静寂の住人2
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
2-Aの生徒達は玲奈を傍で慰めていた。
教室に入って来た紘吉を見た途端悪意を隠すことなく向けるが隣に居る雲雀が目に入るとそそくさと離れた。
玲奈は自分で右側の頬を叩いて赤くしていた。
紘吉は右利きだ。本当に頬を叩かれたなら左側の頬が腫れているはず。なのに右側の頬を腫らしている玲奈に雲雀は『コイツは本当に馬鹿だ。』と生温い目を向けた。
そんなことを思われてるとは知らずに玲奈は雲雀に駆け寄った。
「ひ、雲雀さぁん!私、登校中に~紘吉君に頬を思い切り叩かれたんですぅ~。お友達なら紘吉君を何とかしてください~。」
涙を溜めて見上げる玲奈に雲雀は右側の頬を見て玲奈と傍に居る紘吉にだけ聞こえるくらい小さい声で一言。
「この子は右利きだ。本当に叩かれたなら左頬が腫れているはずだよ?」
低い声で指摘してきた雲雀に玲奈は間抜けな顔を晒したが直ぐに顔色が変わった。
「っーー!?」
どう言い訳しようかと考えるが思い浮かばず口をパクパクさせる玲奈に雲雀は馬鹿にするようにまた小さい声で言った。
「マフィアの癖にちょっと叩かれただけで泣きじゃくって大騒ぎかい?」
「ーーーっ!」
更に間抜けな顔を晒す玲奈を無視して一回言葉を切った。そして睨み付けて殺気を放っている獄寺と山本を見やると怒鳴ってきた。
「雲雀!てめぇは何で最低ヤローを放置してんだよ!」
「ちゃんとその犯罪者を咬み殺すのな!!玲奈が可哀想なのな!」
「そうですよ!雲雀さんは風紀委員長でしょ!なのに何で沢田君を罰しないんですか!?」
友人と初恋の女の子に罵られ紘吉は泣きそうになるがいつか誤解が解ける、分かってくれると堪えた。
堪える紘吉を見て雲雀は内心小さく息を吐くが獄寺達を蔑視した。
「君達馬鹿なの?小動物が鳥居玲奈を襲った証拠はあるの?殴った証拠は?」
雲雀の言葉に獄寺達はあると怒鳴り散らした。
「てめぇの目は節穴かよ!鳥居の頬が腫れてるのが証拠じゃねぇか!!」
「そうなのな!いつも腫らしているのな!」
「毎日沢田君に苛められてるんです!」
獄寺達が言い出すと他の生徒達も「ダメツナに制裁を!」「ソイツは犯罪者だ!」と捲し立てる。雲雀は教室の壁をトンファーをドンッと叩き付けた。
ひび割れしパラパラと落ちる壁の破片に玲奈と京子、生徒達は恐怖で顔色を変え、獄寺と山本は舌打ちした後、しぶしぶと口を閉じた。
大人しくなった獄寺達に雲雀は温度のない声音で言った。
「鳥居玲奈の言葉以外で何かない?例えば苛めてるのを目撃したとか止めに入った草食動物はいないの?」
雲雀に言われて生徒達は初めてそれを知る。そう誰も紘吉が玲奈を苛めているところか、二人きりでいるところも見たことがない。
もしかしたら紘吉は無実で他の誰かが玲奈を苛めているのかも知れない。もしそうだったらと思うと紘吉に制裁していた生徒達は顔色を白くした。
獄寺達だけが紘吉が悪いと睨み付けている。
玲奈は騙されたままの獄寺達を嘲るが雲雀の言葉で揺れた他の生徒達を何とかしなければと泣きながら雲雀に訴えた。
「ふぇ、ひどい、ですぅー。ヒック、疑うんですかぁ?玲奈は、嘘言って、ないです、ヒック。玲奈はぁ紘吉君に、ヒック。」
涙を流す玲奈を見て生徒達はやっぱり紘吉が悪いと思い直す。頬が腫れている玲奈が被害者だと騒ぎ出した。
「頬が腫れてるんですよ!?玲奈ちゃんが被害者なんです!」
「ダメツナ!さっさと謝れよ!」
玲奈を庇う声と紘吉を糾弾する声。それに玲奈は俯きながら泣いているふりをしてニヤリと口を歪め、紘吉は俯いて涙を目に溜めた。
雲雀は目線だけを動かしある場所を見る。
『作動はしているね。』
こっそり設置した防犯カメラ。
雲雀は紘吉を教室の外に出しての頭をポンポンと優しく叩いて一応聞いた。
「どうする?このまま教室に居るかい?」
紘吉はコクリと頷き雲雀は何かあったら授業中だろうが何だろうが応接室に来るんだよと言い残して踵を返した。
授業中は教師が中学生が解けない問題を出して紘吉に答えさせようとする。答えが分からない紘吉をクラス中で馬鹿にして笑った。
そしてこの日の体育の時間はドッジボールで集中攻撃したりと制裁の一環だと紘吉を痛めつけボロボロにした紘吉を笑いながら獄寺と山本が体育倉庫に放り込んだ。
そしてまた小型カメラを付けたヒバードと監視カメラがその一部始終を録画していた。