神々は世界へ降り立つ！



イヴェールは沢田紘吉が死ぬ少し前の時間に綱吉を連れてマテリアルの世界に降り立った。

降り立った場所は夜空が広がる並盛の外れの方にある屋敷。この屋敷は売り出されているが買い手がついていない。

「ツナは今から私とここで暮らすこと。」

綱吉は目玉がポーンと出るんじゃないかと言うくらいに驚いた。

『こんなデカイ屋敷に！？たった二人だよ！！俺の家6個分くらいデカイよ！！！』

驚いている綱吉にイヴェールは苦笑いした。

「アルコバレーノと嵐と雨と晴の守護者や君の家族から離れた場所で家具も一通りあって尚且つ並盛周辺だと空き家はここくらいだった。」

そう言ってイヴェールは鍵が掛かっている筈のドアを意図も簡単に開けた。

「これが鍵。ツナにはスペアキーを渡しておく。」

「鍵！？イヴェールの持ち家じゃないんだよね！？勝手に入って大丈夫なの！？」

簡単にドアを開けたと思ったら普通に鍵を渡してきたイヴェールに綱吉は突っ込み捲る。

「鍵はこの屋敷を扱っている不動産から鍵を持ち出した。明日にでもこの屋敷自体を買えば持ち家になる。」

神に近い存在のイヴェールだ。鍵を持ち出すことくらい朝飯前だ。
綱吉は神様って何でもありなんだと呆然とした。



リビングに入るとイヴェールに促され綱吉は適当に座る。


「私は明日、雲雀恭弥に会いに行く。ツナの味方に協力を仰ぐこともあるだろうから。勿論ツナも一緒にだ。」


綱吉は大丈夫かと不安になる。
何せ雲雀は戦闘狂。少なくとも自分は雲雀に咬み殺されそうになっていた。獄寺が割って入ってくれなかったら咬み殺されていた。
しかもイヴェールが並盛中の人間じゃないと分かれば咬み殺すとトンファーを振り回すだろう。

「雲雀さんはバトルマニアでイヴェールを襲ってくるよ？いくら神に近い存在でも怪我とかしてほしくない。」

「ツナは優しいな。確かに雲雀恭弥はバトルマニアだが問題はない。勝てば良いのだから。」

平然と言うイヴェールに綱吉はもしかしたら明日、並中は戦闘狂の雲雀と神に近い存在のイヴェールによって半壊もしくは全壊してしまうんじゃないかと思った。


「明日は早い。二階に寝室がいくつかあるから好きな部屋を選ぶと良い。」

「うん。」

綱吉は雲雀に会うことに不安を感じながら二階へ行く階段に登るとイヴェールが声をかけた。

「ツナは全力で私が守るから安心しろ。」

綱吉は不安になっていることをイヴェールが気付いたことに少し驚いた。
今まで一部の人間(獄寺、ハル、子供達)以外、そんな風に気遣われたことがなかった綱吉はイヴェールは信用も信頼も出来ると嬉しくなった。

「ありがとう。それじゃお休みなさい。」

安心した顔で二階に行く綱吉を見てイヴェールは何とも言えない顔をした。

「人間は色々な事情があって大変な生き物だな。だがだからこそ信頼出来る仲間との絆というものが幾つもの世界にあるのだな。」


イヴェールはソファーから立ち上がり寝室に向かい、静かに綱吉の部屋を開ける。

眠っている綱吉。

「明日からまた大変になるだろうから今はゆっくり休め。」

イヴェールは静かに言ってドアを閉めた。


ーーーー

翌朝、綱吉は目を疑った。目の前にイヴェールが二人いたからだ。

「あれ？俺寝ぼけてるのかな？」

「「おはよう。 」」

目をパチクリさせるとイヴェールはおはようと声をかけてきた。

「私の分身の方は不動産にこの屋敷を買い取りに行ってもらう。」

「お金はあるの？」

イヴェールはこれでもか！というくらいの札束を出してきた。

「本来ならそんなことに力は使わないが今回は仕方がないからな。」

「神様パワー炸裂だね・・・。」

イヴェールはトランクを出し分身と一緒になって札束を詰めていく。その光景はかなり異様で綱吉はひきつった顔でその様子を見ていた。


その後、朝食を取りながら(イヴェールが力を使って用意した。)今日することを綱吉に話した。

「さすがにこの姿では学校には通えない。」

「そうだね。見た目が20代に見えるし。」

「雲雀恭弥が居る応接室に入るまでは姿を消すことにした。それとツナは一応怪我をしているふりをしろ。」

「うん分かった。」


朝食を終えると綱吉とイヴェールは並中に向かった。