二人のツナ



衣の隠れ里から帰ってきたプリマベーラは静寂の世界の宮殿で正座をさせられていた。
目の前にはキッと睨み付けるイヴェール。


「プリマベーラ。この状況を説明してもらおうか？」


イヴェールの後ろに二人の少年がいた。



「えっと何でここに沢田綱吉が二人いるの？それに一人は何か透けてるし。」

プリマベーラは困惑しながらも聞いてみた。はっきり言って分からない。
イヴェールは呆れたように答えた。


「プリマベーラ。随分前に二つの世界にイタズラをしただろう？その被害を受けたのがここにいる沢田綱吉と沢田紘吉だ！」

「？」


分からないと頭を悩ませるプリマベーラにイヴェールは怒気を含ませて世界を見渡してみろと言った。



数々の世界。そこに明らかにおかしい世界があった。

微かにだが禍々しい靄のような物が世界を包み込もうとしていた。


世界を見てプリマベーラは思い出した。

靄がかかりそうになっている世界の隣の世界にプリマベーラは興味を持った。そしてその世界はトゥリニセッテではない別の力でバランスを取っていた。
どの世界でも大空の属性を持ち大空のボンゴレリングを扱える人間は重要な人物。面白半分でその世界と隣の世界のツナを入れ替えたらどうなるのか見てみたかった。
だが入れ替えてそのまま忘れていた。


「あー・・・。」

思い出し目を逸らすプリマベーラ。そして睨むイヴェール。


「以前も言ったが暇潰しや面白半分で世界を弄ぶのは止めろと言ったはずだ。私達の役目はあの方の代わりに世界を見守ることだ！」

「ごめんなさい！」


イヴェールは何回目の謝罪だろうと正座したまま頭を下げて謝るプリマベーラを見て正直、両手両足の指じゃ足りないのは確かだと生ぬるい目で遠くを見た。



「・・・。説教は後だ。プリマベーラ、マテリアルの世界の記憶を読み取れ。そして私に伝えろ。」

「イヴェールも世界の記憶を読み取れるよね？」

イヴェールは首を振る。

「沢田綱吉の方は読み取れたが沢田紘吉の方は読み取れない状況だ。何せ世界が崩壊寸前で今は私の力で維持するので精一杯だ。」

「！？」


驚いたプリマベーラは紘吉がいた世界を振り返った。
よく見ると僅かだが崩壊の予兆が見えて隠れしていた。イヴェールが力を使っていなかったら崩壊していただろう。


「あの方なら崩壊寸前の世界でも読み取れたと思うが・・・。」




人間から神と呼ばれた人物と違ってプリマベーラとイヴェールはその人物の一部で創られたに過ぎない。


二人に声をかける人物がいた。



「「あ、あの、貴方達は？」」


二人のツナが同時に言葉を発した。
プリマベーラとイヴェールは自己紹介を二人のツナにした。


「僕はプリマベーラ。」

「私はイヴェールだ。」

「僕達は幾つもの世界を見守っているんだ。」

「君達人間からは神と呼ばれている存在のようなものだ。」

プリマベーラとイヴェールの言葉に半信半疑の綱吉と超直感で明らかに人間ではないと察した紘吉。

「本当に神様なの？」

「確かに貴方達は人間ではないような雰囲気です。神様なんですね。」

プリマベーラとイヴェールに問う二人のツナ。


「僕達は正確には神と呼ばれた人物から創り出された存在なんだ。」

「神に近い存在だと認識してくれれば良い。」


プリマベーラは明るく、イヴェールは静かに答えた。