静寂の住人2
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並盛の隣町の病院に綱吉を運び獄寺は数人の不良に絡まれて喧嘩して気絶したと説明して治療を受けさせた。
「さすがに並盛病院じゃまずいからな。」
並盛は雲雀が支配しているし、ボンゴレも支部を置いている。そんなところに綱吉を診療させたらすぐにリボーンに知らされるだろう。だから隣町の小盛町に来た。
治療が終わると医師が口を開いた。
「治療はしたけど腕は暫くは痛むと思う。寧ろ鈍器のような物で殴られて腫れた程度で済んだのは運が良い。」
リボーンの無茶苦茶な修行のせいで鍛えられている綱吉だからだろうと獄寺は思っていると医師は話を続けた。
「それより彼は虐待されているね?標準より小柄と言っても痩せすぎだし怪我も多すぎる。古傷や治りかけの傷の上に新しい傷も出来ている。心当りはあるかい?」
獄寺はマフィアの部分を省いて説明した。
「実は沢田さんはクラスの女子を苛めたと疑われてクラスの奴等に仕返しだと暴力を振るわれているんです。家族もそれを信じてしまって躾だと言って食事を抜かれてしまって。」
医師は診断書を出すかと聞いてきた。獄寺は無いよりはマシだと頷いた。
「診断書は出せるが君も彼も並盛に住んでるんだよね?診断書を出して児童相談所に行っても雲雀家の後取り息子が認めなかったら意味が無いだろうね。」
医師は以前並盛病院に勤務していた。その時雲雀の横暴さを見ていた。
雲雀の言葉一つで動く並盛病院を思い出し難しい顔をしながら診断書を作成しその間に獄寺も治療を受けた。
起きるまで病室のベッドで寝かされている綱吉を見て獄寺はこれからのことを考えた。
『10代目は起きられたら家に帰られるだろう。しかしこれ以上はお身体とお心が持たないかもしれない。だったら今日も調査するように頼んでも駄目だったら無理矢理にでも10代目を俺の部屋に避難してもらおう。』
獄寺が借りているマンションは父親が家賃を払っていてボンゴレは関与していない。誰を泊まらせようが住まわせようが文句は言えない筈。
獄寺は看護師に綱吉を頼んで病院の近くにある百貨店に綱吉の服を買いに行った。(綱吉の制服はボロボロに破けていて最早服の役目を果たせない。)
手早くそれでも綱吉に似合う服を選んで病室に戻ると綱吉が起きていて当たりを不安そうにキョロキョロと見回していた。多分起きたばかりなのだろう。
「10代目!お目覚めですね!」
獄寺を見て安心した綱吉はここは病院だよねと聞いてきた。
「はい。小盛病院です。雲雀が牛耳ってる並盛では安全ではないので。それよりこれに着替えてください。」
「?」
「流石に制服はボロボロ過ぎて着るのはどうかと思いまして。」
綱吉は病院で用意されている病人服を着ていて、備え付けのロッカーチェストにはボロボロの制服が畳まれていた。
「確かにボロボロだよね。」
綱吉は受け取って着替えた。着替えが終わると獄寺が聞いてほしいことがあると言ってマンションに行くことにした。
獄寺が住んでいるマンションは何度か行ったことがあるが獄寺の部屋はシンプルだ。確かに時計やテーブル、灰皿等はお洒落なデザインだが余計な物は置いていない。綱吉はそれを抜いても片付いてるなぁ、俺の部屋とは大違いだと思いながらリビングで座っている。
獄寺はジュースと時間が11時を過ぎてたからと早めの昼食に冷凍食品のピラフを持ってきた。
「まだ昼飯には早いッスけど。」
「獄寺君ありがとう。」
食べ終わると獄寺は綱吉を見てこれからのことを話した。
「俺なりに考えてみたんですがリボーンさんも野球馬鹿達もこれ以上何を言っても無駄だと思うんです。」
「・・・。」
「だから今日、リボーンさんに調査するように頼んでも駄目だったら諦めませんか?」
「でも・・・俺は!」
そう言って俯く綱吉を諭すように獄寺は続ける。
「10代目が信じたいのは分かりますが、これ以上傷付いても意味がありません。それに10代目が傷付く程アホ牛達が悲しますよ。」
「ランボ達が・・・?」
顔を上げる綱吉。
「正直フゥ太達が10代目にしていることは危険行為に等しいと思います。リボーンさん達の目を盗んで食べ物を確保するのは容易ではない筈です。アホ女が渡したバッグに入れて持っていくことで誤魔化しているようですがもしバレてしまったらイーピンは兎も角アホ牛とフゥ太はリボーンさんに怒られるだけでは済まないと思います。」
リボーンと奈々は手提げバッグと巾着はハルのお手製でプレゼントされた物だと知っている。だから子供達はコンビニの袋ではバレると思ってハルの作ったバッグや巾着に弁当や飲み物、絆創膏等を買って入れている。それでもいつかはバレてしまう日が来るかも知れない。
子供達は危険な綱渡りをしているようなものだ。
綱吉は確かに女の子のイーピンは大丈夫かもしれないが男の子のフゥ太とランボはどうなるか。特にランボはリボーンからしたら格下で良く八つ当たりで殴って泣かせている。
「騙されているとはいえ話も聞かずに暴力を振るう人間と必死に支えてようとする人間。10代目はどちらが大切ですか?」
獄寺は静かな声で綱吉に聞いた。