
雲雀は鳥居玲奈と裏切ったリボーン達に業腹だがプリマベーラに対する感情は複雑だ。
プリマベーラが入れ代えたからこそ紘吉に出会えたのだから。