静寂の住人2
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
綱吉が向かった場所は並盛にある廃墟ビル。ここなら雨風は何とか防げるだろう。
鞄を下ろして床に座ると綱吉は決意を固くした。
「南川さんとは結婚しない。」
したら獄寺と子供達は瑠花に利用されるだろう。だから綱吉は例え家畜以下の扱いをされても頷かないと決めた。
暫くすると獄寺が現れた。
「ご、獄寺君!?」
帰ったんじゃ?と聞くと獄寺は綱吉の鞄を持ち上げた。
「10代目、ここに発信器が付いてます。」
鞄の下に小型の発信器が付いているのを見せる。綱吉は追い出したくせにと呆れた。
「発信器を捨てましょう。そうしたら俺のマンションに居てもバレませんから。」
ただ捨るだけでは足がすぐにつきそうだからと鞄の中身を全部出したのだが。
「・・・何か如何にもって感じだよね。」
「そうっスね・・・。」
鞄には2日分の下着と靴下、ペットボトルの水1本と賞味期限が切れてカビが生えた食パン1枚がむき出しで入っていた。
「母さんのことだから直ぐに泣き付いて南川さんに謝るって思ったんだろうな。パンは単に母さん流の躾かな。」
綱吉と獄寺は奈々の躾という名の嫌がらせに嫌悪を感じた。
「発信器は鞄に付けたまま川に流しましょう。暫くは欺ける筈です。」
「獄寺君ありがとう。」
ボンゴレに逆らってまで守ろうとしてる獄寺に綱吉は涙した。獄寺は慌ててポケットからハンカチを渡した。
綱吉はまたありがとうと言って涙を拭った。
その後、廃墟ビルの近くの川に鞄を捨てた。(ついでに賞味期限切れのパンも捨てるのだからといって鞄の中に入れた。)流れていく鞄はこのまま行けば並盛から離れた場所に辿り着くだろう。
鞄が流れて行くのを見届けて獄寺は荷物を持って綱吉をマンションに連れていった。
獄寺の部屋に入ると獄寺は昼食同様に冷凍食品のパスタとジュースを出した。
食べながら今後のことを話した。
「10代目は暫く学校を休んで下さい。怪我を治すのが先です。」
「うん。獄寺君は?」
「疑われないように学校に行きます。俺が休んだらリボーンさんに疑われますから。」
「獄寺君。無理はしないでね。」
眉を八の字にする綱吉に獄寺は大丈夫ですと笑顔で答えた。
夕食が食べ終わると今までのことで疲れていた綱吉はフォークを握ったまま眠ってしまった。
リボーンと同室だったからろくに眠れなかったのだろうと獄寺は綱吉をベッドに寝かせ、獄寺はソファーに寝そべった。
「取り敢えず当分は何とかなる。これからどう動くかだ。」
瑠花の嘘を暴くこと、綱吉の無実を証明すること、ハルとその両親の安全の確保、問題は山積みだ。
「南川に張り付くか?いや、それだと尻尾を掴めねーな。と言って尾行も難しいか。野球馬鹿と芝生頭と笹川がベッタリだしな。」
並中や並盛の防犯カメラを見れたら何とかなるかも知れないが雲雀が牛耳っている以上無理だろう。
それにリボーンの動きも気を付けなくてはならない。
「リボーンさんのことだ。何かと言って南川を関わらせようとしてくるかもしれない。寧ろそれを利用してみるか。」
上手く行けば証拠の一つくらいは手に入るかも知れない。
「胸糞悪いが南川を油断させて証拠を掴むしかねぇな。」
獄寺は暫くは食欲が落ちそうだと思いながら眠りに就いた。
ーーーー
フゥ太は泣き疲れて眠ってしまったランボとイーピンを起こさないように瑠花とマルルーモファミリーのランキングをどうやって活用しようかと考えていた。
綱吉が悪いと決めつけているリボーンや家光は信用しないだろう。
「僕自身はただの情報屋だ。ボンゴレとマルルーモ相手に立ち向かうだけの力はない。やっぱり組織には組織だよね。でもマフィア最大の規模のボンゴレと同盟ファミリーのマルルーモに立ち向かうファミリーもいないか。」
何処のファミリーだって不用意にボンゴレに楯突くわけにいかない。
敵対ファミリーも今回は正統な後継者の不祥事だ。ボンゴレが傾くのを今か今かと待っている状況だろう。そこに綱吉を助けるためにと頼んでも門前払いだ。
「そうなるとあのファミリーに頼むしかないかな。何度か依頼を受けてるから連絡は出来るけど。」
ただそれには一つ問題があった。
そのファミリーのボスは代々大空のアルコバレーノが務めているファミリーでアルコバレーノのボスでもある。
「ジッリョネロは格式はボンゴレと同等だしアリアさんは聡明な人だけどリボーンは同胞だ。僕の話を聞いてもらえるかは分からない。」
今日のことで監視されてしまうだろうしその中でリボーンの目を掻い潜らなければならない。
フゥ太もまた獄寺同様に八方塞がりだった。