静寂の住人2
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玲奈は屋敷で高笑いしていた。
「キャハハハハハ!やったわ~!ついにダメツナを手に入れたわ~!これでボンゴレの財も権力も守護者も玲奈の物よー!!雲雀さんも玲奈を見てくれる筈よーー!」
紘吉を手に入れたなら友人の雲雀も邪険にはしないと思った。
「雲雀さんは獄寺達より落としにくいけど~明日はきっとお弁当を持っていっても大丈夫よぉ~!」
雲雀を落とせば後は自分の騎士にするだけと思うと笑いが込み上げてくる。
「キャハハハハハハッ!やっぱり良い男は可愛い玲奈に相応しいのよぉ♪クロームと京子とビアンキは邪魔だけど引き立て役てして扱えば良いわよねー。キャハハッ♪」
紘吉を奴隷にして守護者を侍らせる自分を想像して玲奈は未来のマフィア界の女王として君臨するだと笑った。
ーーーー
昨夜は体罰も躾の一環だと言って殴り付け蹴りを入れて銃で顔や体をかするように撃ってきたりした。そして早朝に叩き起こし修行と称した暴力で紘吉は力尽きていた。
それを見てリボーンは苛立った。
「おい!ダメツナ!いい加減に炎を使いこなしやがれ!この能無しが!お前がそんなんじゃ家庭教師の俺様が良い迷惑だ!遅刻したらねっちょり説教と制裁だからな!」
最後に紘吉の頭を蹴ってリボーンは沢田家に戻っていった。
そして小型カメラを着けたヒバードが上空を飛んでいたことにまたしても気付かなかった。
紘吉は何とか起き上がり信じて貰えないと溢れる涙を乱暴に拭いた。
「まだ早いけど学校に行こう。」
帰った所で朝食はないし、自分がいたら子供達は何とかして食物を確保しようとするだろう。もしそんなことをしたらリボーンが何をするか分からない。少なくても昨日のことでリボーンはランボを手加減無しで殴り付けた。 またフゥ太を蹴り、女には優しくしろと言っているのにイーピンも脅した。
紘吉は自分はどうなっても良いけどフゥ太とランボ、イーピンには酷い目に合って欲しくないと思った。
学校の昇降口の下駄箱はもう開けない日が続いていた。いつも山本がゴミや虫の死骸を入れているからだ。だから昇降口に入ったら持ち歩いている上履きを履いていた。しかし凄い異臭が紘吉の下駄箱からしていた。
紘吉は手を震えさせながら開けて小さく悲鳴をあげた。
「ヒィッ!!」
中に入っていたのは産まれて間もない2匹の仔猫の死骸。1匹は脇腹を焼かれた痕が何ヵ所もあり、もう1匹は仰向けに置かれ腹を刃物のような物で切りつけられていた。
犯人は獄寺と山本だろう。
でもリボーン達はきっと謝らない自分が悪い!お前が悪いから仔猫は死んだと言ってくる。
紘吉は泣きながらせめて埋葬しなきゃと仔猫を触ろうとすると手を掴まれた。
その手に驚くが掴んできた手を見て安心した。その手は見慣れていて、いつも助けてくれる手だった。
「その仔猫達は風紀委員がちゃんと埋葬するから沢田は触らない方が良い。多分野良猫だから色んな菌がいると思うし雑菌が傷口に入ったら大変だ。」
「・・・ありがとうございます。雲雀さん。」
「構わないよ。それより応接室においで。話したいことがあるんだ。」
雲雀は紘吉の手を掴んで応接室に移動した。
紘吉をソファーに座らせ雲雀は単刀直入に言った。
「もう分かってるだろう?群れる人間を間違ってるって。」
「ッ!」
顔を悲しそうに歪めた紘吉に雲雀は続ける。
「本当に君を心配してる人間より話一つ聞かない連中の方が大事かい?」
「でも、最初は皆優しかったです。たまに獄寺君達が暴走しちゃって後片付けを押し付けられる形になったこともあったけど後からジュースやお菓子をくれましたし。」
少し寂しそうに出会った頃の話をする紘吉だが雲雀は紘吉の言った言葉のお礼にジュースやお菓子に顔をしかめた。
「何それ?ジュースやお菓子って。もしかしてお菓子を渡されてお礼の言葉はなかったのかい?」
「はい。」
「自分達の仕出かした騒ぎの尻拭いをさせておいてありがとうやゴメンって言葉がないなんて可笑しいでしょ?中には口下手な人間もいてそういう形でお礼をする人間もいるだろうけど、少なくても獄寺隼人や山本武、笹川兄妹は煩いくらいに喋れる人間だ。」
雲雀は紘吉を真っ直ぐ見て言った。
「そんな喋れる人間が物を渡すだけで終わりにするなんて、君を最初から下に見てたんじゃない?端から面倒なことは君に全部押し付けられるって赤ん坊と獄寺隼人達は思ったんだよ。つまり獄寺隼人と山本武、笹川了平は君じゃなくても面倒なことを押し付けられる人間が欲しかっただけかもしれない。」
「・・・。」
「笹川京子だってそうさ。君はリング戦に笹川京子を関わらせないように守ったのに彼女はあっさり鳥居玲奈の嘘を信じた。普通なら毎日会っている沢田を信じる筈だ。それに僕の目から見ても彼女は君の気持ちを知ってる癖に知らないふりをして弄んでる節があったよ。人の心を平気で弄ぶ所は鳥居玲奈と同類だよ。」
「・・・。」
「君の家族も実の息子より赤の他人の鳥居玲奈を信じて君を見捨てた。もしかして彼等は取り敢えず君が居れば良いくらいにしか思ってないのかもしれない。母親の方は息子がいる限り夫婦でいられるし、父親は君が居ればボンゴレは安泰だしボンゴレ内に置ける地位は守られる。」
「・・・・・・。」
「赤ん坊と9代目とやらも似たようなものさ。9代目は赤ん坊をいきなり送り込んで有無を言わさずマフィアの道を歩かせようとした。猿山の大将の御家騒動だって9代目の不手際だ。それなのに君に押しつけた。赤ん坊はたまたまボンゴレ10代目が君だったから鍛えただけ。彼からしてみれば10代目候補なら誰でも良かったと思うよ。ボンゴレの報酬は凄い額だろうからね。」
「ーーーーッ!!!」
雲雀に指摘されて漸く気付いた。
確かにリボーン達は騒動を起こしては尻拭いをさせてお礼の言葉はなかった。あった時も軽い言葉で終わらせていた。リボーンに至っては何もなかった。
これは何となく気付いていたが奈々はいつも家光のことばかりで、紘吉にはダメな子供として扱ってきた。多分世間の目を気にしていたんだろう。
家光は父親らしいところ一つも見せたことはなかったし、帰ってきたと思ったららいきなりマテリアルリングを渡して有無言わさずリング戦に参加させた。
そう彼等は沢田紘吉は都合の良い道具として扱った。
紘吉は自分は道具として見られていたと気付いて涙を流した。
悲しい気持ち、悔しい気持ちがない交ぜになる。
雲雀は紘吉を自分の方に向けようと言葉をかけた。
「実はね以前君を心配して並中に不法侵入した人間がいるんだよ。」
「えっ・・・?」
顔を上げる紘吉に雲雀は1人目をあげた。
「1人は君の弟分のフゥ太。彼は君を心配して忍び込んだんだよ。そして彼は僕に言ったんだ。君が助けを求めたら助けてくれって。」
「フゥ太が・・・?」
「並中に潜んでいる可能性がある赤ん坊や獄寺隼人達に見付かったらただじゃ済まないのにね。それからもう1人はクローム髑髏。」
「クローム・・・?」
「六道の言い付けを破って来たんだ。いくら六道がクローム髑髏を特別目をかけていても逆らえば殺される可能性だってあるのに。君の怪我を見て泣いていたよ。」
「フゥ太、クローム。」
危険を犯してまで心配してくれた二人に紘吉は心が温かくなると同時に危険な目に合って合わせたと胸が苦しくなった。
そんな様子の紘吉に雲雀は言った。
「小動物。群れる人間を吟味しな。君を大切に思っている人間か君を道具程度にしか思ってない人間。どっちが大切だい?」
「俺はーーー」
紘吉は自分を心配してくれていた人間を選らんだ。